ミスティック・リバー (ハヤカワ・ノヴェルズ)
あのクリント・イーストウッドが感激して版権を獲得して映画化したと聞いて、興味津々でした。展開は、流行りのジェットコースター型のサスペンスではなく、人の心のミステリーがぐいぐい引っ張る感じです。歯車の一つがどこかで外れていれば、あるいは、もっと早く真犯人にたどり着いていれば、・・。
淡々とした語り口で物語は当たり前のように進んでいきますが、とってもミステリーです。
ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫)
一人は子供の頃の心の傷を抱え、一人は現在の生活に至るまでに暗い過去を持ち、そしてもう一人は現在の生活に穴が空いている。3人は子供の頃の遊び仲間だったが、中年にさしかかろうという時期に新たに起きた事件によって再びお互いの人生に影響を与えていく。
カテゴリーとしてはミステリー・サスペンスに入るのでしょうが、謎解きとスピード感を追求するようなものではなく、トマス・クックを思わせるような情緒的な描写が印象的な作品で、また読み終わった後しばし感慨にふけることができます。その分、ストーリーの割にはページ数が多く、中盤展開のないままちょっとだれてしまうのが残念。
でも、人生の哀しみとか、それを乗り越えていくことについて考えたい人にはお勧めです。
ミスティック・リバー [Blu-ray]
ブルーレイを購入して初めてこの映画を観ました。
衝撃のバッドエンドにより観る者の淡い期待を打ち砕く映画は数あれど、この作品は別格です。
決して楽しい映画でも感動する映画でもありませんが心に残るものは大きいです
画質は結構いいです。まあそんなに昔の映画じゃないから当たり前かもしれませんけど。
そんなわけで、映画も気に入って、画質も良くて、特典も充実しているので
この値段で買えたことには満足しているのですが、こんなに重苦しい映画をもう1度観ようと思うかは謎です。
ミスティック・リバー 特別版 〈2枚組〉 [DVD]
ほかの皆さんの書き込みを読んで、とても驚きました。僕の感想とは全く正反対のことが書いてあったので、正直、映画の見方を間違ったのかと不安になっています。
僕は、紛れもなく素晴らしい映画だと思っています。ひょっとしたらとんでもない勘違いをしているのでしょうか?
実は僕はDVDは買っていないのです。この映画が嫌いな人は「ほれ見たことか」と仰るかもしれません。でも、僕が買わない理由は、あの圧倒的な哀しさを何度も味わう勇気がないからです。だから記憶の中で何度も再上映をしています。そして、いつかは買いたいと思っている作品でもあります。
ネタバレをしないように気を付けますが、この映画が「強い者は強く、弱い者は弱い」というテーマを描いているのだとは思えません。むしろ、強い者がその力を発揮して復讐を行ったが、それは全く意味のない行為だったという逆の意味を持っているのではないでしょうか。
あまり映画と時代を結びつけるのは好きではありませんが、イラク戦争反対の映画、と読むことも可能ではないかと思います。復讐の無意味さ、というものをこれほど残酷に示したものはないでしょう。そういう意味では「許されざる者」と共通のテーマを持っているのだと考えます。
後味が悪い、というのは全く同感ですが、それは作品のクォリティが低いという意味ではないと思います。むしろ、もう涙も出せないぐらいに哀しい、ということでしょう。何といっても、この映画の主人公の行動は一貫して無意味なのですから、これほど身も蓋もない物語はないはずです。身を切られるような辛さは、そのまま観客の感想でもあるはずです。正視に耐えないほど哀しいという感覚は、正直言ってDVDを購入して何度も味わいたいという感想からはほど遠いと思います。ですが、それが作品の否定にはつながらないと思います。これほどまでに美しい哀しさをたたえた映画は稀でしょう。僕は傑作だと信じます。
皆さんのご意見を拝読して、「許されざる者」がそれほど人気がなかったことを思いだしました。意地悪な見方をすれば、僕ら日本人は悲しいお話が涙につながれば感動するのに、それが哀しさのまま持続し、ある意味で劇的なカタルシスにつながらないで静止したままの時、あまり喜ばないのかもしれません。確かに分かりやすい見せ場はなく、ひたすら重い映画でもありますが、その静謐さに感動してほしいと願います。
ミスティック・リバー [DVD]
ディテイルのいくつかが、まったく同じではないですがスティーブン・キングの小説を髣髴させるものがあります。
たとえば、道路で野球をしていてボールが排水溝を落ちていくところとか。
原作を読んでいないのではっきりとは判りませんが、きっとアメリカ人ならばああいったシーンに、郷愁を揺さぶられる共通の何かがあるのでしょうね。
多くの方がおっしゃっているように、演技達者な俳優ばかりでそういったクォリティはすばらしいものがあると思います。
画面もちょっと暗い感じで、雰囲気が良く出ています。
星を3つにしたのは、この物語自体が好きになれないからです。
きっと、今のアメリカの現実はこういうものなのだろうな、という理解はできます。
~一度何かにつまずいたら、一生引きずりそこから逃げ出すことなんかできない~
というような厳しい現実は、どこの国にも厳然としてあるけれども、かつてのアメリカ映画の中には、もうすこし、人間嫌いにならない程度にリアリティをかんじさせてくれたと思います。
あと、有名な原作の作品だからなのでしょうが、映画を見ただけでは、ケヴィン・ベーコンの夫婦関係もさっぱりわかりません。
ショーン・ペン夫婦はひたすら自己中心的に見えるし、、。
アメリカ人ならばこういったことも映画を見ただけで理解できるのでしょうか。それとも原作を読んでおかなければならなかったのでしょうか。