EIGHTH(6) (ガンガンコミックスJOKER)
これはもっと評価されるべきだと思います。
話も整ってるし、化学という分野をわかりやすく話に溶け込ませています。
魅力的なキャラクターも多いのでハマる要素は十分あると思います。
今回の内容は新キャラクターの天王寺りお先生の話とセルシアに関わる話です。天王寺りおは非常に優秀な頭脳や子どもゆえの柔軟な発想、それゆえの苦悩などが描かれています。
セルシアはある決断をして話が進みます。
また暗躍している他企業も動きをみせる巻です。
早くも次巻が気になる内容です。
あと作者の近況4こまは相変わらず面白いです(笑)
橋下主義(ハシズム)を許すな!
大阪ダブル選挙に合わせ豪華執筆陣による緊急出版!!―と銘打った本書。出版のタイミングといい、アジテーション風味のタイトルといい、対橋本ネガティブ・キャンペーンを狙い過ぎた感があり、有権者を離反させたり、読者を敬遠させたり、かえって橋本という火に油を注いでしまったり、逆効果の可能性を否定できない。なかなかの好著であるのに、そこが難点といえば難点である。
こんなタイミングでなく、もっと早く、橋下ウイルスに感染し熱に浮かされている大阪府民、大阪市民、そして国民を解熱させる啓蒙薬として投入されていたならば、より素直に受入れられただろうに、惜しまれる。
本書に収められている内田樹の「おせっかい教育論」は、阪大総長の鷲田清一、住職で大学教授の釈徹宗、大阪市長の平松邦夫、それに内田を加えた同タイトルの共著(座談)を受けたものだが、教育予算を惜しみ、とかく教育を粗末にすることの少なくないこの国の国民にじっくり教育というものを考えさせてくれる深みのある内容だ。橋下の教育基本条例は、奴隷教師、奴隷生徒の量産を目論むものであり、まさに本書のいう「ハシズム」の本性を表すものだが、実は我々国民自身の中に潜む、教師や子供(自分の子供ではなく他人の子供)を自分の思い通りにしたいという願望を映したものでもある。
独裁願望に浸り切った者に効き目はないが、自己の内なる独裁願望をかすかながらも自覚できる読者には、是非、本書を手にして欲しい。
「はじめにやつらはニートとフリーターに襲いかかったが、私はそのどちらでもなかったから声をあげなかった。つぎにやつらは教師と生徒に襲いかかったが、私はそのどちらでもなかったから声をあげなかった。つぎにやつらは公務員に襲いかかったが、私は公務員ではなかったから声をあげなかった。そして、やつらが私に襲いかかったとき、私のために声をあげてくれる人はもう誰もいなかった。」マルチン・ニーメラーの有名な言葉を対岸の火事だと思えない人々が少数派でないことを祈る。(スーパーマリオ)
さいごの色街 飛田
古来、女の性は神性や魔性と結び付けられることが多かった。遊郭とは、結界がはりめぐらされた異次元の世界。独特のしきたりやおきての支配する特別な場所だった。ときに公権さえも拒む裏側の世界にどうしても惹かれ、女一人で通いつめて書き上げた貴重なルポ。昭和の香りを色濃く残すどこか懐かしい街並みのなかには、興味本位の詮索を拒絶する歴史の厚みがある。圧倒的な非日常を演出するためには、華やかな外見とそれを支える闇の両方が必要だった。その闇は現代まで連綿と続いている。この街は、世の中になくなることのない不条理を養分として生きながらえているような気がした。とはいっても、色街を一掃したからといって、世の中に貧困や疎外がなくなるわけではない。著者が粘り強く真摯な取材によってわたしたちに垣間見せてくれるのはいまだ機能している飛田という街のエコシステムの一部である。ベースにあるのは金銭と性欲の需要と供給。飛田は原始的なシステムだが、取引上トラブルを最小限にするために年月をかけて細かい工夫が重ねられているように思った。風俗業を形容する言葉として適切ではないかもしれないが、「きちんとしている」感がある。だがそんなきれいごとは、「女の子」を経て「おばちゃん」になったタエコさんの「現状満足度は0%」という言葉、料亭経営者マツノさんの「この商売をして、よかったと思うことは一つもない」という言葉でふっとんでしまう。誰も望んで飛田のエコシステムの一部になっているわけではないが、そこで「生きざるを得ない人たちが、ある意味、一所懸命に暮らしている」にある「人間の性がむきだし」の町だからこそ、著者が危険を冒して通いつめ、その目で見たものをそのまま書いた本書が私たち読者の心をざわつかせるのだろう。ただ、12年通い続けて取材した貴重な材料なのだから、書籍にするにあたっては、もう少し丁寧に構成してもよかったように思う。
拝啓 大阪府知事橋下徹様―あなたは日本を変えてくれますか? (YUBISASHI羅針盤プレミアムシリーズ)
前大阪府市長会会長にして池田市市長の倉田薫が書き下ろした、大阪府知事橋下徹と大阪市長平松邦夫へのメッセージ本です。この二人はいまや犬猿の仲なのは周知の通り。維新の会という新政党を率いて大阪都構想をぶちあげて大阪市解体から一気に大阪府再生を狙う橋下知事に対して、大阪都構想というのはよくわからないと大阪市解体を一蹴する平松邦夫市長。この二人の激突は、数年前の橋下知事と平松市長誕生時の往時の蜜月関係を思い出せば隔世の感がありますが、本書を読めば読むほどに激突は必至だったというのがよくわかりますし、大阪都構想に対してスーパー大阪市構想が正面からぶつかりあうのは、この二人以前からの事としてすんなり受け入れられます。
しかし、ことが全国区にまで広がったのは、やはり橋下徹という無類の力強さと攻撃力をもったキーパーソンが存在しているからなのも間違いが無く、本書はその橋下府政誕生からずっとそれを大阪府下の市長のとりまとめをしてきた立場から見続けて来た倉田氏独自の観点で綴られています。
彼なら本当に大阪を変えてくれるのではないかという期待と、そのやり方ではかえって物事が上手く行かないのではないかと心配する老婆心との葛藤や迷いが見て取れて大阪の問題を府知事と市長に絞り込んで概観するのにはちょうどよい一冊です。惜しむらくは全国トップクラスの生活保護者数や失業者数、在日問題、同和問題、など政治的な重要案件については水道問題などの二重行政問題に比べると扱いが小さく、かつまた倉田氏のスタンスが見えない書き方になっているのが、現役の政治家らしいといえばらしいのですが、老獪さを感じさせてマイナスに思えます。そのことは、この二人の戦いのどちらにも与しないでどちらにとってもいい顔をしているようにも見えるところが見えるのと同様であまりいい感じをもてませんでした。
ただ、先ほども書きましたように、大阪府と市の抱える構造的な問題に絞っての概観と、橋下徹というキャラクターによってうまれた大阪の新しい流れについて読むにはちょうど手頃な一冊です。
ときちょうど、もうじき大阪市長選で下手をすれば橋下徹府知事が知事を辞職して、自身が市長選に鞍替え出馬するかも知れないという時期ですし、投票の前に読んで自分の政治的な投票に生かすのにもよいかも知れません。元読売テレビアナウンサー、今だと「たかじんのそこまで言って委員会」の司会者といったほうが通りがいいかも知れない辛坊治郎氏が維新の会から大阪市長、もしくは大阪府知事に立候補するかどうかは明らかにされませんでしたが、そのあたりも含めて読みどころは多かったです。