坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)
正岡子規、秋山好古、秋山真之の3人を軸に物語は展開。
俳人と軍人の人生を追うストーリーも引き込まれます。
歴史に関する記述も膨大で、作者の歴史観が入っていて完全に客観的とは言えないでしょうが、
明治時代の日本史・世界史を勉強しなおしている気持ちになります。
第3巻は、子規の死と日露戦争の開戦が描かれています。
ロシアという大国に対峙する日本の国力と、開戦決定の経過が興味深い。
当時の欧州列強を中心とした国際情勢において、日本はアジアの小国にすぎなかったのに
開戦を決意します。
当時の世論が、これほどに好戦的であったことに驚きを感じました。
意外にも政府は当初は慎重。その後、開戦へ。
日露戦争は、日本の歴史の転換点のひとつだったのでしょうね。
アマルフィ~サラ・ブライトマン・ラヴ・ソングス~
映画『アマルフィ 女神の報酬』のオフィシャル・イメージ・アルバムとして、これまでのサラ・ブライトマンのアルバムの中から、サラ本人と、彼女のプロデューサーのフランク・ピーターソンが選曲したベスト・ヒット曲集。
冒頭に収められた大ヒット曲、サラの十八番である「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」(アルバム『CLASSICS』)はじめ、久しぶりにこうして彼女の歌声に触れてみて、改めてぞくぞくさせられましたね。透明、リリカルな声の美しさとともに、今回特に感じたのは、スイートな歌い口の上手さ。音楽のメロディ・ラインの歌わせ方がとても滑らかで、耳当たり(?)がいいんです。美味しいワインを飲んだ時みたいに、素敵にいい気分になりました。
なかでも、映画『タイタニック』のテーマ曲「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」のイタリア語ヴァージョンである第3曲「イル・ミオ・クオーレ・ヴァ」(アルバム『EDEN』)と、ラフマニノフの作品21-7の歌曲「ここは素晴らしい場所」(アルバム『LA LUNA』)のサラの歌声に、「わあっ!」と心を持っていかれました。
歌姫サラ・ブライトマンに、乾杯(^.^)/ ☆☆☆☆☆
NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 第1部 DVD BOX
冒頭の渡辺謙氏のナレーションから始まる、NHKスペシャルドラマの
第1部DVDボックスセットです。いうまでもなく、原作は司馬先生の畢生の大作であり
もはや国民文学といっていいほど広く読まれている作品です。
この作品を映像化するのに司馬先生は永いこと難色を示されていた事は
有名な話です。題材が‘日露戦争’とそれに立ち向かう3人の若者を中心に、
ともすれば軍国主義を肯定する恐れがある事を密かに心配されていたと聞きました。
さて、肝心の本編ですが、これがもう抜群に面白い・・・・。
久しぶりに余韻の残る作品です。明治という開化期に生まれた若者たちの
昂揚感や時代の空気を見事に切り取って観せてくれます。
秋山兄弟は軍において、正岡子規は文学において。
ひとつ想う事のある人はかくも美しいものだと、
遠くを懸命に目指す人の日々はこんなにも清清しい・・・と
このドラマは語りかけて来てくれます。
殊に正岡子規役の香川照之氏の演技の秀逸なこと・・・・!
香川氏の場面では殆ど涙をおさえることが出来ません。
久石譲氏のテーマ音楽も何ていうか、琴線に触れるんですね。
それにしても動乱期の明治の若者たちをそっと見守った
突き抜けるような蒼穹のなんと美しい事か・・・・!
そしてその末の一朶の白雲はきっと時代の明け初める
シンボルそのものなのでしょう・・・。
ドラマを観て私自身初めて‘自分の中の日本人’を意識した作品でした。
実に素晴らしい!!今年の12月が待ち遠しいです。
絶対にお薦めです。
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
初めに断っておくが、本書は小説である。
断っておかねば史学の研究者が明治史を一般向けに解説した学問書と勘違いしそうなほど、本書では歴史に関して掘り下げた考察がなされている。
現に本書を恰も研究論文であるかのように史学の見地から批判する記事を幾度か目にした。
が、本書は完全なフィクションではないにせよ創作の範囲を出ない。
創作物である本書を学問の立場から批判するのはいささか酷のように思える。
それはさて置き、本書は主に日露戦争に焦点をあてつつ近代日本の生い立ちを描いた作品だ。
元々台詞の少ない司馬先生の作品のなかでも特に台詞が少なく、考察部分が多くを占める。
従って文章を読むのが苦手な者には少々読みづらい作品ではあるかもしれない。
しかし明治という、それまでの日本を土台にしつつそれまでと全く違う、本邦が初めて国家として体系を為した時代を、またそこに生きた人々を、迫力を以って語ってくれる。
戦争の記述に関しても戦闘描写が本意ではないと述べつつ、緻密な筆致で表現されていて読んでいて手に取るように状況が想像できる。
一部の登場人物をあからさまに悪者に仕立てているという指摘もあるにはある。
しかしよしんばそれが事実だとしても、その悪者は悪者で確立した人柄がきちんと描かれており、現実感は損なわれるどころかむしろ増している観がある。
近代日本史について深く考察しつつ、現実的な物語を身震いするほどの迫力で伝えてくる秀作だと思う。
アヴェ・マリア
服部隆之氏の作曲から良く知られたシューベルトやバッハなどの
タイトルどおり様々な作曲家のアヴェマリアを歌っています。
アヴェマリアということもあり彼女の良さである自然で柔らかい高音が生きていて
アルバム「ピエ・イエス~祈りを込めて」とは又違った
女性らしい母らしい優しい雰囲気に仕上がっています
少し雰囲気は変わりますが最後に「坂の上の雲」のテーマ曲Stand Alone (日本語)
を聴いて改めて他の歌手と違うところは控えめで語る歌声だなぁと・・・
元々クラシックは好きでも歌唱技術ばかりが目立ちがちなソプラノの金きり声の
オペラや声楽曲はあまり好きではなかった私ですが、
彼女の場合歌唱技術があるもののこれ見よがしに歌わないので非常に心地良く聞けるのです。
好みの問題かもしれませんがクラシックになじみのない人にもお勧めできると思います
ちなみに生のリサイタルも聞いた事ありますがCDと変わりなく
歌唱レベルはさすがドミンゴや小澤征爾が認めるだけのものがありますよ
良い一枚です