追憶 コレクターズ・エディション [DVD]
求め合うものが深く激しいからこそ、共に生きていくことはままならない。この世界は、なぜかそうなるようにできている――。
この映画は、そのことをていねいに噛み砕くように、でもとてもシンプルに描いています。
そして、結ばれることがすべてではないと、はっきりと美しい旋律で語っています。
現在のハリウッド映画のシェイプアップされた脚本では、おそらくカットされてしまであろう多くシーンが、シークエンスとなって、出会いと別れを繰り返し揺れ動く、ふたりのこころのひだを、細やかに浮かび上がらせていきます。強く惹かれ合う要因でもあったふたりの差異が、やがて対立や倦怠を生み、愛情を伴った疲労とため息へと変わっていく描写は見事です。
お互いの気持ちを確かめ合いながらも、それぞれの道を進むことを選択した(そうせざるを得なかった)ふたりのこころの叫びが、冬のニューヨークの街に溶けていくラストシーンは、繊細なリアリティで観るものをやるせなくしめつけます。
ラヴ・イズ・ジ・アンサー
バーブラ・ストライサンド、2009年の新作は、なんとダイアナ・クラールとのコラボ!!
2006年のライブ盤で、バーブラの声が出ていないことにかなりショックを受けたが、この最新作の
バーブラの声は、ささやくような、それでいて芳醇なとても素晴らしいもの!!
このJAZZYな路線なら、バーブラの抑制の効いた声もマッチしてとても良い!!
バーブラは、本当に自分の持ち味をよくわかっていて、かつての高音の美声でなくなったことも
把握し、無理をせず抑制の効いたまろやかな声を出していて、これは、グラミー賞を取るでしょう!!
今までの数多くのアルバムにも、このようなJAZZYなアルバムは無かったと思います。
この路線、もっと突き進んで欲しい〜♪
スター誕生 [VHS]
過去の栄光で生きられる人は幸せなのかも。
終盤のジョンを見て、そう思った。
ヒットソングを作れないジョンの焦燥感が
とてもリアル。その葛藤が伝わってきた。
彼がエスターの曲に合わせ即興で歌うシーン、
彼女の名前を逆さまに書くシーンが好き。
事故現場で嘆くエスターも切ないし、
セリフも心に残る。最後の歌も素晴らしい!
長く感じた部分もあったけど、バーブラの、
パンチの効いた歌声に聞き惚れました。
愛のイエントル [VHS]
恥ずかしながら、バーブラ・ストライザンドの映画はお初。
なので、時代背景などまったく不勉強のままに鑑賞(私の中では「歌手」というイメージだったので)…例によって、映画とかドラマにおけるお約束というか不文律、いわゆるツッコミどころ満載ですが、とりあえず歌に五つ。前述のとおり不条理さをチョイチョイ感じますが、少ない予備知識を手繰り合わせても、その時代の男尊女卑さかげんは容易に想像できるので。
ストーリーの骨太さかげんも私好みで、最後まで楽しく拝見しました。
ナッツ [VHS]
クローディア(バーブラ・ストライサンド)は、良家の娘として何不自由なく育ちましたが、成人すると家を捨て、高級コールガールとなっていました。ある日彼女は、客の一人を殺してしまいます。彼女の両親が依頼した弁護士は、彼女は精神異常であるとの精神科医の鑑定書を提出し、彼女は精神病で公判に絶えられないこと、事件は殺人ではなく過失致死であるとして司法取引を申し出、検察側はこれを受け入れようとします。
しかし、彼女は怒り狂って弁護士を殴ったことから、弁護士は辞任し、裁判長は、法廷にたまたまいたレビンスキー弁護士(リチャード・ドレイファス)を指名します。
彼女は、一見自分に有利な司法取引を受け入れようとしなかったのか、なぜ殺人事件を起こしたのか・・・。
被告人の公判適格は、日本の場合、検察側の情状酌量か裁判官の裁量心証によって判断されるかと思いますが、アメリカの場合、公判に先立ち、裁判所の審理を通じて行ないます。
この作品は、その法廷審理を通じて、アメリカ社会の闇の部分と人間の尊厳を考えさせてくれる作品です。
またこの作品は、もともとブロードウェイ戯曲の映画化ということもあって派手な演出はありませんが、法廷という狭い場で、登場人物の証言と動きと証言だけで真実が明らかにされていく面白さがあります。
また、歌手でありオスカー女優であるバーブラ・ストライサンドの演技が抜群で、事実の悲惨さを表現しています。