ノスタルジア [DVD]
タルコフスキーが言っていることで興味深いのは、
「映画においては、説明は必要ではないのだ。そうではなく、直接的に感情に作用を及ぼさなくてはならないのだ。こうして呼び覚される感情こそが思考を前進させるのである」という言葉。
タルコフスキーの書いたものを読むと、実に内省的、宗教的な、本物の芸術家の声を聴くような深さと、それゆえの深刻さとを感じる。
それは時に悲劇的にも思われ、彼の精神の内部に関わるのはとても重苦しいような、敬遠したいような気持ちにも襲われるかも知れない。
「ノスタルジア」という映画の語源は、ロシアでは、病に近い望郷の念を言うようで、タルコフスキーによれば「死に至る病」となるようである。
この映画と「惑星ソラリス」や「ストーカー」、この3本が最も印象にあるのだが、そのどれもがその--ノスタルジア--を語っているように思う。
それは彼の言うように、説明されえない、時にあまりに個人的、内宇宙的な、世界への宗教的な想いであったり、修行僧の懺悔のような告白のようであったりする。
「ノスタルジア」の、観客まで息苦しくなってくるような緊迫した長い凝視を要求する映像で描かれる、登場人物の世界を救済するという個人的な儀式・・。
模倣しようとすればきっと恥ずかしくなる、その驚くべき映像の内的必然性から生まれる独自性。
彼の最後の作品の題名が、彼の内面の内へも外へも、彼の精神の運動のすべてを言い表わしているような気がする。
それは「サクリファイス」、犠牲という言葉である。
タルコフスキーを想うと、むかしむかし、西洋の厳格な修行僧が同時に求道的な芸術家であったような時代の、そういう時代に存在したかのような男のシルエットが浮かんでくる。
サクリファイス スペシャル・エディション (2枚組) [DVD]
なんといったらいいか。難解ですが素晴らしい。心に、そして魂に染み入るような映画です。
主人公の美学者が言葉を失ってしまった息子と北欧神話で重要視された世界樹を浜辺に植えるシーンから始まり、恐るべき遅い速度で展開していくカメラの長まわしが生み出す映像美から片時も目を離すことができません。この世の矛盾をそれまでの人生と照らし合わせるかのように内省する美学者。木々の間で、草の上でとてつもない自然との、自己との対話が成されるシーンからして圧巻。ざわざわと草を揺らす風が不安とせつなさをあおります。
矛盾に満ちた人間模様と世界。目的の定まらない医者の友人、夫のことを本当に愛しているのかどうかも定かではない美学者の妻、自分のことをあまり主張しない娘。そして突然訪れた世界戦争の危機。自己内省をしながら美学者は、自分の持てるものである息子を生贄にすることによって、また家に出入りする純朴な使用人の女性に自らの肉体を捧げるようによって戦争の危機を回避しようとします。なにも守るものなどないのに・・・。こうした美学者の心の旅路がタルコフスキー監督得意の澄み切った水と反射物を写し撮り切った脅威の映像美を交えてつづられていくさまは素晴らしいの一言。
やがて美学者は内省と自己陶酔との狭間で精神を崩壊させていくのですが、いったい本当におかしいのは誰なのか。むしろ、周縁として、排除されるべきものとして描かれている口のきけない少年、卑しい身分の使用人の女性、そして内省したうえで凶行に走る美学者のほうがまともで、快楽や体面を重んじる極めて世俗的な精神世界に住む医師や美学者の妻のほうがおかしいのではないか。タルコフスキーのメッセージはそんな風にもうけとれます。
人間には形にはまりきらない余剰の部分が確かに存在し、その部分をふくめて見つめなおすことの意義を不可思議な展開のなかで我々の心に刻印する、これはロシアの映像哲人アンドレイ・タルコフスキーの異郷で撮り上げた美しい遺作。
サクリファイス
アレーンの歌声はやさしいんだ^^
ジャマイカの元モデルさんらしいのでおきれいですし
R&Bが好きな人にも聞いていただきたいです。
おすすめは
ガーディアンエンジェル使いの1
と2
スマッシュ使いの7
9.10
なんかいいです。
彼女の哀愁ただよう系
は強いです^^
サクリファイス (新潮文庫)
他の方も書いているが、「ミステリー」だとか「サスペンス」を期待して読むのは間違いだろう。これはいわゆる殺人や犯人探しの物語ではないから。
しかし、そんなことは面白さとは関係ない。これは「サイクルロードレース」という、日本人にはまだ馴染みの薄いスポーツに人生をかけていこうとする若者の物語。
ロードレースならではのルール、組織、葛藤、問題をこれほど見事に盛り込んだ「小説」が日本でやっと生まれた、記念すべき作品ではなかろうか。
主人公は自転車ロードレースのプロチームに所属する「アシスト」。アシストとは、リーダーたる一人の選手の為に走る、支える存在。でも、彼らがいるからこそ、リーダーは勝利への責任を負っているのだ。
「サクリファイス(犠牲)」とは、はたして何なのか、そして誰なのか。最後まで気をゆるませない展開と、可能性に満ちたラストシーンに、読後は知らずに涙していた。
ロードレースのファンなら、読んで損なし。そして、これからロードレースを知る人にも。
エデン
サクリファイスはあっというような結末でしたが、エデンにはそれはありません。
駄作というほどではないですが、名作とはいえないと思います。
でも、白石誓の自転車レースシリーズはこれからも書き続けて欲しいと思います。
今後活躍しそうなキャラクターも沢山いますしね。