桃太郎はニートだった! 日本昔話は人生の大ヒント (講談社プラスアルファ新書)
面白かった!
とにかく面白くて、1時間程度で一気に、感心したり、笑いながら楽しく読めました。
まるでバラエティー番組でも見ているかのように、愉快な裏話を多く知ることが出来ました。
いろいろ面白い話はありましたが、中でも、「カチカチ山」の<婆 汁>。
じつは絵本ではカットされていましたが、、口頭の語りでは聞いた覚えがありましたが、これを読んで、記憶がはっきりしたのと、その恐ろしさと残忍さがよくよくわかりました。
著者の「弛緩」のお話がありましたが、確かに、人を惨殺したり傷つけて最後は言葉で謝って許されるというのでは、幼児教育にゆるみが出ます。
ここまでも人を傷つけたり、命を奪えば、その自分の命を持って償わねば許されないのだという教訓が、残酷だという理由で、すっかりカットされてしまったことが、最近の少年犯罪問題にも通じているのかなぁと考えさせられました。
他に、浦島太郎は実は亀と結婚する話や、一寸法師の汚い策略のお話、桃太郎の侵略者ぶり、とにかく盛りだくさんの本当の昔話とその意味がわかったりします。
お薦めの一冊です。
おはなしの知恵 (朝日文庫)
現実の社会を生きるとき、人は様々な困難に出会う。
それはなぜか―。こんな話をきいたことがある。
人生はみな、何人かの盲人が象を触っているようなものだと。
ある盲人は鼻を触って「象はホースのような生き物だ」といい、
またある盲人は耳を触って「象は紙のように薄っぺらい生き物だ」といい
足を触った盲人は「像は丸太のような生き物だ」という。
人の見方はそれぞれで違い、それぞれが正しく、そして一面的である。
しかし、人はみな自分の認識した世界でしか生きられない。
だからトラブルが起きる。
そうしたトラブルは心の中にオリのようにたまっていく。
そうしたものを溶かしていく働きが、物語にはある。
事実を見る目は人によって違っても、人の感じた内的事実を
分かち合う力が物語にはある。
そうやって、幾分でも分かり合って癒されてきた人類の知恵を
河合隼雄先生が丁寧に語っている、お買い得な文庫。
ST桃太郎伝説殺人ファイル (講談社ノベルス)
この人の小説は、これぞノベルス!って感じで、さっと読めて、
後味もスッキリ! それでいて、弱者だったり、冴えない中年オヤジだったり、
ヲタクだったりの、独特の視点で語られているので、結構、考えさせられるものもある。
今回は高田崇史氏のQEDばりに、歴史の裏側を語ります。
これは前回の『ST 為朝伝説殺人ファイル』からの傾向ですね。
今回は日本人なら誰もが知っている物語「桃太郎」。
しかしあの物語は朝廷側が自己正当化をするためのものであったことを
背景を明確に説明して証明している。
鬼におとしめられた現地の側からみたら、違う物語が見えてくる。
それは、岡山以外では誰も教えてくれないところまで匂わしている。
ぜひ読んで実際自分の頭で考えて欲しい。