殺人鬼 (Hayakawa pocket mystery books (195))
緻密な構成、
物語の展開、
館の雰囲気、
トリックやアリバイの妙・・・。
全てが一級品だった。
ヴァン・ダインを目指した作者が、
日本独特の光景や伝統におとして再現させた一級品。
これを読まずして推理小説は語れない。
素晴らしい展開と全体を覆う雰囲気に脱帽である。
日本探偵小説全集 (5) (創元推理文庫 (400‐5))
大部である本書の三分の二ほどを占める「殺人鬼」は、探偵小説史の中では重要な作品だが、現在のすれた探偵小説好きの目から見ると、あまりにも素朴である。
殺人迷路;悪霊物語 (春陽文庫―合作探偵小説シリーズ)
「殺人迷路」と「悪霊物語」の2本の連作推理小説が収められている。
「殺人迷路」は、森下雨村、大下宇陀児、横溝正史、水谷準、江戸川乱歩、橋本五郎、夢野久作、浜尾四郎、佐左木俊郎、甲賀三郎によるもの。昭和7〜8年に新潮社から『新作探偵小説全集』全10巻が出たとき、各巻に付録として一章ずつ書かれた。
完全犯罪への挑戦がなんだかおかしな方向にそれていき、思いもかけない結末が訪れる。結末がちょっと詰め込みすぎなのが残念。
「悪霊物語」は、江戸川乱歩、角田喜久雄、山田風太郎の合作。『講談倶楽部』昭和29年9月増刊に掲載。人形師をめぐるグロテスクな話で、こちらもあっと驚く展開を見せ、真犯人も意外。
どちらも意外な犯人・真相という点でかなりおもしろい。一読の価値がある。