聞こえる
中村中(あたる)の5作目となるオリジナル・アルバム。
以前から存在が気になっていた人だが今回初めて作品を聴いた。なんとなく勝手に情念系シンガーの人だと思っていたが実際作品
に接すると、予想通りの部分と抱いていた先入観とは異なる印象も受ける。
まず彼女の声。予想していたよりも癖は強くなく清らか、音が良く伸びる気持ち良い声をしている。また発音が明確で、自ら書く言葉
を歪みなく聴き手に伝えようという強い意思を感じる迷いの無い歌唱だ。歌の表情も一本調子でなく、色気を出したり、ぼそぼそ語り
調になったり、蓮っ葉な芝居調になったりと多彩で、歌を演じるという意味で一種の女優のような存在だと思う。
独特の詞表現をする人だろうことは過去の曲名から想像していた。カードに多彩な字体で刻まれた詞は、人によってはトゥーマッチと
感じる程ずっしりした重みがある。どちらかと言うと恥や後悔といった他人には見せたくない心の陰を表したものが多いが、彼女の歌
はそれを躊躇なく晒し、時に傷を抉るように強調する。しかし不思議とその赤裸々な歌が心を癒す。その中では楽観的な言葉が並ぶ
「脱力しようヨ」が若干異彩を放っている。
目隠しをし聞こえるものに意識を集中しているような彼女の写真が印象的なジャケットは、作品の劇的な流れを象徴しているかの様。
未来への不安と、過去との決別を歌う「タイムカプセル」で幕開け、虚無的な空気が漂うロック・チューン「DONE!DONE!」、寂しげなフ
ォーク調「平熱」等を経て、心がどん底まで落ちた悲愴感漂う劇音楽調の「見世物小屋から」を中央に置く。
後半はそこから次第に心が上昇するバラード調の楽曲が並び、7分を超えテクノ〜ロック調へと推移する終曲「闇のまん中」、これが
素晴らしい。ここで彼女は目を閉じても聞こえる音の存在を感じ、そこに道や夢等はあるかと執拗に問いただす。そしてその方向へと
手探りで向かう「誰か、誰か…」という叫びでフェイドアウトする。一本の演劇の様な流れの中で聞こえる彼女の声は、聴き手の心を
も明るい方へと導くようなオーラがあり、感動的だ。
後半の流れは何処かしら3.11の悲しみとそこから這い上がろうとする人の心とも重なるものを覚えた。多種のジャンルを含み飽くまで
中村中の音楽に仕立てた楽曲達はとても心を打つもの。多数含まれる凄腕サポート陣の演奏も含め聴き応えある力作だ。
大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)
<食べないから死ぬのではなく
「死ぬ時」が来たから食べないのだ>
そうか、そうだったのか!
