11人いる! [DVD]
遂に、噂のみのカルト作品を観ました。その感想は、先ず結論からいうと『噂に聞くほど悪くない!』でした。
確かに、チャチなセット、無茶なメーキャップ、原作の設定改変、原作のSFマインドが無い、変な科学説明、ナレーター担当者名がクレジットされていない等ツッコミ所が色々ありますが(笑)、その代わり情熱に共感しました。
最大のポイントは脚本です。
原作の設定の改変は、反体制的なモチーフを提示したものです。
原作は新しい宇宙時代をリードする人材をテストするという極めてSFらしい設定ですが、ドラマ版の視点では、上からものを見て人を品定めしていると映ったのでしょう。だから11人目の設定は変えられたのです(と思いました)。
そして露骨に、原作の描いたものを否定し、夢、愛、友情、信頼の大切さをてらい無く訴えています。
リアリティを切り捨てた?演出は、よく言えば(笑)小劇団の舞台演劇を観る様な雰囲気があります。
メッセージのストレートさとチャチなセットはNHK少ドラSF共通のもの、そこにどんな魅力があったかは、ファンならご存知でしょう。そういう点から、稚拙であってもそこに作り手の情熱だけは伝わってくると思います。
※さらに見所は、主演の山城はるかのスーツが彼女のボディラインをくっきり現していてびっくり(失礼しました・・・)。
A Drunken Dream and Other Stories
訪問者 (小学館文庫)や11月のギムナジウム (小学館文庫)(秋の旅は収録されています。かわいそうなママなんかも翻訳して欲しかったかもしれません)にある短編も入れて欲しかったなぁというのがまず一番初めに思ったことでした。
尺の関係で無理だったのかな?と思いますが次回があるならそれに期待したいです。英語版なら読める人がたくさんいるし、
萩尾先生の本はもっと世界に広まって欲しいと思います。ボーイズラブ(同性愛)を扱ったなんていう説明の仕方をよくされていますが
それ以外にも例えば訪問者 (小学館文庫)に載っている短編(この本の雪の描写が好きなんです)なんて素晴らしいと思います。
長編でもたくさんいいものはありますし英語版がもっとたくさん出てくれたらなと思います。
でもここで選ばれた短編は「短い」という他にもどちらかといえば「訳しやすい」という共通点があるので詩的な台詞の多い作品の翻訳は難しいのかもしれません。
・フォントは少し読みにくいなと思ったのですが作画スタイルに合わせたのではないでしょうか。欲を言えば、時代ごとに変わる萩尾先生の画風に合わせてフォントも変えて欲しかったかもしれません。
・擬音もしっかり訳されています。
・幻想的で綺麗な装丁のカバーです。
・萩尾先生のカラーイラストが2枚収録(何故か載っていないバルバラから・・・)されています。
・萩尾先生への赤裸々なインタビューが掲載されています。
萩尾先生のファンなら、あるいは「萩尾先生の本が世界に広まってくれたら」という野望を持っているなら(笑)買ってもいい本ではないかなと思います。ちなみに他にも数冊萩尾先生の作品の英語版はあります・・・。ほとんど入手困難な11人いる!か入手は簡単だけど収録作品にやや偏りのあるA, A1だけですが。
百億の昼と千億の夜 (秋田文庫)
この原作を、ここまでみごとにヴィジュアル化した著者に、まずは敬意を表する。
原作小説は、読んでいる間には、ほとんど頭の中でのイメージは浮かばなかった。
それが、こんなに鮮やかに画像化されたのだから。
そして、この画像化の利点は、作品の理解度が飛躍的にアップしたことだ。
観念的でよく分からなかったことが、実によく分かる。
それが女性の手による、というところが、阿修羅王をこれだけ魅力的にした要因だろう。
巻頭のいくつかのエピソードが収束してスタートするメインストーリーは、そこにさまざまな宗教思想を取り込み、科学的概念や理論を取り込み、そして最終的に無常感を漂わせるラストとなる。
原作でもこのラストには、今ひとつ納得しづらいものがあった。
ミクロの存在とマクロの存在ということで片付けても良いものなのか。
原作者に聞いてみたいものである。
しかし、ディラックの海、摩尼宝殿、兜卒天等のイメージはどうだ!
何度読んでも飽きない。
そして、読むたびに、世界、宇宙、歴史等について考えさせられる。
原作は小松「果てしなき〜」と同時期に読んだが、両作とも人生観を変えるほどのインパクトだった。
その見事な画像化作品である。
11人いる! [DVD]
主人公の直観力が混乱を招いたり困難を克服したりと以外にサスペンス色の強い作品のように思えます、明かされてゆく謎・そして最後の展開終わってみればかなりはまっている自分に気づかされました。
アメリカン・パイ (秋田文庫)
20代でしたか、はじめてよんだのは・・・・
いま50歳ですが、もう号泣で、気持ちはあの時へと、戻っていました。
生、死、作品は年月に耐えながら、それぞれ読んだ方々の中で、何度も思い出される気がします
30年の時が過ぎても全く、色あせることがなく、読みごたえがあります。