40年前の父アールを描くパートと、現代のパートが交互に描かれる構成。本作の魅力はなんといっても寡黙でストイックな元スナイパーというボビー・リーのキャラクター。常に先を読み、決めたことに対する行動力、物事の注意力など驚嘆する。それ以外にもしっかり描きこまれた登場人物のキャラがたっている。とりわけ今回印象深いのは父アールの盟友で調査に協力する老弁護士のサム。
またハンターの作品に共通する特徴として使用される銃器に関する記述は、本書でも同様。ストーリーに織り込まれたその思想は、単なるガンマニアというレベルではなく、アメリカ社会のひとつの背景を成す銃信奉、力への信奉といったものが垣間見え興味深い。