がん治療の主役をになう免疫細胞 ―「ANK免疫細胞療法」について
赤文字の「がん治療」が目立って、…なんだ、また「がん本」が出ているという程度で次に移ったのですが、"主役が免疫細胞"というのが何となく残っていて購入を決めました。
免疫療法といえば沢山あるものの、大体が「効かないイカガワシイもの」という先入観があり、病院治療の行き詰まりを感じたときに試すものくらいにしか思っていませんでした。
科学的有効性の歴史から今日も研究と実践が継続されていることが分かりやすく語られ、がんワクチンや抗がん剤の役割の違いも良く理解できました。他の免疫療法と違うのは、病院治療とのコラボレーション提案です。非常に現実味のある提案だと思いました。ここでハタと気づきました。この本は、免疫療法に懐疑的な医師向けではないかと…病院治療と併用でき、両方の優れた点を取り入れた治療が可能であれば、患者にとって選択肢が増え、生への希望になると思います。医療に携わる方に是非読んで頂きたいと思います。
ガンがゆっくり消えていく 再発・転移を防ぐ17の戦略
ガン患者の会「いずみの会」代表である中山さんのガン治癒に対する思いが込められた本です。
前2作は体験談にもとづく内容でしたが、今回はその集大成とも言える内容です。
この本を読めば、西洋医学を中心とする医療の常識の呪縛から解き放たれ、手術、抗がん剤、放射線療法などの三大療法に頼らず、自らの治癒力や免疫力を高めることによってガンの治癒を目指そうという勇気が溢れてきます。この本に書かれていることは、ガンの治療ばかりでなくあらゆる生活習慣病の予防につながる内容です。
健康かつ楽しく幸せに生きるためのヒントがこの本には詰め込まれています。安保徹先生の免疫革命とともに読むと尚一層この本に書かれていることの意味が理解できます。
中山さんといずみの会の会員の方々の現実的体験から導き出された17の戦略です。
科学的エビデンスにもとづく西洋医学の考え方が最高の医学だと信じ込んでおられる方々に是非とも読んでいただきたい一冊です。
その夜、妻に最期のキスをした。
本書は、今は亡き、横山文野という大学教員が肺がんにおかされたことを告知された時から、この世を去るまでブログに綴ったものをまとめたものである。後半、本人が書けなくなると、夫である山口智久が彼女の代わりに書き足している。夫婦の話なので、病に倒れるまでの日常生活も書かれているのかと思っていたら、それは最初の写真2,3ページから想像するしかなく、もっぱら闘病記となっている。
読み始めての印象は須山静夫『墨染めに咲け』と似ているというものだった。妻が大学教員であるところ、胸に水がたまり苦しみ、食事がとれず痩せていくなどの症状、そばで見ているしかない夫の気持ちに似たところがあった。ただ、本書は妻自身が綴っている部分も多いので、もっと本人の感情の起伏が感じられた。しかもこちらは、途中で回復の兆しも見られるところもあり、このまま良くなるのではないか、と半信半疑ながら、微かに希望も見いだせることもあった。その反面、時に諦めに似た気持ちも抱いていることも多い。
また、本人が、何人かのガン患者の本を読んでいて、中にはよく知るもの(岸本葉子、絵門ゆう子、飯島夏樹)もあったが、全く知らないもの、また、この人の奥さんもガンに?(倉嶋厚『やまない雨はない』)と驚くものもあった。
やりたいことを沢山抱え、それを実行するだけの実力もあるのに、身体をいうことをきいてくれない・・・。彼女ほど優秀だ、というわけではない人も、突然、自分の時間に限りがあることが分かれば生き方を見直せるだろうか。もちろん人には寿命があるわけだから、世の中の人、誰の時間にも限りがあるのだけれど。