2016/2/19.
宇月原晴明 ランキング!
いやあ驚いた。大傑作ではないか。本書で描かれるのは、信長、秀吉、家康の三人の覇王の歴史である。それが壮大に、幻想的に、エキサイティングに描かれる。
荒唐無稽という言葉が、これほどぴったり当てはまる作品はめすらしい。いやいや、これは褒めているのであって、決してけなしているのではない。作者の術中に見事にはめられてしまった。
この作者なかなかの巧者で、本書の構成もおもしろい。この本、文庫で700ページを越えるという長大な作品なのだが、その5分の1を占める序章と第一章はことごとく伏線の集合体として描かれているのだ。しかし、それがめっぽうおもしろい。読者の興をつなぎ、あきさせることなく本筋へと導く手腕
はたいしたものだ。
歴史的事実と伝奇的要素を結びつける新解釈も、まことに鮮やか。事実だけが残っている様々な出来事について、その裏に隠された真実を描いてみせるところなど、あの山田風太郎の手並みを思わせる。
とにかく、本書は伝奇小説の傑作として永遠に記憶に残ることになるだろう。国枝史郎の「神州纐纈城」の再来などとオビに書かれているが、いやいや本書のほうが上でしょう。燃える城のプロローグから
家康が死の床でつぶやく鮮やかなラスト一行の一言まで、間然することのない傑作である。
聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ) 関連情報
秀頼が生まれてから、誰もおとづれなくなった聚楽第。その地下にソレは存在した。錬金窟。その謎を探る蜂須賀党と服部党。謎を握る異端審問。引き込まれるような妖しい世界です。何故、秀吉は秀次の妻妾までも皆殺しにしたか?何故、家康は豊臣家を滅ぼしたか?ありえないけれども、どこか納得してしまう。夢のような話です。 聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫) 関連情報
信長記(俗)などに由来するとっくの昔に否定されているような俗説、伝説を確信犯的に使い倒しています。 信長と古代シリア由来の狂帝ヘリオガバルスを初めて結びつけたのは澁澤龍彦ですが、登場人物の名前や設定、挿話の端々に澁澤へのオマージュがちりばめられています。 妄想が暴走しているので、まじめな時代小説ファンなんかは受け付けないかもしれませんが、しかし多分、作者には初めから狭義の“時代小説”なんてつもりは微塵も無かったんじゃないでしょうか。 これはファンタジーだ。そのつもりで読むことをお勧めします。また、この本を読んでおもしろかったらアントナン・アルトーの『ヘリオガバルス・または戴冠せるアナーキスト』も読むとおもしろいと思います。 信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫) 関連情報
『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』、『聚楽 太閤の錬金窟』のセンセーショナルな表現に比べるとおとなしいが、ストーリーはこちらの方が面白い。おそらく戦国史において斎藤道三や松永久秀は人気が高い人物ではないが、彼らをとても魅力的な人物として描いている。
もちろん、史実にしたがったものでないことはわかっているが、どの時代にも、その時代に収まりきらない人物が存在する。革命的な存在が。
そういった存在として二人を描いているのは、とてもユニークだ。司馬遼太郎の国盗り物語よりもおもしろいな。
この作家の作品をもっと読んでみたいが、あとは『安徳天皇漂海記』だけだ。
黎明に叛くもの (中公文庫) 関連情報
『Story Seller』の番外編は、ファンタジーのアンソロジー。平成22年10月に刊行された小説新潮11月号の特別綴込別冊の文庫化されたものだ。おなじみの作家はもちろん、新進作家の作品も良かった。
とても充実したファンタジー小説のアンソロジー。よく読んでいる森見登美彦の作品はもちろんのこと、その他のすでにおなじみの作家だけでなく、この本で初めて読む、新進気鋭の作家たちの作品も、どれも読み応えがあった。
収録されている作品は次のとおり。
・畠中恵 「太郎君、東へ」
・仁木英之 「雷のお届けもの」
・森見登美彦 「四畳半世界放浪記」
・堀川アサコ 「暗いバス」
・遠田潤子 「水鏡の虜」
・紫野貴李 「哭く戦艦」
・石野晶 「スミス氏の箱庭」
・宇月原晴明 「赫夜島」
森見登美彦の作品は、彼の四畳半シリース(?)の原点のような話でファンとしては嬉しいところ。また、宇月原晴明ファンとしては寡作の彼の作品が読めたのも嬉しかった。
名前は知ってはいたが、未読の畠中恵と仁木英之については、なぜ、自分が今まで読まなかったのか分からないぐらい、自分好み。拾い物は、遠田潤子と紫野貴李の作品。まだほとんど作品は出てないみたいだけど、これから期待させる内容だった。
Fantasy Seller (新潮文庫) 関連情報


















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