THE DC ENCYCLOPEDIA DCキャラクター大事典
日本ではスーパーマンやバットマンで知られるDCですが、バットマンを除くキャラクターへのマニア人気は低く、かなり翻訳が難航した様で、出版がかなり遅れましたが、無事出版できて本当に嬉しく感じます。
本書は1938年から2004年までのDCコミックスのキャラクターを出来る限り紹介したもので、これまでにいかに腐る程のヒーロー(探偵や兵隊も含めて)やビランが生み出されたのかが実感出来ます。DCは、マーベルの様にひとつのユニバースとしての世界を持つのは1950年頃から(と言ってもスーパーマンとバットマンの共演という程度でしたが…)なので、それ以前のキャラクターが同一の本の中に紹介されているのは奇妙にも感じますが、それもDCを知る上では貴重なものだと感じます。年代を下っても、単なるDCのヒーローだけでなく、ヴァーティゴの「サンドマン」や「ヘルブレイザー」、「スワンプシング」などのキャラクターも紹介されているのは嬉しいところです(今更ながらそれらの作品をDCユニバースの世界として描いたアラン・ムーアやニール・ゲイマンのマニアックな凄さを実感します)。DCユニバースのキャラクター紹介が最優先なだけに、作品としては、さすがに「ワイルドキャッツ」や「アストロシティ」が省かれているのは仕方ないところでしょう(マジェスティックだけは他のキャラクターの欄に少しだけ載っています)。スーパーマンやバットマンなど、メインストリームのキャラクターとクロスオーバーした作品は紹介されているという事なのでしょう。中でも、エトリガン(デーモン)はジャックカービーが創作した事で有名でも、余りにもマニアックなキャラクターだったのですが、スワンプシングやバットマンなど、あちこちの作品に顔を出していたおかげか、かなりしっかりと掲載されているのも嬉しく感じます。
各キャラクターの歴史故の変遷が激しく、解説文が簡潔過ぎて、分かりにくく感じられてしまうのは残念ですが、やむを得ないところでしょう。スーパーガールは特に出自がバラバラですから、作家別年代別に紹介された方が分かりやすいかなあと感じたりもします。
各キャラクターの紹介で用いられているアートは、綺羅星の様なすごいアーティストばかりです。欲を言えば個人的には「モルフェウス(サンドマン)」の絵はサム・キース、「デス」の絵はクリス・バチャロが望ましかったかと…。キャラクターの名称の日本語への置き換えはほぼ満足の行くものになっていますが、過去の邦訳本に従ったためなのか未だに「ディサピア」が「デスペア」とベタベタのままなのは残念でした。
ともあれ、貴重な資料としての価値は高く、これだけの内容での邦訳は今後当分考えられませんし、マーベル事典のように程なくプレミア価格になるのではと思ったりもします。ヴィレッジブックスから刊行予定のクライシス・オン・インフィニット・アースには「ヒストリー・オブ・DCユニバース」も収録されるそうなので、本書と合わせての貴重なDCの歴史資料と言えるでしょう(多分こちらも翻訳に難航しているのでしょうねぇ)。
バットマン フォーエバー [DVD]
ティム・バートンが監督した前2作とは雰囲気が180度違い初めて観た時は戸惑ったが
改めて見るとこれはこれで中々の良作。エリオット・ゴールデンサールの音楽も素晴らし
いし、何と言ってもバットモービルが格好良い。ただ個人的にお気に入りだったトミー・
リー・ジョーンズ演じるトゥー・フェイスが物語が進むに従って、ジム・キャリー演じる
リドラーのハイテンションな演技ですっかり隅に追いやられてしまい、その点が残念と言
えば残念。
Batman: Year One
スーパーマンと並んでアメコミを代表するスーパヒーローのバットマン。彼の一年目の活躍を描いたこの作品は、漫画という表現形態が、情緒あふれる犯罪映画にも匹敵する可能性があることを証明したように思える。 同じ作者(フランク・ミラー)による「Batman: the dark night returns 」のほうが、本国では評価が高いようだが、コマ割りが細かくないぶん、日本の読者にはこちらのほうが読みやすいようだ。 余談だが、もしアメコミにも「助演男優賞」があるのなら、この作品中のゴードン警察本部長が受賞するに違いない。
The DARK KNIGHT
8月公開のBatman2作目のサントラ。作曲は前作「Begins」に引き続き、ハンス・ジマーとジェームズ・ニュートン・ハワード(以下J.N.H)の共作となった。前作に比べて、アクションスコアの分量が増え、よりパワフルになった。
特に、メインテーマともいえるバットマンのテーマが、大幅にリファインされているのがうれしい。それは10曲目「And I Thought My Jokes Were Bad」や、12曲目「Introduce a Little Anarchy」で聴く事ができるが、中でも8曲目「Like a Dog Chasing Cars」の燃えっぷりが素晴らしい。この曲を聴くと、バットマンがバットポッドで走り去るあの印象的なラストシーンが脳裏に蘇り、胸が熱くなってくる。ヒロイックでありながらもどこか哀愁を帯びた曲で、主人公の今後の重い宿命を暗示しているようだ。ジマー節が炸裂しているので、熱いアクションスコアが好きな人にもオススメだ。
また、今作ではジョーカーとハービー(トゥー・フェイス)のテーマが新たに用意されている。
1曲目「Why So Serious? 」がジョーカーのテーマである。はっきりとしたメロディーのない曲で、ほとんどアンダースコアに近い。ベースがベロベロ鳴っていると思えば、急に無音になったりノイジーになったりと、曲調の起伏が激しい。映画鑑賞中に「なんだか良く分からない曲だな」と思ったので、サントラで今一度じっくり聴いてみたが、やっぱり良く分からない曲だった(笑)。それぐらい捉えどころのない曲である。
3曲目「Harvey Two-Face」はハービーのテーマ。最初は穏やかなメロディーで静かに始まるが、途中でハードな曲調に変化し、最後にはやや物悲しい調子で終わる。ジマー色の強いこのアルバムの中で、J.N.Hの特色がそれとなく垣間見える数少ないスコアの一つ。
14曲目「Dark Knight」は16分を超える大作で、聴き応え充分。全曲の総収録時間も70分以上あってお得感がある。