吉原遊女絵伝 (SPコミックス)
ホラー、美少女漫画などで知られる千之ナイフ先生の、初の本格時代漫画です。
本を開いた瞬間「何これ、凄い!きれい…」という印象です。
着物一枚、かんざし一本に至るまで美しいディテールで彩られた、幻想的な江戸吉原の物語。
千之ナイフ氏の著作は他にも読んで来ましたが、これ程までに臨場感のある、美しい、華麗を極めた作品は無かったのではと思います。
ストーリーも、遊女の成長物語、滑稽譚、怪談ミステリー、と幅広く収録されてますが、
中でも「吉原の客達を癒す、”菩薩の心”」が出てくるくだりは現代の私達にも深く響くものがあると思います。個人的には、「羅生門河岸雪色慕情(らしょうもんがしゆきいろぼじょう)」の遊女、「菊川」の粋でクールで情け深い生き様が好きです。
とにかく眺めているだけで面白いです。細やかな描き込みに思わずその遊郭を見てきたかのような気分にさせてくれます。
遊郭ものなのでもちろん濡れ場は出てきますが、女性ファンも多くキレイな描き方をされている氏の作品なので、女性にもお薦めです。
千のナイフ
デビューアルバムから既に、こんな独自の世界を展開していたとは。
私の中で坂本龍一はとにかく「戦メリ」なのですが、
あの東洋的なメロディの原点がここにあります。
シンセサイザーの音が懐かしいですね。
参加ミュージシャンもすごい。
坂本龍一と渡辺香津美のペアは永遠です。
死太郎くん (ホラーコミックス)
「千之ナイフらしい作品」と言える要素ががんがんと盛り込まれています。
昔小学校の放課後に友達と話したこわーい話に夢中になった気持ちが蘇ります。
シュールでホラーで奇怪な世界があくまで陽気に描かれていてたまりません。
迷宮のアリス (リターンフェスティバル ホラーワールド)
前半部分が「アリスの不思議な家」「不思議な学園」「不思議な遊園地」の
『アリス三部作』、後半部分が短編群で構成された作品集。 『アリス三部作』は
ちょっとコミカルな、『エデンの最期に』の中盤に収録されているような作品。
反して、後半の短編は「身がわりの鏡」「夢の楽園」等どこかアンモラルで
エロティックな雰囲気のホラーです。『Sister』に収録されているような作品が好きなら
お勧めかな。
全体的にコミカルな面の千之ファン、ダークなホラーの面の千之ファン、どちらも
満足出来る、最近の作品では割とお勧め。あとがきを見るに、作者本人も結構
思い入れがあるようです。