真実一路 (新潮文庫)
事実の対極は偽りであるが、偽りの対極が真実であるわけではないー
登場人物たちは、みなそれぞれの信条に基づいて「真実」を生きている。それが噛み合わないばかりに、誤解が生まれ、関係がこじれる。切ないです。
誰が正しくて誰が間違っているのかは分かりません。まさに、「真実一路の道なれどー」です。
人物造形がみごとで、筋もしっかりしているので、子供も読みやすいと思います。親子について考えることもできるかも。
個人的には、お父さんが1番好きです。主人公の少年には、彼が願ったように、幸せになってほしいなと思いました。
ゴールデンタイム
たまたまある店内で流れていたこの曲。
スピード感溢れるソウルフルなノリノリのナンバーですが
その声で「アッコさんだ!」とすぐ分かりました。
パンチが効いていて迫力満点!
声と曲がマッチしていて素直にカッコイイと思いました。
歌の上手い方なのでしっとりした曲もいいのですが
こんなパワフルなアップテンポも声と雰囲気に合っていて素敵。
聴いていて元気になれる粋なナンバーです。
路傍の石 (新潮文庫)
勤勉は美徳である、間違いない。どんな逆境にあろうとも自分を信じ、未来を信じてひたむきに努力していくこと、これは非常に大切であり、自分もこうありたいと思っている。
しかし、ひねくれ者の私はついついよけいなことを考えてしまう。そもそも、努力したくてもその環境にない人はどうなるのか?
北朝鮮の寒村に生まれ育った人の中にはこれから冬を迎え餓死や凍死する人がいるだろう、これは国を良くする努力が足りないのか? 虐待される子どもは親に愛されるための努力が十分でないのか? 勤勉は美徳である。が、このテーゼからもれ出た人たちにも同じように人間としてのかけがのない人生がある。
この作品には、赤の他人の葬儀に行き葬式饅頭をもらってきて飢えをしのいでいる老婆が登場するが、この老婆への嫌悪はにじみ出ていても、老婆の悲しみは描かれない。
繰り返す、勤勉は美徳である、間違いない。
君たちはどう生きるか (岩波文庫)
中学2年生の「コペル君」が、学校の友人や「叔父さん」とのふれあいの中で一歩一歩成長していく物語である。親しみやすい文体にこめられた内容は密度の濃いものだ。認識の主観性と客観性、人間同士のネットワーク的つながり、貧しい友人との関係、ナポレオンと歴史における偉大さの意味、過ちと苦悩からの昇華、そして自己の人生に対する決意。これらのことがコペル君の身近で起こる現象と密接に絡み合いながら、叔父さんのノートという形で提示される。
コペル君の経験はかなり普遍性があるがゆえに、読み進むにつれて身につまされてしまう。人間に関する基本的な問題を著者は直視しているからだ。そのゆえにこそ本書は心を打つ。
心に太陽を持て (新潮文庫)
ドイツの詩人ツェーザル・フライシュレンの詩「心に太陽を持て」から始まるこの本は元々、昭和10年、「日本少国民文庫」全16巻の中の第12巻として配本されたものである。世界中の心を打つ話が掲載されている。戦後になって、10編余の話を戦前の版に加えた上、昭和56年にそこから21編の話が掲載され、新潮文庫から発行されている。
軽妙な話もあるが、勇気づけられる読み応えのある話が多く、ぜひ多くの方に読んでいただきたい1冊である。特に戦後加えられた話である「リンゴの並木」は素晴らしく、大火という絶望の底から精神的な復興まで成し遂げた実話であり、深い感動を覚える。本当にあった話であることが信じがたいほどだ。世界に誇れる我が国の話として多くの方にぜひ読んでほしい1編である。