ちょっと探偵してみませんか (講談社文庫)
岡嶋二人の作品の中で、異色のゲームブック感覚なのは
「ツァラトゥストラの翼」とこの「ちょっと探偵してみませんか」の2冊です。
「ちょっと探偵してみませんか」は、読書する時間が無いけど
謎解きもストーリーも文体の巧みさも味わいたい
という贅沢なミステリ好きの方には本当に持って来いの1冊だと思います。
全部で25の短編(どれも問題編・解答編あわせても10頁以下)が収録されており、
いやぁどれも実によく出来ていて、「ちょっと考えてみませんか」と言われるとつい
うーむ、なんて頁をめくる手を止めて考え込んでしまいます。
5分〜10分あれば気軽に読めますが、簡単に本を閉じられるかといったら
そうでもない曲者の一冊です。この面白さは心地よさ抜群。
クラインの壷 (新潮文庫)
もう10年以上前に読んだ本だが、佐藤藍子主演(TVデビュー作ではなかったか)でドラマ化されたせいもあり、細部まで良く覚えている本である。
読後感はただ一言「怖い」だった。当時ダビスタにはまり、週末金曜に帰宅してから日曜に寝るまでダビスタをし、平日は仕事をサボっては読書という生活をしていたこともあり、本当に怖かった。
私にとってはホラーとも言える作品である。
そして扉が閉ざされた (講談社文庫)
私は推理小説やミステリーが好きで小さい頃から色々と読んでました。
最近はあまり本を読むことが少なくなりましたが、久しぶりに推理小説が
それも本格推理小説と呼ばれるようなものが読みたくなり探したところ
本書の評判を聞き入手した次第です。
最後の核心部分を読んだ時は「そうきたか!」という感じです。
推理小説もたくさん有り過ぎる位有るので、トリックも似通ったようなのが
出てきますが、この小説のトリックは今までの推理小説ではなかったもの
ではないだろうかと思わされました。
ただ、4人の容疑者となる登場人物達。この4人が皆、、、妙にうっとお
しい。
結局ハッキリつけれず二股でグダグダし続ける男、綺麗なんだろうけど
ニコチン中毒でどっちが好きなのかをはっきりさせない女。
ガリ勉タイプで理屈っぽい草食系男子、自分可愛く猜疑心ばかり出して
くる女。
後、二人程脇役で登場しますがやっぱりうっとおしい・・・
まぁ、そんな登場人物達に感情移入は出来ないが推理小説の構成としては
今までの推理小説にはなかったトリックが閉じ込められた小説。
そんな感じが私はします。
ダブル・プロット (講談社文庫)
岡嶋二人はここ最近『99%の誘拐』で読み始めた。へえ、珍しいなあ短編か、と思って読んだけど、証言だけで構成される『記録された殺人』と『遅れてきた年賀状』がダントツに面白い! あと、「ダブル・プロット」のことで井上夢人が解説に書いていた「もうひとつのダブルプロット」が読みたい〜! 昭和が舞台ではあるけど、言葉が古臭くないから今も面白い、新保博久解説にあった言葉に納得した。このダブル解説って笑っちゃった。本人であって本人でない解説ですよ、だって。内容的には『チョコレートゲーム』が何より好きな私としては☆4つだけど、この解説で☆1つ追加。
クラインの壷 (講談社文庫)
この本は、ミステリというよりは、サスペンスと呼んだほうが合うかもしれません。
たしかにミステリの要素はありますが、犯人が誰かを見つけ
出すという物ではありません。
ですが、ジャンル分けなんてどうでもいいことなのでしょう。
決して短くはない量を、苦もなく読ませてくれる作者の文章力。
綿密に調べられた情報を元に、練り上げられた構想。
そして、SFという特殊な設定にもかかわらず、完璧なまでの整合性もって
驚愕のラストに読者を導いてくれます。
文句なしに、おすすめできる一冊です。
コンビを解消してしまったことが、本当に悔やまれます。