柳生武芸帳〈上〉 (文春文庫)
セリフは文語調、複雑な人物相関図、ストーリーもいいところで暗転しまくる上巻。
上巻は相関図をメモしたり居合の用語を調べながら、最後まで読むべきか、
現代小説に慣れ親しんでいるナンパなわたしは悩みました。
* * *
下巻の前半でやっと慣れ、面白くなってきました。
軟弱現代人にはイタいところですが、かつての日本のよき精神としての、武士道、信・偽。。
全ての人の行動・人生において精神のありかたを問われているような
Take it easyに侵される前のストイックな美学に貫かれています。
武芸帳を発端に禁中・殿中の関係のなか天下平定のために暗躍する柳生の真意とは。
攻略のために研究行動する日本、一方、危機を迎えてからこそ緻密に敵を探る中国。
朝鮮・中国とのスパイものへ急発展か?いったい柳生はどう関わっているのか?
じゃあ謎多きあの人はいったい?あの人たちは何でしつこくあちこち登場したの?
といった雰囲気で未完に終わってしまいます。
そこがドラマ・映画で多様に展開できるしかけになりました。
武芸帳の謎で、多少の無理もあれ、
これだけ広範囲に深く広く展開しているものはないでしょう。
柳生もののみならず、時代小説の発展に多く寄与した作品というのもうなずけます。
最初の三つ星を撤回し、構成難解・未完の分僭越ながら恐る恐る−1とさせていただきます。
残った★は読者の想像力で楽しみましょう。
いい音 いい音楽 (中公文庫)
著者の長年に亘るオーディの体験に裏打ちされた、感性主体のオーデォ論。歯切れのよい評価は、読んでいてもえせ評論の多い中で小気味良い快感を感じる。また、体験による部分が多いため、時代を経ても現在でも使える部分がある。再度、良い音とオーディオを考えるきっかけになる。
五味康祐オーディオ巡礼 (SS選書)
私は30代の音楽愛好家・オーディオ愛好家です。
ステレオサウンド創刊時に連載されてた随筆だということですが、40年以上昔の時点で、オーディオなどの本質が見抜かれている事に感銘を受けました。(若輩者がこんな事言うのは気がひけますが・・)
一読価値は充分あると思います。
この本の内容をステレオサウンドの評論家先生方は今一度読み直してみては?と率直に思いました。
最近はエラそうな事ばかり書かれていて中身がないので・・・さながら、超高級器のグラビア。
(あくまで、ファンとしての叱咤激励です。)
興味のある方は是非どうぞ〜
人生を変えた時代小説傑作選 (文春文庫)
多数ある時代劇作品の中から抜粋された作品集。
きっと読まなかっただろうな作品から
再読のものまで楽しめます。
三人三様の趣味思考討論も楽しいし勉強になります。
「ぼくらが惚れた時代小説 (朝日新書)」も併せて読むと
ダイジェストに時代小説をいろいろ知れて嬉しいです。
剣聖―乱世に生きた五人の兵法者 (新潮文庫)
上泉伊勢守等5編が納められている。それぞれ生涯を描いた作品ではないので人物評が不明なところはやむを得ぬがそれぞれの兵法への取り組みが良くわかる。特に上泉伊勢守は大変おもしろい。また佐々木小次郎が宮本武蔵との対決時69歳であっとは初めてしりました。歴史小説161作品目の感想。2008/10/12