綾辻行人・有栖川有栖からの挑戦状(3) 安楽椅子探偵の聖夜~消えたテディ・ベアの謎~ [DVD]
安楽椅子探偵シリーズ第三弾。
すべてのシーンから何重にも張られた細かくも重要な伏線のみをピックアップし、かつ、それらを理路整然と組み立て、動機からではなく、あくまで「映像から得られる情報」のみで真相を推理するという本格ミステリー嗜好は相変わらず。難易度が高いのも相変わらず(笑)。
今作の最重要ポイントである「テディ・ベアが消えた理由」については、心理的な思考の裏を上手く突かれた感じで納得したが、イヤリングの謎については、さすがにちょっとイジワルだと思う。「間違い探し」をやってんじゃないんだから、もう少しフェアな情報の提示の仕方ってものがあるんじゃないかと(ある意味、ミステリーの謎解きは間違い探しが本質かも知れないけど…)。
他にも「意味深なだけで実は無意味」な情報が露骨に散見されるので、推理の可能性(選択肢)がそれこそ無限に広がってしまい、深読みし出すと本当にキリが無くなる(笑)。純粋に推理の難易度が高いというより、変な風にミスディレクションしようとする意地悪さが垣間見えるのがこのシリーズの難点。
完成度としては、ON AIR>1>3>2>4>>>5といった印象(こうして見ると、ON AIR以外はほぼ順当に回を重ねる毎にレベルダウンしている感じ)。
十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)
綾辻行人のデビュー作です。
「綾辻以後」という言葉が生まれたほど、彼の登場は衝撃的でした。
彼が失敗していれば、いまの本格ムーブメントがこれほど盛り上がりを見せていたかどうか、
甚だ疑問であると同時に、その先駆者が綾辻行人であったということに
何か宿命みたいなものを感じずにはいられません。
さて、この「十角館の殺人」ですが、数人の人間が孤島へ行き、
そこでひとりまたひとりと殺されていき、最後には・・・・・・、
というようにプロットはクリスティの「そして誰もいなくなった」です。
読み始めてすぐに浮かんできた言葉が「青いな」でした。
それは、登場人物が大学のミステリ研であるとか、ニックネームで呼び合うとか、
そういうところが実生活の延長をただ著しているだけのように感じられて鼻についたのです。
が・・・・・・。
ネタバレになるといけないので深く触れませんが、
私は、「青い」と思った時点で綾辻さんに負けていたのです。
今もはっきりと覚えています。ラスト近くの例の一行を読んだときのあの衝撃を。
頭が真っ白になり、しばらく呆然としてしまいました。
大げさではなく、5分間ぐらい動けませんでした。それほどのショックでした。
そして、「やられた! 騙された!」とひとりで叫んでいました。
気持ちのいい敗北感でした。
すべてはここから始まったのだと、いま改めて思います。
綾辻行人・有栖川有栖からの挑戦状(4)安楽椅子探偵とUFOの夜 [DVD]
難しいです。
はっきり言って、難問です。
本格ミステリー小説のマニアでも、なかなか解けない「謎」です。
その「謎」はいたってシンプル。「はたして犯人は誰か?」のみ。
論理的な本格ミステリーを楽しみたい方、エラリー・クイーンばりのフェアな読者への挑戦(この場合は、視聴者ですが)に挑みましょう。
これはシリーズの第4弾ですが、それぞれ単独で楽しめます。でも、まったく未見の方は、先ず第1作の「安楽椅子探偵登場」から見られた方が良いかも知れません。
ちなみに、未DVD化の第5弾は更なる難問ですが、相変わらずのフェアプレイでした。
自分が「謎」が解けなかったからといって、このシリーズの悪口をあちこちで言う人を見ますが、それらは気にしないでください。
本格ミステリと、小演劇ファンの方へ、お薦めします。
歪んだ王国
ベスト盤”白と黒”の分別にも疑問が多かったが、どうも自分が”暗さ”と”辛さ”を同一視していたからだとこのアルバムは教えてくれた。 皆さんは合点が行っているようだが、このタイトルならば、ありきたりなラブソング調の曲は排したほうが、トータルアルバムとして好ましかったと思う。 アレンジの壮大さが時折しらけてしまうように感じた。
綾辻行人・有栖川有栖からの挑戦状(2) 安楽椅子探偵、再び [DVD]
レンタルもされていないようだし、放送されている事すら最近まで知らなかったので、綾辻ファンという事もあり、仕方なく(オイ)買ってみたけど、う〜ん…。
人間ドラマやストーリーを見るものじゃないのは分かってるけど、真相を知ってしまったらそれっきり。もちろん初めて見る分には面白いが、何度も見るタイプの作品ではないという点ではコストパフォーマンスは悪い。
謎解きも本格作家らしく実にフェアではあるが、突っ込み所も無い訳ではないし、はっきり言って「そんなとこに気付くか!」という部分もある(何故、疑われると思ったアレをわざわざアレする必要があるんだろう?燃やすなりして処分すれば良いのにとか、携帯電話のアレにしても必ずしも説明の通りとは限らないだろう)。結局、いくら注意深く見ていても疑い出すとキリが無く、真相に辿り着くのは難しいと思われる。
でもまあ、本格系ミステリーが好きで、謎解きに挑戦してみたいという人にならお奨め。