宮本武蔵 般若坂の決斗 [DVD]
予定調和を拒否し、常に予想を裏切る会話や展開でシーンが組み立てられており、意表を突く妙味にあふれた演出だ。
ラストシーンの錦之助の絶叫にも注目。この表情ができたから彼は東映のトップになった、と思う。
宮本武蔵 巌流島の決斗 [DVD]
時代劇人気が下火になり、製作は予算的にかなり苦しかったらしい。
なんか無理やりまとめあげたような感じで、武蔵の心境の変化が、
とても性急で繊細さが感じられない、と私は思う。
そもそも宍戸梅軒との勝負が省略されちゃってるのが問題だ。
心霊特捜 (双葉文庫)
岩切大悟は神奈川県警刑事総務課に所属しているが,県警のR特捜班との連絡係として勤務している。"R”は実は「霊」の頭文字でR特捜班は別名,心霊関係が絡む事件の特捜班『心霊特捜班』と呼ばれている・・・
6編からなる短編集。霊に絡んだ事件をR特捜班に所属する霊能力(!?)を持った3人と,持たない班長,そしてどちらかというと霊に弱い主人公の大悟が関係していく短編である。それぞれは,登場人物が同じと言うだけで関連性はなく,非常に読みやすい物語である。しかし,それだけに後に何が残るというわけではない・・・気軽に読むには最適な本である。
今夜、すベてのバーで (講談社文庫)
酒飲みの、酒飲みによる、酒飲みのための小説です。OSAKE小説。
小説の読み方としては漠然と心の向くままに、とか作家の意図を汲みながら、などありますが
やはり大切なのはそれなりに自分なりの解釈です。
「人間は常に何かに酔って(依って)いたいのだ」というのがこの物語の自己流解釈です。
アルコールはもちろん、危ない葉っぱ、ヒーローになった自分、可哀想な境遇、不幸な過去、
輝かしい未来、孤独、容姿、上流階級的なステータス、懐かしい思い出、恋愛、宗教、
エトセトラ、エトセトラ。
それらはいとも簡単に僕たちを「いい気持ち」にさせてくれます。現実的な困難から逸脱し、
一時的な桃源郷に瞬間移動出来るとっても便利な「陶酔」!!
下らない、とは言えません。しかし酔いはいつかは醒めるもの。人生にとって本当に
必要なのは「陶酔」か、「覚醒」か。この小説の主人公小島容は最終的にどちらを選択
したのか。そういう視点で読むと面白いかも知れないです。
新・平家物語(二) (吉川英治歴史時代文庫)
「古典平家には、拠ってない。」という作者のコメントに期待したのですが、清盛の再評価にまでは至っていないようです。頼朝によって開かれた鎌倉幕府に比べ、清盛の政権は中途半端という従来の見方からあまり脱却してないような・・・。ただ、書かれた時代を考えるとこれでも斬新なのかも知れません。今日、書かれたものならもっと低評価です。