居酒屋兆治 [DVD]
いやー、改めてこんなにも昔の映画だったのですね。
昭和58年公開とは。
配役が良く、バランスが取れている。
最初は兆治の妻役の加藤登紀子があれっ?て感じでしたが、
映画を見ると兆治だからこその妻だったのではないでしょうか?
と思えるように。
他もまるで兆治自らがキャスティングしたような、
大滝秀治や小林念侍、武田鉄矢そして、池部良がいる。
これらの俳優達は驚くべきことに、脇役でしかもチョイ訳。
しかし、故伊丹十三が、こんなに演技が上手とは思わなかった。
映画監督で名を馳せたが、役者としてやっていた方がよかったのかも。
彼はこの映画の中で非常に重要な人物だった。
さて、健さまですが、
かなり設定が格好良すぎ。
高校生の頃は野球部のエース。
しかも大学野球からスカウトが来るような豪腕。
昔は造船所で働いていたが、義理堅く、
人を簡単に解雇する仕事は出来ないと人事部を自ら退職。など…
特にワンシーンだけでしたが、
無精髭でのシーンがあり、
個人的にはそこがカッコよかった。
青い月のバラード―獄中結婚から永訣まで (小学館文庫)
元 学生運動の闘士藤本敏夫氏との登紀子さんから見た結婚生活、お互いの気持ちのすれ違い、を徹底的な話し合いで出し合い、お互いに相容れないと別れを決意し、家を出ていく登紀子さん。
感心だなぁ!と、思ったのは徹底的に自分の意見をお互いに出し合い、自分を偽らなかったところ。周りで登紀子さんを支えてくれた人たち、子供さん3人を産んで育てて・・・・。
登紀子さんのお母様、またシャンソン歌手の石井好子さん・フォークソング?の浅川マキさんなど、登紀子さんの人生で大きな支えとなった人たちのこと、ここぞという時に挫けず難問に立ち向かっていく登紀子さんの姿勢、何だか「あなたも挫けずにがんばりましょう!」と、言ってもらっている気がしました。
男の人のこと女である私には本当に理解できないことが多いけれど、登紀子さんもそういう思いを経験していたんだ!と、共感できました。
わたしも、何とか今の夫と協力しながら生きていこう!と、いう思いを強くさせて頂いた作品でした。
紅の豚 [DVD]
ポルコが豚になった理由は、
「ファシストになるくらいなら、豚のほうがマシ」と言う言葉でわかるように、
他国を侵略するファシズム国家となったイタリアの手先となることに対する抵抗でしょう。
ファシストの手先となって自分の大切な親友が、次々戦闘で死んでいくごとに、
ポルコの中にかつてあった、純粋に空が好きで飛んでいたい気持ちとか、
仲間を純粋に信頼しあっていた過去もろとも、失われていった。
その結果が豚なんだろうと思います。
豚になっても空は飛べますが、人を信じる気持ちなど持てませんし、
ましてジーナを愛する気持ちも、すでに過去の古い思い出でしかない。
だから「そんな古い写真をいつまでも貼っておくな」と文句をいったりする。
そんな豚を大きく変えるのが、艇の修理に訪れたピッコロ社で出会った少女フィオ。
純粋無垢な彼女は、祖父から伝え聞いたマルコ・ファゴットをそのまま信じ、
ポルコの冷め切った心のなかに、躊躇なくダイビングしてきます。
ただただ、飛空艇が好きで、才能を輝かせていた、自分の若い頃そのままの彼女は
さすがのポルコをも、揺り動かしてしまう。
「きれい。世界って、ほんとうにきれい」
「信じてる」
かつてポルコが捨て去った「大嫌いな」純粋さを、
フィオから何の臆面も無くストレートにぶつけられ、
彼が失っていた、若い頃の感情を取り戻していきます。
いい年をした冷めた大人が、少女を取り戻すために、
死に物狂いで闘い、熱い気持ちを取り戻していきます。
それが、結局ジーナとの間に長くたちはだかっていた
不幸な数々の経験による壁を超えるだけの、
信頼や愛情を取り戻し、
ポルコが再びマルコに戻って、彼女の庭に訪れた(かもしれない)
という最後に、つながっていくのだろうと思います。
アクションと、素晴らしい映像によって、
ともすると見えにくいプロットですが、
たいへん素晴らしい作品だと思います。
美ら歌よ~沖縄ベスト・ソング・コレクション~
沖縄音楽にいやされたくて、つい購入してしまいました。
もちろんヒット曲・有名曲の寄せ集めなので、それなりに楽しめます。が、いまいち思惑どおりでなかったのは、実は沖縄音楽は癒しではなく、勇気を与える音楽だったのかな、と思わせるほど力強さを感じさせます。
長谷川きよし/ベスト・セレクション
去る5月12日のNHK総合「SONGS」に長谷川きよし氏が出演され、その迫力と存在感に改めて脱帽しました。
ガットギター一台だけで魅了してしまうスパニッシュタッチの演奏と歌。 これは元来フィリップス・レーベル(1969〜1975)から発表されていた音源からのセレクションです。
デビュー曲「別れのサンバ」は最近深夜のFM/J-WAVEでも流れるほど洗練されており、普遍性を改めて感じます。
「黒の舟歌」もまた然り。 男女双方にこれくらいの覚悟がないと長く波乱に満ちた人生を歩めない筈です。 AKB・ジャニタレ等の浮ついた“恋だー夢だー”しか歌えない、一過性のアイドルポップを完全に引き離した存在感があります。
自分が初めて彼を知ったのは、NHK「みんなのうた」で流れた「鳩笛」。晩秋の風景に立つ彼の姿と抒情性あふれる歌でいっぺんに虜となりました。
残念なのは、ここには「愛の賛歌」が収録されてない事。
(越路吹雪版で有名な)岩谷時子の作詞は聴きやすいものの、オブラートに包んだようでリアル性がない。 対して長谷川さんの「愛の賛歌」は高校時代の先生によって訳され、飛行機事故で失った恋人へ“あなたのためなら何でもやる、地の果てへも行くし盗みもする、友も国も捨てても良い!”というエディット・ピアフの悲壮な情念を忠実に歌った珠玉の一曲です。