私たちはこうして「原発大国」を選んだ - 増補版「核」論 (中公新書ラクレ)
以前刊行していた「核」論を、福島第一原発事故を踏まえて、2011年論というまえがきを加えて再出版したもの。
時系列の論文として構成され、日本がいかに原発大国となっていったのか、原発をめぐる推進派と反対派という不幸な構図はどうして出来上がっていったのかがよくわかる。
とくに、2011年論が本書のまとめのような位置づけになっている。
そして本書に何度となく出てくる「原子力的日光」という言葉が象徴的に響く。
すなわち原子力に象徴される科学技術には、それによってもたらされる恩恵と、一方で今回の事故のような負の側面の両方がある。
推進派と反対派との対立関係からは何も生み出されない中、より広い議論を試みたのが本書である。
本書に紹介されるアトムやゴジラ、オッペンハイマーや清水幾太郎などの人物たちへの考察から見えてくるのは、これら二つの対立軸の溝を埋める共生ともいうべき考えである。
つまり、社会全体のリスクを減らすという考え方を提示している。
それは、最も弱い人が優先的に守られる社会である。
決定盤!テレビ・アニメ主題歌 オリジナル・サントラ集 昭和38年~昭和43年(1963-1968)
せっかくの内容なのに、ライナーノートで熱く語ることもなく歌詞カードになってるとか、グリコグリコがないとか、ジャングル大帝のスキャットじゃない歌版も入ってるとか、微妙に主旨が徹底されてないんじゃないかと不満なとこもないではないです。
でも、フジ丸の歌はテレビのとおりのテンポだし、怪人二十面相の歌は入ってるし、そしてなによりもサイボーグ009がテレビのとおりなんだ。
歌詞が長い短いだけじゃなく、最初の1,2,3,4のとこの声が、テレビとレコードじゃまるで違ってたんですよ。それがテレビバージョンで入ってる。それだけでもう全部OKです。
買ってよかった。
すみません、今(2/11)気づいたけど、ここに載ってる曲目リストって、だいぶ足りないというか、これ番組リストであって曲目じゃないな。
2枚組みで全74曲入ってます。
メーカーのサイトを検索するとリストが見られますので。ご参考まで。
アニメソング史(ヒストリー)I
3枚とも購入しました。 他のレビュアーの方の言われるようにあれもないこれもないわけですが、レーベルを越えたりして集めたベストアルバムだとレコード会社や版権の都合等でカバー曲モノになりがちなイメージが自分にはあります。その点、とてもすっきりしていてある意味では一時代を彩ってきたアニメソングの集大成だと思います。 豪華な制作陣と歌手の組み合わせを楽しむ事ができます。アバンギャルドな演奏も多く70年代という時代の空気を思い起こす、子供の頃のいろいろな事も一緒に思い出すそんな評価のできるアルバムだと思います。
アストロボーイ・鉄腕アトム Vol.1 [DVD]
もし手塚治虫先生が2003年に生きていたら、無意味なリメイクをしなかったと思います。
個人的には天馬博士の狂信的な生き様を描いたとことに反感を感じました。
制作スタッフは原作をずいぶん研究し、「鉄腕アトム」の精神を描くことに専念していたと思いますが、
視聴者からみれば、親子の絆、親子の確執が強調されすぎて、さらにライバルキャラのアトラスでさえ、
悪のロボットではなく、悲しい思い出を引きずったサイボーグとして描かれているのは、個人的には、
これは「鉄腕アトム」ではなく、アトムのキャラを流用した別物語りになったのは、ちょっと寂しさを感じます。
(アトラスの設定は、原作とは大きくかけ離れていて、これは「鉄腕アトム」ではないと思いました。)
今考えれば1話1話丁寧に描かれており、作画は最高のレベルですが、
もし、女性型イプシロンなどを主人公にしたロボットものにしたら、数十年たっても色褪せない名作になったと思います。
演出や音響など優れていますが、原作の精神に忠実のつもりが、実は原作をぶちこわしたとしか思えません。
「これは『鉄腕アトム』ではない別作品だ」と頭の中で思い浮かべて見る分なら、優秀な作品ではないかと思います。
シリーズ構成、テーマが誤ったために名作になれなかった惜しい作品です。
むしろ手塚先生の鉄腕アトムをみたいなら1980年代カラー版「鉄腕アトム」をお勧めします。
8マン〔完全版〕(3) (マンガショップシリーズ)
収録作品は下記の通り。
殺人ロボット〇〇五 週刊少年マガジン 1964年(昭和39年)12号〜20号
魔女エスパー 週刊少年マガジン 1964年(昭和39年)21号〜31号
幽霊ハイウェイ(絵物語) 別冊少年マガジン 1965年(昭和40年)4月号
サイボーグPV1号 週刊少年マガジン 1965年(昭和40年)47号
週刊連載が1965年13号で終ったあと読切りで載ってるのを見つけるとうれしかった。
「サイボーグPV1号」はそんな作品のひとつ。東探偵の顔が明らかに連載時と違う。のちに「アダルト・ウルフガイ・シリーズ」の「狼は泣かず」に使われた哀しい物語です。