インストール (河出文庫)
何もかもがバカらしく感じる。みんなと同じことをすることが虚しく思えてしまう。でも、自分は特別な存在ではなく、平凡な人間でしかないことも分かっている。
そんな心の葛藤やわずらわしさから解放されたいと思うことは誰にでもあります。
「“エロチャット”という手段を用いていて、作品に暗い影が射すのでは?」とも思いましたが、明るい雰囲気で最後まで読むことが出来ました。
しかし、“明るい”といっても微妙な心理を描いていて、奥行きを感じる作品です。
ラストが前向きなことも好感が持てます。
勝手にふるえてろ
ランキング番組でこの作品を知り綿矢作品を初めて読みました。
過去の片思いと現在の求愛のはざまに揺れ動く女性心理を読みたくて購入しました。
独特なリズムで場面毎におもしろさを感じましたが、感情移入する前に終わってしまった感じです。
中学時代会話もない状態で当然のごとく名前を忘れられてたことより、再会した現在にマニアックな話題に共通点が見出せたほうが、よっぽど今後に繋げようと気持ちにさせると思うし・・・4人で集まる時に名前くらい確認してくんじゃないかな〜なんて、つまんない突っ込みを入れつつ読んでると、そのまま終わってしまいました。
インストール スタンダード・エディション [DVD]
あまり期待しないで観たが、意外と良かった。初々しい少女らしさを感じさせる上戸彩の演技、音楽と映像、どれも良い。
ストーリーは、自分をリセット(再インストール)しようという17才の女子高生と、10才のマセガキが偶然出会い、エロ・チャットのバイトを通じて、エロスの世界を垣間見るというもの。
確か上戸彩は山田優と同じぐらいの年だが、たとえば山田優では、女性として完成され過ぎているだろう。やはり、上戸彩がはまり役だと思う。
蹴りたい背中 (河出文庫)
クラスで孤立している人がどのような形で(意識面、行動面とも)しのいでいるかはそれぞれだろう。本作の主人公・ハツが選んだ(選ばざるを得なかった)その形について、いい悪い、好き嫌いなどを云々せず、ただひたすら彼女の心情に寄り添うことに徹して読んでみれば、たいそう胸の痛くなる小説だった。
そんな学校生活の中で、ハツが興味をもった一人の男子・にな川。彼もまた孤立しているのだが、熱狂的ファンである「オリチャン」が心を占有しているため、孤立の事実にすら無頓着に見える。
そんなにな川に対し、ハツが抱いた名づけがたい感情を、一見子どもじみた、しかしどのようにも受け取れるふくらみをもつ「蹴りたい」という衝動で表現した手際。実際に蹴るシーンの熱っぽくて濃い独特の空気は、なかなかのものと思う。
目に見えて何が変わるでもないラストは、好みが分かれたことだろう。ハツのクラスでの状況がよくなる見通しは全くなく、にな川も同様。二人の間柄も「蹴る―蹴られる」関係のままである。
彼らのそれからが気がかりで、しばらく尾を引いた・・・どんなふうにであれ、登場人物が長く読者の心に居座り続けるというのも、魅力的な小説の要件のひとつではなかろうか。
インストール コレクターズ・エディション (2枚組) [DVD]
最初から暇つぶし&話題性オンリーで買ったということもあって、
内容には殆ど期待してなかったんですが、いい意味で裏切られました。
思春期の悶々とした感覚を思い出させてくれる少し甘酸っぱい内容で、
思いのほか間口の広いストーリーに仕上がっていると思います。
また、日本映画にしては珍しくストーリーにまとまり感がありますね。
オチ(か?)もうまくついていて、脚本家の方の才能を感じました。
話が10分区切りくらいでスムーズに進んでいくのも心地いいです。
(脚本は1週間で書き上げたそうですね。いくら短い映画とはいえ驚き…)
音楽もお話同様、フワフワした感じで映画にマッチしていたと思います。
アイドル映画のように女優に焦点を絞った作り、
というご意見も下の方にありましたが、
この主人公の立場や性格、周りの環境を考えると、
あまり多くの登場人物を出すのは難しいでしょう。
むしろメインの人物を絞ったことで話がブレず、
ストーリーに集中することができました。
ちなみに特典のスペシャルディスクは充分過ぎるほどの内容です。
上戸彩さん、神木隆之助クンのファン共に満足できるんじゃないかと。
暇つぶしの買い物のはずが、意外な掘り出し物でした。
なかなか楽しい時間を過ごせたと思います。お勧めですね。