たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)
「たけくらべ」「やみ夜」「十三夜」「わかれ道」「うもれ木」の現代語訳版が収められています。「樋口一葉の作品は読みづらい」「途中で投げ出してしまった」などという人も多かったので、現代語で出されたのは良いことだと思う。「たけくらべ」のみ文体は全く変えずに現代語訳してあるので(訳者の作品に対する思い入れが強いためらしいが)、そこは賛否両論あるかもしれない。樋口一葉を読みたいと思っている人はまずこの現代語訳版を読んでから原文に当たることをお薦めしたい。日本を代表する作家です。
ナチュラル・ウーマン [DVD]
けったいな映画ばかり作っていた佐々木浩久監督初の「まとも」な官能映画。諸川たまきがムンムンで、好きな女優。彼女の醸す雰囲気は最高だが、いかんせん筋書き、展開、カメラワークなどの映画としての基本が出来ていないような気がする。嶋村かおりももう少し力のある監督、スタッフに恵まれたら良い女優になるのに・・と、エラソーに思っております。
天使に見捨てられた夜 (講談社文庫)
直木賞作家、桐野夏生の初期長編ミステリー作品。
仕事のない私立探偵、村野ミロのもとにある日ひとつの依頼が飛び込んでくる。それは、一本のレイプビデオに出ていたAV女優、一色リナを探し出すという内容のものだった。だが、ビデオに関係していたと思わしき関係者たちはみな揃って何かを隠し、リナの行方は遥としてつかめない。そんな中、依頼者の渡辺が何者かに殺されるという事件が発生。ミロはリナの周辺に何かが隠されていることを確信する……。
一人称で進むハードボイルド風小説のため、この主人公を面白く思えるかどうかで評価はわかれてしまうだろうなぁと思いました。
僕はまったくダメでした。
なにせ、主人公が寂しさを紛らわせるために隣人の友情を利用したり、相手方のボスと寝てしまったりと「女全開」なのです。
なのに、ハードボイルドって。
別に女が主人公ではハードボイルドは成り立たないなどと言う気は全然ありません。ただ、ハードボイルドの主人公には頑なでいて欲しいなぁとは思うのです。
寂しさがあってもいい。でも、それを抱え込んでいて欲しい。
それこそが単なるミステリーではない、ハードボイルドのような気がするのです。
でも、話の筋としては興味深く読めました。謎も面白いです。
※ほか、ちょっと。
・桐野夏生はいろんな人が出てきてそれぞれが思いを抱く小説のほうが上手い。一人称はちょっときつい。
・この人は女性嫌いなんだろうか。それくらい女性の描写が精神的にとても汚い。
・でも、これが女なんだろうなぁ、と男の僕は無責任に思う。