宮城野 [DVD]
はままつ映画祭で鑑賞した。もうDVDが発売されている映画だが、大きなスクリーンで見る機会を得られたことはうれしいことだった。東洲斎写楽の絵の一部をセットの背景に使い、5人だけの登場人物で描き出す江戸情緒溢れる物語はまさに浮世絵の世界だった。謎の絵師として写楽は興味深く、年増女郎宮城野の切ない生き様に涙が止まらなかった。主演の毬谷友子の演技は、まさに主人公になり切っている。
がんばっていきまっしょい
「がんばっていきまっしょい」とは松山東高校に伝統の、体育や朝礼の時に気合をかける時のかけ声。
卒業生であれば「タイトル」を見ただけでスグそれと分かる。
でもこのかけ声が生まれたのは1960年代とは、この本の「あとがき」で初めて知りました。
物語は、というより舞台設定は、ほぼ同年代を同校で過した評者にとってはまさに感涙もの。
同校伝統のリレーカーニバル、ボートレース大会、運動会などの行事が随所に散りばめられ、卒業生の郷愁を激しくそそります。
授業風景もほぼ当時の雰囲気を伝えていますね。
「ボートは奴隷のスポーツです」といいながら、女子クルーが「オーリャ」と気合を入れながら必死でオールを漕ぐ。
細長い4人漕ぎのボートが流れるように水面を滑っていく様の描写が秀逸。
高校に入学してスグ落ちこぼれとなった主人公「悦子」が、ある日海辺で見たボートに惹かれ、
最初はお気楽に練習していたものが「新人戦」で惨敗を喫し、「このままでは、やめらんねえ」と
4人の仲間とともに真剣に練習に打ち込んでいく所から、物語は俄然アツさを増す。
OGとしてクルーをコーチした大野婦人が卒業式の日に悦子に言った。
「シノムラさん、女子ボート部を復活させてくれて、ほんとにありがとう。
あなたは、主人と私にもう一回、青春をくれたんよ」・・・読者もきっと同じ気持ちなることだろう。
Best Soundtracks~篤姫BEST and more~
NHK大河ドラマの『篤姫』サントラ(2枚リリース済み)に
収録されていなかった、篤姫紀行4曲のオーケストラヴァージョン、
篤姫のテーマのピアノヴァージョンなど、今回初収録の曲が目玉です。
3枚組みですが、1枚めは篤姫のみ、2枚目は「ドクター・コトー」、
「冷静と情熱のあいだ」など吉俣氏の作曲した往年の
ドラマ曲が収録されています。
吉俣氏はもうかれこれ1000曲以上も作曲されているそうですね。
3枚目はDVDで、今回のCDにちなんだコンサートが収録されています。
2008.7.22に浜離宮ホールにて行われた吉俣良氏の「ドラマ空間」という
コンサートのライブ映像ですが、
『篤姫』サントラでのメインテーマは井上道義指揮のNHK交響楽団の
演奏でしたので、違和感を感じました。
NHK交響楽団の演奏に比べるとどうも見劣りがします。
音の厚み、間の取り方や「ため」、ソロの音色が、
どうしてもN響には及びません…。
私は篤姫の曲をコンプリートする目的で購入しましたが、
DVD(コンサート)の演奏は期待外れでした…。
An Introduction to Atmospheric Radiation, Volume 84, Second Edition (International Geophysics)
放射伝達、特に氷雲の放射効果の研究における世界的第一人者が書いた本。大気放射学の標準的な内容はカバーしていると思われるが、事実や数式の羅列が多く、基礎に基づいた見通しのよい物理的解釈の記述があまり見られない。放射伝達の計算法を具体的に使えるレベルまで理解するためには他のもっと親切な教科書か原論文を読む必要があると思われる。したがってこの本は、補足資料や辞書として使用するのは有効だが、理解を目的としたPrimaryな教科書として使用することは進められない。他の項目に比べて著者自身の専門分野である氷雲の研究について非常に細かいところまで書かれている。一般的なタイトルを付けた教科書に自分の細かな研究結果を長々と記述するという点からも、よく教育的配慮がなされた教科書とは言えない。
この本と対照的にBohren and Clothiauxの教科書「Fundamentals of Atmospheric Radiation」は、具体的な事実や数式の羅列より、基礎項目の物理的解釈が充実して書かれている。相補的に読まれることをおすすめしたい。
Colorless
「冷静と情熱のあいだ」から、吉俣さんのファンです。
エンヤの曲をメインにした宣伝戦略で、当時、吉俣さんへの注目度は低かったですが……。
弦楽器を中心とした、繊細で美しいハーモニーはさすが。
そして、ひとつの映画、ドラマでは聞くことのできない、多彩なジャンルが起用されていて、聴く楽しみが広がります。
残念なのは、ピアノの音。
特に13曲目の「直」はひどい。
こもっているのにキンキンと高音域が耳に障る。
せっかくやさしく、わざとそういうスタジオで録ったのかと思いきや、そうじゃなさそう。
弦の引き手もわざとなのか、音感がないのか、微妙にずれている。
サウンドトラックにとって、残響、エフェクト処理は、もうすこし丁寧にあるべきだとおもう。
逆に「眠れる森」は文句のつけようもない、吉俣サウンドだった。
聴きたかったのはこれ!! と声を大にして言いたいくらい。
ともあれ、吉俣さん入門編としては、おすすめの一枚だと言えます。