だから死ぬのは怖くない 悔いなき最期を考える (週刊朝日MOOK)
付録で巻末についてある、「エンディングノート」は非常に有益です。
死ぬときに後悔しないために書き置くことがメモできるようになっております。
私もパートナーと一緒に、一つ一つ話し合ったりすることができました。
この本は、「死」というものを考えるにあたって、最初に読むべき基本的な入門書ともいえます。
「死」について考えるとき、是非、まずはこの本をおススメします。
その後、本書の中でも紹介されている、様々な専門書に当たると良いのではないでしょうか。
この本を手に取る人は、
'A.自分の死に直面している人
'B.家族など身近な人の死に直面している人
'C.現時点で「死」に直面しておらず、本屋で見かけたり、人から勧められて読もうとしている人なのではないでしょうか。
'AやBに該当する方々が読むのは必然のこととして、'Cの人にこそ、読んで感銘を受ける本なのではないでしょうか。
日常的生活の中で、「死ぬ」ということを、ごく自然に考えることができると思います。
また、これまで漠然と自分は病院で死ぬのであろうと思ってきましたが、
病院の中で「自分はどうやって死ぬのか」が具体的にイメージできるようになりました。
そのために、今、やるべきことは何なのか?
これから家族と何を話し合っていくべきなのか?
後悔しない死に方、これからの生き様。
苦しみをどう乗り越えるのか。覚悟をどのように身につけるのか。
この本を読めば、
明日からの生活が変わってくるのではないかと思います。
現代語訳 般若心経 (ちくま新書 (615))
般若心経は262文字に仏教の神髄が凝縮されていると言われますが、実は、それ以上。インド哲学の集大成の様なものだと感じました。まず、この本は、視覚生理学の手法で認識論を展開するなど解説手法が斬新で、分かりやすく現代の息吹を感じさせます。しかし、今まで仏教の本を読んだことが無かっただけに、悟りの神髄は無を認識すること、なにごとも絶対的なものは無く相対的であることなど、自然科学を勉強し、西洋哲学の流れを無批判に受け入れて来た私にとって非常に新鮮でした。ただ、やさしく書いて頂いたことは分かるのですが、やはり、概念を説明しているので難しいところもありました。心を静めて何回か読み返すうちに理解が深まることを予感させる良い本だと思いました。
無常という力―「方丈記」に学ぶ心の在り方
数ある宗教の中で仏教は比較的穏やかな宗教だと一般的には思われるかもしれないが、本書を読む限り、仏教も大変厳しいものがあるということを再認識した。
本書で著者は以下のように言っている。因みに著者は福島から遠く離れた安全な場所で発言されているのではなく、正しくフクシマにてこれを言っている点は付け加えておく。
「しかし(放射能に)悩まずにいようではありませんか。自分が感知しえないもののために
うんざりするのは仕方ないが、わざわざ悩みを深める必要はない」(55頁)
「放射線量は低ければ低いほどいいという考え方があります。しかし、じつはそうではないかも
しれない。」(60頁)
著者のこういう発言を科学的な見地から見て正しいかどうかは不明である。本書で著者が引用している科学的データや科学者の発言に関しても、それが正しいかどうかを判断出来る知見が僕には無い。
但し、著者は科学として上記を発言したとは僕は思わない。仏教という立場で放射能を語っていると僕は読んだ。
本書で著者は鴨長明の方丈記を読み解くことで、仏教というものの厳しさを説いている。全ての執着心を捨て、「執着心を捨てた自分」すらも捨てなくてはならないという仏教の在り方がそこにはある。
その場所から今回の震災を見直した場合に違う風景が見えてくるということなのだろう。上記発言に関しても「放射能が体に悪いかどうか」という科学的な見地を突き抜けたその先で、「放射能という煩悩からどうやって抜け出すのか」、「放射能に執着する心」をどうするのかという問題を提起している。全ての人は遅かれ早かれ死から免れないという状況の中で、善く生きるということは何なのかという問題に組み立てなおしたとしたら、あるいは上記のような発言も可能なのだろう。
それをフクシマという場所で著者に言わせているのが仏教の厳しさであり、同時に仏教の勁さでもあるのではないだろうか。それが僕の読後感である。
まわりみち極楽論―人生の不安にこたえる (朝日文庫)
著者はお坊さんでありながら、物理学の知識など科学技術の側からも死後の世界を語ってくれたり、仏教のエッセンスを決して堅苦しいことなく、平易に解説してくれてます。
「幸せ」ではなく、「楽」を追求していくことの大切さ。
このことが一番新鮮でした。
気楽に、楽しくいきまっしょい。
洋平へ―君の生きた20年と、家族の物語
授かった3人の息子が、
それぞれ様相の異なる障害児だったという佐々木夫妻。
妻の志穂美さんの子育てに奮闘する軽妙なエッセイと、
夫の博之さんの息子への2通の手紙で構成されています。
冒頭の博之さんの手紙はとにかく感動的。
『歩くことさえ無理……。
ううん、洋平。
おまえは走るんだ。
何年かかってもいい。
何十年かかってもいい。走るんだ。
どんなに遅くたっていい。
世界中で一番ビリってことはけっしてない。
父さんが、必ずおまえのうしろを走ってやる』
この手紙からスタートする20年の家族のドラマは
障害児を持ったこともない私にも
たくさんのことを教えてくれました。
生きるって、それだけですばらしい。
家族って、やっぱりすてき。
毎日の生活のなかに、小さな幸せがいっぱいあること。
小さなことに悩んだり、
人と比べてしまったり……。
そんな自分のありようが
この1冊で少し変わった気がします。