マルホランド・ドライブ ランキング!

マルホランド・ドライブ II

あれから15年。幻のバンドが帰ってきた。1st同様、疾走感のあるアルバム。ただ、少し減速気味。
15年前がバンドとして一番いい時期だったのかもしれない。彼らの周辺の事情、お遊び感覚、それらが良い方向に発散されていたのだろう。
2ndも悪くはないのだが、個の化学反応が弱い。ある意味、完成されてしまったのだろう。
1.『マルホランド・ドライブマーケット』は、民生らしいシンプルにして豪胆な曲。ソロと変わらぬ過不足のない詩と音、そして気だるさ。
2.『ハリウッド』は、たちばな哲也によるいかにもドラマーが作りましたという曲。八熊の(昔よりも)しゃがれた声にあう。
1stにも収録されている3.『Rain Song』、5.『Mistake』、7.『All Through The Night』は撮りなおされている。
3、7は1stの方が歯切れが良い。5は、このバンドにあって、どちらかというと異色の曲であるが、このアルバムの方が仕上がりが良い。
4.『Jet Lag』は、橘あつや作曲のギター全開の曲。2人のボーカルとギターとのコントラストが彼らの妙技。本領発揮。
6.『ギターの』は、八熊の成長を伺わせる涙ものの1曲。完成度が高く、長めのイントロは聴き惚れる
全体的に味のあるアルバムに仕上がった。
1stの疾走感を期待して買ったので、少し期待はずれ。15年の月日は人を変える。それとも私が変わったのか。皆さんの耳で確かめよう。
1stを聴いてない人は衝撃をうけることだろう。もっとも、1stを聴かない手はない。再販されたそうなので、check it out! II 関連情報

マルホランド・ドライブ マルホランド・ドライブ [DVD]

ひたすら引き込まれていく感覚。
艶めかしい官能の媚薬。
「マルホランド・ドライブ」全編に充満するのは、観る者を、幻惑、錯乱、緊迫、痙攣、陶酔させるミステリアスで甘美なドラッグの如き世界だ。
この映画、ある地点で、ドラマの展開が驚天動地に反転する為、初見時は戸惑う事必至なのだが、繰り返し“鑑賞体験”していく内に、取りあえず、物語の大筋は理解出来るようになる。
ただし、ブルー・ボックスとか、白いカウボーイ・ハットの男とか、クラブ・シレンジオとか、劇中何度も発せられる“Silenzio!”との単語とか、不可解で不条理な、でも極めて刺激的で魅力的な謎やメタファーが散見し、しかもそれらは、クロスワード・パズルのようには明確に解答が提示される訳ではない。
それゆえ、最初は、唾気を飛ばして語りたくなる映画、そして、結局、謎は謎のまま答えを導く事などせず、ただ感じる事が快感なのだと認識させる映画。
漆黒の闇の彼方にある悪魔的迷宮と、儚い夢のリンチ・ワールドに身を委ねれば、もう何も言う事はない。 マルホランド・ドライブ [DVD] 関連情報

マルホランド・ドライブ ロスト・ハイウェイ [DVD]

デビッド・リンチのロスト・ハイウェイは、「わけわからん」と投げ出す人が多い作品ですが、リンチが語っているように、OJシンプソン事件で、あの有名なテレビ中継である、OJが数台のパトカーに追われて高速道路を爆走していている様子を見て思いついたそうです。

結局OJは無罪になりましたが、リンチが感じたのは、実はOJは妻を殺したけれど、あまりにそのトラウマに耐えかねて、「オレは殺していない」と自分で思い込むうちに、いつのまにか偽の記憶が構成されてしまったのでは?というものです。

ここからさきはネタバレになるかもしれないので、見た人だけにしてほしいですが、主人公のフレッドは愛する妻のレネーが浮気していると思い込み殺害してしいます。で、そこから、まさしくOJのパターンのように(というかリンチがそう思っているように)、フレッドは、マフィアらしき親分、ディック・ロレーンを作り出し、自分はただの純粋な男(いつのまにか若い自動車工ピートに変身)で、恋人のアリス(妻レネーの化身)をディック傘下でアリスを使ってポルノ映画を作っているクズ野郎のアンディから救い出そうとしているという世界に逃避してしまいます。

でも、そんな勝手な世界をフレッドの心の奥底にある悪が冷徹に観察しています。それが顔をドーランで塗った男ディック・ローレンで、同名の架空の世界の親分とだんだん結びついて行き、最後は架空の親分は消え、自分の悪だけが残ってしまうのです。

悪になった自分がささやく、「ディック・ローレンは死んだよ」。このセリフが作品の最初にループ・インするのはどういう意味なのでしょう?「愛する妻との間の障害は何もなくなったから幸せに暮らせるよ」、ということでしょうか。そして現実世界のアンディがホストするパーティに呼ばれたフレッドは、ヘビのようなアンディが妻と楽しそうに話すのを見て強烈な嫉妬を覚え、殺意が生まれ、そこでドーラン男が登場、「あれ?ディック・ローレンって死んだはずでは?」という思いにつながるのでしょうか。

この作品から「マルホランド・ドライブ」に派生し、最後に究極の迷宮であり名作の「インランド・エンパイア」が生まれるわけですが、「マルホランド・ドライブ」は「ロスト・ハイウェイ」の主人公を女性に変えて、さらにハリウッドの虚飾と退廃の世界をさらに強調した作品になっています。デビッド・リンチは、レズビアンが大好きだと言われています。「ロスト・ハイウェイ」の最後のシーンはとてもエロチックです。「マルホランド・ドライブ」では、レズビアンがテーマにさえなっていて、ナオミ・ワッツが衝撃の熱演をしています。

DVDではノイズが多すぎる画面も、ブルーレイになって、マットでクールな色調が再現できるようになり、しかもサウンドも素晴らしく、これが家で見れるようになるとはホント感無量です。 ロスト・ハイウェイ [DVD] 関連情報



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