朧月夜、夕焼小焼~唱歌の四季
日本民謡、小学校唱歌、山田耕筰の愛唱歌など、懐かしの歌の数々が、三善晃の編曲と晋友会合唱団の合唱によって芸術の領域へと高められた作品集です。
混声、男声、女声合唱とバラエティに富んでおり、馴染みの深い曲が素晴らしい合唱となって蘇ってきました。
晋友会合唱団の素晴らしさは、小澤征爾との一連の録音で、世界中で評価されていますが、このCDを聴いて改めてその驚異的な表現力に感心しました。
その晋友会合唱団を長年指導されてきた関屋晋先生の功績も素晴らしいですね。
三善晃のこの編曲を歌った事のある方はよくお分かりでしょうが、アマチュア合唱団にとっては、とても難しいアレンジです。ことに『五つの日本民謡(混声合唱のための)』の難しさは、聴くより歌い手側に回ったときに実感します。晋友会合唱団のように日本のトップの実力ある合唱団ですと、いとも簡単に歌われますのでそうも思いませんが、難曲といえるでしょう。このCDでは、それを微塵にも感じさせない余裕が随所から感じられます。
『五つのルフラン(男声合唱のための)』は、男声合唱です。4曲目の「鉾をおさめて」は、原曲からかなりアレンジがされていますね。これだけ難しいと実力のある団体でないと歌えません。流石に立派な演奏です。
『山田耕筰による五つの歌(女声合唱のための)』は、もともと児童合唱曲ですので、譜面は比較的易しいですが、それでも三善節は健在で、美しいだけでなく、凝っています。晋友会合唱団の女声は、とても素直な発声で好感が持てます。
『唱歌の四季』は、2台のピアノ伴奏の混声合唱です。伴奏というより、ピアノだけで一幅の音楽という感じがします。2台のピアノの包みこむような音色の上に混声合唱がうまく乗っかっています。日本の唱歌の良さを再発見するような名編曲といえるでしょう。ラストの夕焼小焼のソプラノが歌うハイCがとても上手です。とても難しい箇所ですが、この無理のない発声に感心しました。
今年4月に急逝された関屋晋先生の新盆に感想を記させていただきました。
故関屋先生の偉大な功績を称え、合唱界の貴重な遺産の一つとしてこの素晴らしい合唱を拝聴しました。
プレミアム・ツイン・ベスト 合唱ベスト
1枚目は小中学生たちの歌声が15曲中8曲あり、中学校での合唱コンクールやクラス対抗合唱の音源として使用できます。
また2枚目は大学生による男声合唱曲が15曲中11曲収めてあり、男声合唱が全盛だった頃の音源が収めてありました。福永陽一郎さんや北村協一さんなどの指揮の演奏を聴くことができるのは有り難いですね。お二人とも鬼籍に入られましたが、同志社グリーや関学グリーを率いての名演奏を沢山聴いてきた身ですので、これらの懐かしい音源は21世紀に残して欲しいものたちばかりです。
1枚目の谷川俊太郎作詞、松下耕作曲の「信じる」は清水敬一指揮、松原混声合唱団による素晴らしい合唱を聴かせてもらいました。中学生や高校生のお手本にするのにはハードルが高いですが、これだけ見事に歌ってもらえればリスナーは満足でしょう。
ラストの「瑠璃色の地球」は、名門の福島県立安積女子高等学校合唱部(現在は安積黎明高等学校)の可憐な合唱です。爽やかな発声でこの曲の持つ透明な響きを大切にした演奏でした。
多くの団体の愛唱歌となっている木下牧子作曲の「鴎」が、清水敬一指揮、松原混声合唱団で歌われています。非常にオーソドックスな解釈ですし、お手本となる音源でしょう。
『筑後川』の「河口」は福岡合唱連盟合唱団と長崎合唱連盟合唱団の合同演奏ですし、指揮は作曲者の団伊玖磨氏、九州交響楽団のオーケストラ伴奏版です。実にたっぷりとした演奏でした。
ラストのヤング101による「怪獣のバラード」は多分昭和40年代の音源でしょう。リアルタイムで聴いてきた者にとっては大変懐かしい演奏でした。
同様に神代混声合唱団による「涙をこえて」も嬉しい選曲でした。70年代の名曲ですから。
リーフレットに歌詞は掲載してあるのですが、解説がありませんし、録音年代が記してないのは少し残念でした。
子守歌をうたいたい 長野県立子ども病院と小児医療のいま
この表紙の子が、天国に行ってしまった次男です。カンガルーケアをしているところです。
カンガルーケアとは、父や母の裸の胸に小さな子を抱っこする方法で、子供が落ち着いたり、その他親子に、色々と良い効果があるそうです。
この本は、地元の新聞社が、子ども病院の新生児病棟を中心に取材し、紙面で連載したものを、まとめて本にしたものです。
未熟児や障害児、脳死判定など、少し重いですが、大切な内容が詰まった本だと思います。