恋のエチュード【字幕版】 [VHS]
73歳にして処女作「ジュールとジム」(「突然炎のごとく」の原作)を発表し、生涯2作しか作品を発表しなかった小説家アンリ=ピエール・ロシェを愛するフランソワ・トリュフォー監督が、「突然炎のごとく」の10年後に映画化した作品です。英国人姉妹を愛したフランス人青年の三角関係のお話で、ちょうど「突然炎のごとく」の裏返しになっています。ストーリーを際立たせるために、ジャン=ピエール・レオより大柄の女優を使わない。特別綺麗な女優を使わない。有名女優を使わない、など、トリュフォー監督は二人の映画初出演の英国人女優の起用をこの映画のポイントに考えていたようです。キューバからやってきたネストール・アルメンドロが撮影を担当していますが、音楽担当のジョルジュ・ドリュリューが不動産屋役で1シーンだけ出演しています。
大前研一「新・資本論」―見えない経済大陸へ挑む
自分の価値、近未来の世界経済や企業、個人のあり方に不安を抱いている日本人は多いと思う。資格を取り、大会社に入社し、「良い社員」でい続ければいいという時代は終わった。これから必要になる「力」は現状を分析し、前進する柔軟性、先見性と、それを支える学力である。しかし、いったいそれをどうやって手に入れればよいのか、どこから始めればよいのか?今からでも間に合うのか?
本書では21世紀型社会の特徴である「ボーダレス化」、「サイバー(IT)化」、「金融工学化(マルチプル)」を国/地域/企業/個人の活動の場と位置付け、それに実体経済を結びつける形で将来の世界を具体的に予測している。
21世紀社会に関して何がわかっているのか、そこでは何が必要になるのか、何をしてはいけないのかなどを具体事例を用いて論じ、読者への道しるべを提供しようというのが、本書のねらいである。
他にもピーター・F・ドラッガー著「ネクストソサエティ」などの類似書があるが、本書は大前氏独特の視点で迫り来る未来社会を見つめ、問題提起を日本人にも分かりやすい具体例と共に紹介している点で、高い評価を与えたい。
コンティノン・ブルー
長い付き合いになる1枚です
スローなこの曲が落ち着いていてなおかつ堅苦しくなく綺麗な曲です。まだ聞いたことのない方がいらっしゃいましたら、<どうぞこのアルバムをクレモンティーヌの一枚目に手にしてください。
たぶん手元から離れていかない一枚になると思います。
タラ・ダンカン〈5〉禁じられた大陸〈下〉
魔力を取り戻し、ロバンや仲間たちとも再会し、いざ、マジスターにさらわれた友ベティを救出に行かん!だが、そこは、ドラゴンたちによって魔術で封鎖された「禁じられた大陸」だった。頑なに、柵を開ける事を拒むドラゴンたち。禁じられた大陸に隠されているものとは!?
ようやくベティ救出に向かったタラたち。これまでのように闇雲に自分達だけで突っ込むのではなく、世論や、外交手腕を発揮して、リスベスや周囲の大人たちを動かしていくタラは、確実にオモワ帝国のお世継として成長しています。そして、敵地に赴いても、タラの視線は周囲に注がれ、いろいろな思いが考えが紡がれます。ハラハラドキドキもありますが、一回りもふた周りも成長したタラは、きっとなんとかしてくれるんだろうと思わせてくれて、ある意味安心して読めました。もう、なにをやってくれてもおかしくないって感じです。そして、最後もまたまた冒険の予感。6巻が楽しみです。
Continents-Concerto for Jazz Quintet &
クラシックの老舗レーベルDeutsche Grammophonからのリリースである。だからといって変にクラシックに媚びていないのがよい。
ディスク1の71分のジャズ・クィンテットと室内オーケストラのための協奏曲が華。上手くオーケストラの響きを織り込みながら、ほぼ全編チックの流麗なピアノが曲をリードし、チックらしいリズミカルな大作に仕上がっている。6つの大陸のパートに分かれているが、各大陸のカラ―が判然とし得いる訳ではない。全体を通して起伏に富んだ流れに身を任せるべき大作。21世紀版ガーシュィンの趣きがあるものの、ジャズ・クィンテットを加えているだけに、ガーシュインよりも軸足はジャズにある。ジャズ・ミュージシャンの余技のレベルを超えた、チックにしか書けない大曲の誕生を歓迎したい。
ディスク2はジャズ・クィンテット4曲(M3だけチック作曲)とチックの短めのソロが11曲。このうち、クィンテットの4曲は本格的なジャズでどの演奏も密度が高く、深い。それに対してソロは、チックが曲想を練る場面をとらえたドキュメンタリー風。あれ、録音してたの、といった会話が入っている。このソロのパートはスケッチ風の性格のため致し方ないのだろうが、通して聴くと、ちょっととりとめがなく、冗長に聴こえるのが惜しい。