倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道
2007年ピュリツァー賞受賞。
というだけで読むには、いささかヘビーな(内容も重量も)本だけど、間違いなくそれだけの価値はある。911に至る道筋をこれでもかというくらい、具体的かつ丹念に追っている。(本当にすごい!)
911を起こしたのは、ラムジ・ユセフを首謀者とする「狂信的な」イスラム教徒。まだここに間違いはない。ただ「狂信的な」という言葉は、さもすると「頭がおかしい」という言葉と同義になってしまう。そうすると、「何が彼らをそうさせたのか」「飛行機でつっこんだヤツらは何を考えていたのか」という観点が抜け落ちてしまうのではないだろうか。
911を起こしたのは確かにイスラム教徒。でも父がいて、母がいて、生まれた国があって、育った場所があって、感じた絶望があって、絶望を行動に移す環境があって、作戦を、行動を提供する組織があって、そこに至った。
この本は首謀者の前の世代、イスラム原理主義の中から、「誰でも殺していい」という理屈を導き出した男の足跡をたどるところから始まり、ザワヒリやビンラディンのいる現代にまでつながっていく。莫大な量の資料から導き出されたそれぞれの人物が描き出され、また最後には、なぜアメリカはそれを止めることができなかったか、1人1人を追っている。
この本のすごいところは、彼らがなぜ飛行機で突っ込むに至ったか、(全く共感はしないけど、)描き出している点ではないかと思う。そこに5つ星。
まさにジャーナリズムの結晶といった感のある、すごい本。
革命と独裁のアラブ
第1部は「アメリカは血を流さない戦争をしかけた いま中東で何が起きているのか?」(約140ページ)であり、第2部は「アラブの人々の習慣と気質はどのようにして育まれたのか」(約90ページ)となっています。
第1部では、最近の中東での民主化革命はアメリカが背後で糸を引いていることを主張しています。すなわち、イラクやアフガンで戦力・戦費を使って疲弊したアメリカが、軍による「血を流す」介入ではなく、現地の若者たちを影から支援して民主化運動や革命を実行させたという主張です。また、戦後の中東の情勢についても、ページ数を割いて解説していますが、この部分も「イギリスやフランスが植民地経営から撤退する際に、わざと紛争のタネをまいておいて、後日介入できるようにした」というような史観で書かれています。
私は、これらの考え方をそれなりに興味深いものとして読ませていただきましたが、欲を言えば、もう少しその考えのエビデンスを精緻に書いていただきたかったと思います。
一方、アラブの国々で独裁者を生む土壌(強い権力者が存在して、その権力者が国民を幸せにすべきという、依存心の強い民衆心理)についての記述は、「へえ、そういうものか」と、とても興味をもって読みました。
第2部については、アラブの人たちのものの考え方など、身近な話題です。アラブの人たちの意外な一面が具体的に書かれており、けっこう楽しんで読むことができます。
総じて言えば、本書は「民主化運動が進む昨今の中東情勢から、急いで本書を出版したが、特に第1部はやや整理不足なままに『アメリカの謀略説』を展開した」、そして「それだけではページ数が足りないので、第2部を追加した」という感じの本ではないでしょうか。
ぜひ読むべき本とまでは言えないと思いますが、ほどほどにためにもなり、後半は楽しめる本であり、読んでも損はない本かと思います。
ビン・ラディンを探せ! ~スパーロックがテロ最前線に突撃!~ : 松嶋×町山 未公開映画を観るTV [DVD]
ビン・ラディンにスパーロックが会おうと
びびりながらも訪ねてまわるドキュメンタリーですが
もちろん本人には会えません。
しかしそこにはアメリカ人が思い描くテロリストなイスラムのイメージとは
まったくちがったイスラムの人たちが・・・
かつて私も中東を旅しましたが
やはり優しい人ばかりであったという印象です。
イスラムを恐いと思っている人こそ観るべき映画ですぞ。
Fragment(フラグメント) [DVD]
この作品の内容を端的に述べるとすれば“六本木に住んでいる坊っちゃん僧侶の精神修行の旅の行程”と書けば一目瞭然に分かりやすいだろうか。この作品。映画館では地味に一年間もロングラン上映された作品にもかかわらず、ほとんどなんの媒体からも騒がれなかった作品である。何故騒がれなかったか?考えてみるに一概に批評や感想が言いにくい作品だからであろう。この作品のすごい所は批評や感想を言う事によって結局あなた自身の思考や思想が身ぐるみはがされ、一瞬にして逆に問われることになってしまう所なのである。さて、このある種ぶざまにも似た愚直なまでに素直な青年僧侶の呻吟し懊脳ながら行動する様を見てあなたは高みに上がって笑う事ができるだろうか?さぁ、あなた自身を問え!
知らぬは日本人ばかり [9・11テロ完全解析] 10年目の「超」真実 世界の常識ではアルカイダは関係なし! (超☆はらはら)
9・11のことは過去にも沢山陰謀説やCIA説など書かれているが、いまだにアメリカ政府は犯人のことには詳しくは報じていない。
そういった観点や証拠を検証していくと大掛かりな陰謀に突き当たるが、本当にそうなのか?この本を読むとそう思えてきてならない。あまりにも不自然が多いからである。この本を読んで討議してみるのも面白いかもしれない。ぜひ一読の価値あり!