フルセット! 1 (少年チャンピオン・コミックス)
自己肯定感が持てなくて、前の学校で自分の居場所を見つけることができなかった入谷火野少年が、転校で心機一転を目指します。
廃部寸前のバレーボール部を自分の居場所と決め、自分の居場所を守るために努力します。
作者の梅田様自身、かなりの御苦労をされた方なのかなと想像します。
バレー部を存続させて自分の居場所をつかみたい入谷君は、必死です。
このような見方をすると、単なる学園スポーツコミックとは違う、入谷君の心の物語としての一面が見えてきます。
入谷君の辛さに共感できます。
だから、入谷君を応援したくなるのです。
「フルセット!」は、私にとって特別な漫画です。
フルセット! 4 (少年チャンピオン・コミックス)
市総体予選三試合目の途中で負傷した入谷君は、怪我を隠してトスを上げ続けます。
彼を必要とする人達の期待に応えるために。
入谷君の必死の努力がきっかけとなり、周囲の人々もそれぞれ自分の心の問題に気付き、それを乗り越え始めます。
会田君が入谷君を負ぶって退場するシーンは、ここまでの展開を象徴しています。
実は会田君も、探していた自分の居場所を総体予選の中で見つけていたのです。
会田君のお母さんの「変なの・・・別人みたい」という言葉が、それを裏付けています。
杉原中バレー部は新たな目標に向かい、チームとしての活動を開始します。
幻仔譚じゃのめ 5 (少年チャンピオン・コミックス)
朝灯の友達、紗矢が巻き込まれた事件の、後半から始まります。
どこにも悪意はありませんでした。
紗矢が巻き込まれたのは、彼女の優しさ故でした。
皆、それぞれの立場で、愛するものを守るための努力をしていました。
悲しいけれど、爽やかな終わり方です。
そして、紗矢は、朝灯と邑の理解者となります。
やはり、躊躇いなく。
他の不思議な話の中にも、優しさが溢れています。
誰も元々悪意なんかないんだという思いがこもった、第五巻です。