ニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズは、オーストラリア出身のニコラス・エドワード・“ニック”・ケイヴことニック・ケイヴが率いるバンドである。
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アバトア・ブルース/ザ・リール・オブ・オルフェウス

　このＣＤ、何はともかくジャケット・ワークというか体裁が非常によい。布張りの箱入りで、ケイヴの作品に対してこんな表現は不釣合いかもしれないが、大変おしゃれ。が、ニック・ケイヴといったら、人間の精神のカゲを抉り出して作品化する、いや、そんな手順など踏まず、ニック・ケイヴという人物が作品を作り出す過程で当たり前に人間精神のカゲが抉り出されるわけだが、そういう面から見るとこのジャケット(のデザイン)は、褒めたばかりでなんだが、ちょっと不釣合いだというほかない。　さて、内容である。「Abattoir Blues 」と「 Lyre of Orpheus」というそれぞれ別々のコンセプトを持った２枚のＣＤがカップリングされている(？)わけだが、私個人としては前者が特に興味深く思われた。　BSからブリクサが抜けたが、それでもノイジーで予測不能な曲は健在。だが、ケイヴ自身は猛り狂うことはなく、自分の手綱は自分で持っているのが感じられた。 アバトア・ブルース/ザ・リール・オブ・オルフェウス 関連情報

プッシュ・ザ・スカイ・アウェイ

ノイバウテンの活動に専念すべくブリクサ・バーゲルトが離脱して10余年。とうとう結成メンバーの最後の一人（かつ最古参の相棒）であるミック・ハーヴェイまでも離脱してしまったバッドシーズ。さぁどうなる、と思ったら、バッドシーズになってから一番美しく、そして硝子細工のように儚く壊れてしまいそうなデリケートさも持ちえた非常にメランコリックなアルバムが出てきました。どこかとっちらかったところのある（それが魅力でもあった）過去の作品と違い、整然としていて、光に包まれながら「空の彼方へ」連れて行かれる、そんな感覚を覚える作品です。「The Mercy Seat」のような激情と狂気に満ちた曲がこのバンドのウリかと思っていましたが、どうやら認識を改める必要があるようです。 プッシュ・ザ・スカイ・アウェイ 関連情報

シェイン-ザ・ポーグス:堕ちた天使の詩 [DVD]

　ポーグスのフロントマン、シェインマガウアンの半生を描いた’０１年のドキュメンタリー作品。シェインファン必見の作品である。
　映像や本人の発言を通して狂信的ともいえそうな愛国心、アイリッシュとしての強烈な誇りが見て取れる。そして両親等の証言を通して、生まれ故郷アイルランドでの生活、移住したロンドンでの挫折、精神病院への入院、ついには１２歳のときドラッグ使用により退学しなければならなかったことが明かされていく。そして彼はパンクの世界へ入っていくのだが、それは同じアイリッシュであるジョニー・ロットンによる反英感情の強い歌の影響だったと明かされる。
　シェイン・マガウアンはアル中でトラブルメーカであるが、彼の書く作品は不良のおとぎ話のような詩とアイリッシュフォークを基調とした曲による美しいものである。この作品で彼の半生を知った後の感想は、まさに『堕ちた天使』シェイン・マガウアンである。今度はポーグスの曲をボリュームを落として聴きながら、もう一度見ることにしよう。
シェイン-ザ・ポーグス:堕ちた天使の詩 [DVD] 関連情報