Animal Anatomy for Artists: The Elements of Form
ごく大ざっぱに言えば、二部仕立てになっているように思います。
前半部分が、馬・牛・ライオン・犬の骨格と筋肉を、部位ごとに比較できるように並べて、多くの動物に共通するであろう解剖学の基礎パターンを学んでいくという内容。(多少、脚の関節などの「動き」の解説もありますが、多くは静的なポーズとなっております。)
その解剖学は、大きなマッスを構成する筋肉はもちろんのこと、パッと見には目立たないけれど生体にとって重要な腱や筋肉、やや奥まったインナーマッスルと骨の重なり合いにまで及び、探求者を十分に満足させてくれる内容になっています。
逆に言えば、スーパーリアリズムの絵描きか学究的な専門誌の挿絵画家でもなければ知る必要の無い、むやみにマニアックな知識にまで立ち入り過ぎ、という見方もできそうです。
そして後半部分ですが、様々な種類の動物達の全身骨格図と筋肉図が順繰りに図示されていく、というスタンダードな内容となっております。
特筆すべきは、扱われる動物の種類の多さです。
全て列挙しますと-----馬・牛・犬・ライオン・ニワトリ・猫・熊・鹿・キリン・らくだ・カバ・豚・サイ・インド象・ウサギ・リス・カンガルー・アシカ・ゴリラ・アメリカバイソン・アフリカ象・バク・アリクイ・コウモリ・イルカ-----と、なかなか圧巻のボリューム。
中でも、馬・牛・犬・ライオンはかなり詳しいです。またニワトリの正面・側面・背後の図版が用意されている本は、ありそうで無かったので嬉しいですね。
残念に思うのは、殆どの動物が横向きの全身骨格図と筋肉図しか収録されていないということ。前や後ろからの視点がつかめないのですね。また、上述のアメリカバイソン以下は横向きの骨格図のみで、筋肉図も省かれてしまっています。
あとはページの無駄が多いのも気になります。白地のページにでかでかと動物のシルエットを黒く塗りつぶしただけ、というページがたくさん収録されているのですが、何がしたいのか意味がわかりません。読者は外から見ても分からないことを解剖学の本に求めるのですから、動物のシルエットなんていう外から見れば誰でも分かることに、貴重な紙幅を使って欲しくないなぁと思います。
図版は素晴らしく見やすいです。絵には必要なラインと適切な陰影がつけられていて、動物達の骨格や筋肉の配列がとてもよくわかります。紙も印刷もしっかりしていて、洋書にありがちなコントラストのボヤっとした見にくい本とは一味違います。
このように、光る点も多々みうけられましたが、総じてみれば、期待外れという感が強かったです。
大判で値段も張るし、米アマゾンでの評価も高いので「これ一冊あればメジャーな動物はどんな角度からも描けちゃうぞ」・・・って感じの決定版的な本かと期待してたわけですが、蓋をあけてみれば、不必要にマニアックな知識がびっちり載っていたかと思うと、逆に絶対必要でしょっていう情報が欠落してたりで、帯に短したすきに長しって印象です。
学究者の自己満足ではない、絵描きの最大公約数的なニーズをがっちり満たしてくれる決定版的な本って、出ないものでしょうかねえ。
ゴールドフィンガー
スカコアにカテゴライズされるゴールドフィンガーであるが、このファーストアルバムからしてスカコアアルバムではない!
スカの要素を取り入れた曲は何曲かある(例えば'Bや'F)が、メインは「聴かせるパンクロック(メロコアといったほうが正しいのかな?)」。スカコアを期待して聴くとがっかりします。
しかし!メロディーはすごくいいので、パンクロックが好きな人にとってはお勧め。っていうか、もっと日本で売れてもいいのでは?と個人的には思ってます。
Stand & Deliver [VHS] [Import]
エドワード・ジェームス・オルモス演じる数学教師が、貧困世帯の多い地域の荒廃した学校を再生させていく過程を、実話に基づいて描いた作品。
差別を受けることに慣れ、人生に諦めさえ感じていたヒスパニック系の生徒達の集まる荒れた教室。その中で主人公は、「数学を学ぶこと」そして知識と技術を身に付けることが、人生を切り開いていくきっかけになり得ることを教え、生徒達も徐々に変わっていく。
単なる熱血教師もので終わらず、アメリカ社会に巣食う根源的な課題をも炙り出してみせた点で秀逸。