白い航跡(上) (講談社文庫)
東京慈恵会医科大学を創立した高木兼寛と,軍医であった森鴎外が登場する.二人は,いわゆる脚気の原因が何かについて議論するが...みんな森鴎外が医者であることを知っているが,具体的には医者としての姿を知らない人が多い.森鴎外の別の一面を知ることができるかも.
JIN―仁― 8 (ジャンプコミックスデラックス)
「安道奈津」や「富醂」「佐舞麗」で脚気の栄を救う挿話や南方と咲にふりかかる和宮毒殺未遂事件の災禍など、読み応えのある一巻。「作造り」に遭う彼の運命はどうなるのか・・・
それにしても、野風の「何か別の道を探した方が・・・先生のお役にも立てるのではないかと思いんす。あちきの本性を生かせる道を・・・」(68頁)との言葉の真意は・・・
巧みな伏線や登場人物の配置で物語がふくらんでいく様はさすがプロの仕事である。
食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫)
(1)どんな本か
サラリーマンとして普通の生活を送っていた著者が出家し、永平寺で1年間修行したその記録。「ライターの潜入記」のようなものではなく、まじめに修行した結果書かれた本。
(2)感じたこと
他のレビュアーさんも書かれているように、前半は先輩雲水の理不尽な暴力にショックを受けた。旧日本軍的な体質(暴力がないだけで現代の会社組織にもこの気風はすごくあるが・・・・)そのままという感じで、「こんなものが宗教と言えるのか」とさえ感じた。
また、道元が洗面、食事、用便などについて、ほんとに、こと細かく書いているのはびっくりした。現代の普通の生活からみれば、「こんな細かいことまで言われたくないわ」という感じ。
しかし、著者は、暴力や厳しい修行に対して批判的ではなく、むしろそれをありがたいことととらえている。この本を読み進めれば、そんな著者のまっすぐな修行態度に感動をおぼえ、禅の精神の一端がわかったような気になってくる。
(3)読むべきか
前半は、著者のナイーブさが出すぎているとともに、修行生活の事細かなことが多く書かれており、少し読みにくい。しかし、読み進めるほどに引き込まれる。
私の場合は、ただなんとなく日々を送ってしまい、ふりかえることのない自分を少し見つめなおすことができた。そして、宗教とは何かをもう一度考えてみようと思った。
まじめにていねいに書かれたよい本なので、お勧めしたい。