漂流教室 全巻セット (小学館文庫)
本作の存在は長く気にはなっていたが、楳図かずおのホラー調の画風が苦手だったので敬遠していた。
だが友人の薦めがきっかけでやっと読む気になった。
荒廃した未来の地球に突然すっ飛ぶという設定は、当時のヒット作「猿の惑星」が影響していると思わ
れるが、高度経済成長が落ち着いたころという時代背景と子供向けの漫画がまだ主流だったことを
考えると、こういった作品の出現は必然的なものだったかもしれない。
独特のホラー調の画風は必要最小限にとどめられており、本当にそういった絵が必要なところでしか使
われていないので安心した。嫌悪感などなく、むしろ好感がもてた。
いい大人が子供が極限状況に置かれる作品を描くというのは、たいへんな想像力と思考実験が必要
だったろう。永井豪は「デビルマン」連載中に極度の疲労を感じたというが、本作の内容からして、
同じようにそうとうな苦労があったのではないだろうか。
星一つ減の理由は、自分にとってはあまりにも重苦しい内容で単純に楽しめなかったからだ。だがまた
読んでみたいとは思う。長く名作として読み継がれているからにはそれなりの理由があるはずで、まだ
そのすべてを理解していない気がするからだ。
次の言葉はチリの鉱山落盤事故で地下に長く閉じ込められていたある作業員のものだ。
「酷いことが起きたけど協力しあった。何もなかった、水が飲みたくても飲み物なんてどこにもなかった
ときも。僕らは協力しあったんだ。食べるものもなくて、スプーン一杯のツナ缶を口にしたぐらいだった
ときも。それで本当に結束することができた」
当時救出された作業員たちがこの作品を読んだらどう思うだろう? なにか感じてくれるものがあるの
ではないだろうか。
ラストシーンの美しさは、ただ神々しいという他ない。
ロング・ラブレター~漂流教室~ Vol.2 [VHS]
ドラマにしては最高のクオリティをほこってきたロングラブレターの最終回です。このドラマは色んな所に色々な意味を持った場面、台詞が盛り込まれているというのももう一つの魅力です。何度も見直すことによって、一度では良く分からなかったことがだんだんと見えてきて、もっともっとロングラブレターの世界に引っ張られてゆきます。ドラマでこんなにも感動したことはないというくらいに1つ1つのストーリーに感動してしまいます。このドラマを見ることによってたくさんのものが得られると思います。絶対に最終回まで見てください!!!
ALL THE SINGLES
私は本作の他にも「ヒデキ・ゴロー・ジュリー」のシングル盤BOXセットを所持するろくでなしです。黄金時代・70年代の歌謡曲好きとしてはそれら各々に愛着がある訳ですが、とりわけ本作はB面の楽曲まで年代順に網羅されていて圧巻!親会社の体力あればこその企画力に感謝ですね(そのB面は未だに宝の持ち腐れ。スミマセン)。
個人的な聴き所は、もうダントツにディスク1~4のA面曲群。先ず1~2の「純情美少年路線」に着目すると「男の子女の子」「よろしく哀愁」は言うに及ばず、1-3、1-9、1-15、1-23、2-1、2-11、2-17、2-19、2-22といった重要曲が目白押し!特に「裸のビーナス」「悲しきメモリー」「お化けのロック」の軽やかさが大好きです。
ディスク3~4の充実振りには茫然自失!郷さんが少年から青年へと鮮やかに変貌を遂げた「禁猟区」を皮切りに、3-3、3-7、3-11、3-13、3-15、そして大傑作バラード「マイレディー」。さらに4面のA面曲に至っては、その全てが高レベルの完成度で身震いするほど。筒美京平との蜜月時代以上に、網倉一也・都倉俊一作の楽曲との相性の良さが際立ちすぎです。
「タブー」「若さのカタルシス」「未完成」、極めつけの二部作「哀愁ヒーロー」で中期の総決算を果たした後も、節目節目で5-1、5-9、5-15、8-1、8-3の様な重要曲を残していく飽くなき活力。我が国屈指のエンターティナーが歩んだ道程を俯瞰するに、これ以上のツールはありません。全曲の歌詞、LP・シングルジャケット写真を含めたブックレットも含め、大人買いする価値ありの本BOXセット。廃盤にならない内にゲットして下さい!
闇のアルバム/楳図かずお作品集
1975年、萩尾望都・竹宮恵子ら、いわゆる24年組の作家が
次々と傑作・問題作を世に問い、漫画ファンの耳目が少女
漫画に集まっていた頃、突如リリースされたこのアルバム、
少女漫画誌を中心にPRされていました。
当時とても欲しかったのですけれど、年少故にままならず、
爾来30星霜、忘れていたところへ、寝耳に水のCD化です。
楳図かずおが漫画の天才であることは論を待ちません。
このアルバムを聴けば、その才は漫画だけでは無いことが
解ること必至です。
ご本人はロックを志向しているようですが、歌詞の聴かせ
どころが多い点、シャンソンに通じるような気がします。
ともかくこれは、ファンなら必聴の一枚です。