シンクロニシティーン
そのサウンドは正統的な?ギターポップ。しかもメロディはキャッチー。で、唄うは、ぶっきらぼうな少女声のやくしまるえつこ。意味不明な言葉ばかりの詞と相俟って不思議な異物感に満ちていた1stアルバム「シフォン主義」。
言葉遊びのおもしろさはそのままに、詞そのものがおもしろくなった2ndアルバム「ハイファイ新書」。
その一方で、スローテンポやミディアムテンポの曲が多いせいかギターポップ色が後退し、やくしまるえつこの唄はささやくようなものに変化、声の表情も(彼女にしては)豊かになった。
意欲作だったと思うし、進化だったともだと思うが、異物感は薄れたように感じられた。正直、多少の物足りなさも感じた。
そして、3rdアルバム「シンクロニシティーン」。
詞がさらに進化?新化?深化?しているような気がする。
本気なのか冗談なのかわからないが、中国批判ともとれそうな「チャイナアドバイス」、言葉遊びのおもしろさが全開の「マイハートハードピンチ」。「マイハートハードピンチ」は、韻を踏んだ歌詞の部分だけでもここに引用したくなる。
乱暴な言い方になるが、1stと2ndを足して2で割ったようなメロディ、ギターポップ然とした演奏、バラエティに富んだ曲達のどれもが魅力的。しかも、相変わらずキャッチーだ。
同じく、やくしまるえつこの声も1stと2ndを足して2で割ったような感じ(ただし、多少1st寄り)だが、これもまたいい。
この3rdも1stと比較すると異物感は薄まっている。聴く側が慣れてきたのかもしれないが、それ以上に、彼等(彼女達)が模索しながら「音楽的」にも成長し、「バンド」としても成長しているという証なのだと思う。
耳に残って離れないフレーズ(曲も詞も唄も)を奏でる、これからの成長が本当に楽しみなギターポップバンドだ。
まぁ、彼達(彼女達)に成長と言葉はなんとなく似合わない気もするが・・・。