お〜い!竜馬 12 師走 (ビッグコミックス)
近江屋襲撃事件で命をおとした竜馬と中岡。
その有名な「脳をやられたからダメだ」につながる襲撃シーンが
後に「あずみ」のスプラッター映像で度肝を抜く凄惨な絵で描かれ
悲壮感を増幅する。
おどろおどろしくならないのは
小山ゆう先生のキャラの朗らかさに他ならない。
天真爛漫な魅力の竜馬は
小山ゆう先生の描く主人公たちと、どこか似ていて
本当にこんな人だったからこそ、色んな人が集まってきて
竜馬自身にも刺激を与え続けたんだと思う。
竜馬がいなかったら徳川幕府の世は、もっと続いていたかもしれない。
アメリカやイギリスの植民地になっていたかもしれない。
先見の目を持つ賢人は素晴らしい。
巻末に結構な量のページをとって
作者たちの座談会が収録されているのもうれしい。
お~い!竜馬 (9) (小学館文庫)
この巻はなんといっても武市半平太と岡田以蔵の死がメイン。
お〜い竜馬においては共に竜馬の少年時代からの親友という設定で描かれるが、双方とも竜馬との友情終生変わらずともこれまでの展開を見ると目的の為に手段を選ばぬ武市、その武市に利用されて陰惨な暗殺稼業を担った以蔵というように次第にダーク化していき、遂に死という破滅を迎えるのも必然であったのかもしれない。
しかし、前代未聞の三段腹切りを行った武市、上士らに暴力を振るわれる乙女を助ける為、竹の皮一枚で立ち向かい死んだ以蔵。やはり双方とも己の意地を見せて死んでいったのはせめてもの救いであったと思う。
刑事物語 [DVD]
長かったです…遂にリリースされました。
本作は、ヒロインの境遇や性風俗店の俗称などが原因なのか、他のシリーズ作品より地上波での放送が果たされない傾向が強いので、今回のDVD化には素直に感謝です。このシリーズ、近年は地上波での放映が極めて少ない事もあって、私より若い世代には然程知られている作品とは言えませんが、観た人間にとっては、大変に思い出深い娯楽映画になっている作品かと思います。某サイトでのこのシリーズのDVD化発案が、邦画DVD部門でトップクラスなのもそれを裏付けているかと思います。
記念すべきシリーズ1作目は、主人公の片山元、という刑事の姿を形作った作品と言えるでしょう。よく言われる言葉ですが、片山刑事はウワベだけでない、本質的な優しさを持つ男です。ラストシーンも感動的ですが、個人的には売春で補導された十代の少女に土下座までして愛を説く姿が印象的です。
勿論、以降の作品もDVD化されて欲しいのですが、この「1」のみ版元がサンリオで、以降は東宝さんが所持している、というのがちょっと気になるのです。シリーズのファンだけが楽しむのであれば、衛星放送等でたまに流れた時に録画すればいいのかも知れませんが、もっと多くの人に、若い世代の人にも是非見て欲しい…後世に残したい作品です。だからこそ、新しい記録メディアとして残していって欲しいのです。今このシリーズを見る方法は、衛星放送やケーブルで放映されるのを待つか、磁気テープが劣化したレンタル落ちのVHS、さもなくば時代遅れのLDを探さねばならないのですから。
もう映像記憶メディアが徐々にブルーレイへ移行する今しかチャンスはないかと思うのです。ブルーレイへの移行後、としてしまったら、永久に先延ばしされ続けられてしまいそうな気がしますので。是非シリーズ全作のDVD化を希望します。
白夜行 完全版 DVD-BOX
プロットは原作に忠実だが、見せ方がまるで違う。
原作では、事実を並べあとは読者に想像させる手法でした。
特に主人公二人の感情、苦悩、人間味というか弱さは全く出てきません。
対して、ドラマではその苦悩に焦点をあて、感情を思いっきり描写しています。
まったく正反対の見せ方です。
これによって主人公の性格がかなり変わっている。
原作では冷徹な印象が強い主人公2人が、苦悩している姿にはかなり違和感を覚えました。
そしてストーリーが全体的にわかりやすくなっています。
このあたりの違いは映像化をする際の工夫でしょう。
小説はいつでも立ち止まって考えることができますが、映像は次々に流れて行ってしまう。
だからこその感情の描写、だからこそのストーリーの簡略化なのでしょう。
これによって、一般受けするようになったと思う。
しかし、それで内容が薄くなったわけではない。
最後はやや失速した感じがありましたが、設定を変えているのである程度は仕方無いでしょう。
私は十分満足でした。
原作の重々しい雰囲気はうまく再現していると思います。
観ていて思わず力が入ってしまうほどです。
演技、音楽、演出どれもが素晴らしいです。
原作とはやや異なる、というよりも、原作で書かれていない行間を映像化しています。
私たちが漠然と想像していたものを具体的に見せている。
主人公の葛藤はとてもうまく描かれていたと思います。
見せないことで高揚感を生み出していた部分をあえて映像化するのはどうなのか と思いましたが、これなら納得の出来です。
私はドラマをみてから原作を読みかえすことによって、初めて意味のわかったところがありました。
白夜行の別視点、アナザーサイドという表現が一番しっくりくるのではないでしょうか。
原作とドラマ、合わせておすすめです。