燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
恐らく男性であれば、少なからず感動するものがあると思います。
自分で自分の人生を、ストイックな美学のもとに作り上げた男、土方歳三の人生を通じて、信念とは?友人とは?そして体制とは?などという命題について取りとめも無く考えさせられます。
加えて、新撰組が生まれた歴史的な背景なども丁寧に書かれており、改めて開眼させられた事も多数あり、奥の深い娯楽小説に仕上がっています。文体も戦闘シーンになると、緊張感の溢れるものとなり、足で土を踏みしめる音まで聞こえてきそうな手に汗握る読感です。
名作だと思います。
坂の上の雲 第3部 DVD-BOX
原作は単行本初版1969〜72、文庫本初版1978。
当時としては司馬遼太郎も良かれと思って
「江戸期の蓄積として明治人には合理主義があった」
「秋山弟は、その合理主義で日本海海戦に勝利した」
「乃木は例外として旅順要塞の<東北正面>に無謀で不毛な肉弾突撃を繰り返した」
「それは昭和陸軍の精神主義へとつながった」 と声高に褒貶。
・・・その是非はともかく、小説の高揚が、そのままNHKの製作姿勢と重なり
蓋を開ければ奇跡の出来、いわゆる<NHKの本気>にあたしゃ震撼しました。
最新CG技術を駆使した映像表現の素晴らしさは一瞥驚嘆ですが、
脚本も注意深く、史実へのすりあわせに挑んでいる点、大いに評価すべきでしょう。
旅順要塞は「ベトン20万樽の<城壁>」でなく、堡塁線でつながれた縦深防御陣地であり
航空偵察のない時代、肉弾を使ってひとつひとつの火点を探り出し、潰していくしかない。
その第三軍の苦悩と現実について言及し、児玉も乃木を罵倒する事無く、
むしろ乃木独りにその苦悩を背負わせてしまった罪を悔いて、
指揮権引き受け後、酒をあおらずに入られないワンカットの示唆するもの
(その後の児玉督戦なんて原作へのアリバイです)
海軍の失敗(閉塞と黄海での不手際)の結果としての旅順作戦、すなわち惨事の起源への言及、
また理論家秋山真之(ジャニーズ)と実務派島村速雄(石原軍団)との暴力を含む微妙な対立、
日本海海戦に近づくほど、東郷幕僚団のなかでの秋山実之の孤立ぶりの暗示するもの・・・。
ああ、NHKは2000年以降の最新の研究学説と1969年の司馬のこさえた日露神話を、
よく刷りあわせ、判る人には判るように批判したなと感心しました。
坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)
正岡子規の死から日露戦争開戦までが描かれています。
戦争といえば、圧倒的な国力の差を気持ち一つで埋められると
考えた太平洋戦争した思い浮かびませんでした。
日露戦争も同じようなものかと思っていましたが、
国家を守るために今何をしなくてはならないのかを第一に、
冷静に状況を判断し事態に対処していく各々の姿に熱くなるものがあります。
同じ戦争でも、携わる人によってこうも性格が異なるかなと考えさせられます。
NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 第2部 DVD-BOX
独自の西洋化する道を歩み始めた若き日本を描いた素晴らしい作品です。
久石譲さんの美しい音楽が一層日本の青春時代の清らかさを引き立てます。壮烈な戦闘場面じゃなくても、主人公達の真剣さに感動され、涙が止まりません……
外国人の私から見ても、思わず心の底から日本と日本人を尊敬します。
祈り~two as one~
2007年6月3日 和歌山県海草郡紀美野町中央公民館で公演があり、初めてチャン・ミンさんの二胡を聞きました。何度かNHKの大河ドラマ『風林火山』でも聞いたのですが、改めて生で聞いてみると、なんか言葉にはいい表せないまでも、すがすがしくそれでいて懐かしい音色でした。それで、帰りCDを購入しました。コンサートのようにはいかないまでも、その音色は癒しの曲ではないかと思います。