この言葉を3年前に聞きたかった
それまで食欲旺盛だった97歳の母が
徐々に食事が取れなくなりました
私は
食べないと元気にならない、食べないと病気も
治らない そう思って
母の口をこじ開けて、スプーンを押し込んでいました
母の為に・・と思ってしたことが
実は母には拷問だったのですね
私が犯した行為は、母が亡くなって3年たた今でも
トゲのように胸に刺さっています
病院では、鼻チューブ栄養を試みられましたが
消化できず、すぐ下痢として出てしまうので
次は中心静脈栄養になりました
首に注射針を刺して栄養を補給する方法ですが
当時は、早く母を元気にしたい一心で
私は処置に同意しました
しかし、
首に注射針が突き刺さった母の姿を見た時
あ〜こんな辛い思いをさせてまで生きなくてはいけないのかと
胸が痛み、心は揺れ動きました
その間にも
血圧が上がったと言えば、下がる点滴を
下がったと言えば上がる点滴を処置されていました
私はいたたまれなくなって
「もう辞めてください、何もしないでください」と訴えました
院長も婦長もわかってくださって
その後は水も栄養もなしです
それから一週間くらいたった頃
私の目の前で、母は安らかに死んでいく姿を見せてくれました
とは言うものの
栄養を止めてしまってよかったのだろうかと
3年間、内心、忸怩だるものがありましたが
本書を読んでやっと胸のつかえが下りました
人は誰でも必ず死ぬんだ、と言うこと
死ぬこと(自然死)は怖くないと言うことを
教えてくれる本です
重いテーマながら
著者のユーモアある文章で、時にはくすっと笑ったりして
読み進んでいきました
3年前にこの本に出会いたかったです
老若男女 すべての人に読んで欲しいです
特に病院の先生には
蛇足ながら
本書を読んでから
私が書いていた「エンディングノート」の一部を
書き換えました
おじさん図鑑
腹を抱えて笑ってしまった。
この本、人にすすめたくなります。
くだらないけど、面白い。しかも、おじさんにならないでいよう!って強く思えます。
おじさんは、外着が「白い服」で、ナイキのキャップが大流行していると、意外なおじさんの中で流行している
ものを知れたので、その流行に乗らないように頑張ろうと思えた
青春歌年鑑 70年代総集編
こうして70年代を振り返ると楽曲の幅広さに驚きます。それは70年代がとても時代的にも音楽的にも発展を遂げたことを表わしているのだと思います。
70年は歌を聞けば時代や世相が最も蘇ってくる時代だったと思います。まずみんなが口ずさんだ当時子どもだった皆川おさむさんの「黒ネコのタンゴ」子門真人さんの「およげ!たいやきくん」。 男性ボーカリストの熱唱も魅力だった尾崎紀代彦さんの「また逢う日まで」布施明さん「シクラメンのかほり」など永遠の名曲です。 またフォークソングでは拓郎さんの「旅の宿」、70年の学生の象徴歌「学生街の喫茶店」、今でも昭和の名曲といえるかぐや姫「神田川」。青春熱血ドラマの主題歌で思わず駆け出したくなる「太陽がくれた季節」しっとり振り返る中村雅俊さんの「ふれあい」「俺たちの旅」。70年代はアイドルブームでしたテレビドラマから生れた天知真理さんの「恋する夏の日」、浅田美代子さんの「赤い風船」。そして新御三家やグループアイドルが一世風靡し、振り付けも音楽のひとつなったキュンディース「微笑がえし」ピンクレディー「渚のシンドバッド」みんなが大合唱した「YOUNG MAN」。そして忘れてならない70年代のアイドルの巨匠?山口百恵さん「横須賀ストーリー」など。そしてミューミュージックブームの先駆者「あなた」もちろんユーミンの「あの日に帰りたい」、森田公一「青春時代」、堀内孝雄「君の瞳は10000ボルト」、それにザ・ベストテンなどでの活躍が印象的なした沢田研二「勝手にしやがれ」サーカス「Mr.サマータイム」ジュディーオング「魅せられて」など。この手のオムニバスにあの曲がないはつきものですが、よくがんばってくれたといえる2枚組みだと思います。
ララバイSINGER
とにかく、疲れた心に利きます。CDプレーヤーを通した歌ということを忘れるくらい温かみがある。それだけではなくて、一歩先へ行こうと思わせてくれる。特に「水」と「お月さまほしい」が私のお気に入りです。人の痛みをよく知っている彼女だからこそ描ける世界で、スーッと心に染み込んできます。提供曲の良さも再認識できますよ。「あのさよならにさよならを」は朋ちゃんよりもさらりと歌い上げていますが、アレンジと声がよく合っていて、この歌の持つ気高さが伝わってきます。あくまで私見ですが、この作品で彼女は一つの時代を終わらせたような気がします。原点に返ったと言われていますが、私はこの作品に、新たな時代の幕開けを予感しました。彼女はまだまだ進化すると思う。初期のファンでみゆき離れした方、瀬尾さんのアレンジに飽き気味の方、是非聴いてください!