虹の歌集
無音からいきなり肉声一本ではじまる第一曲目"虹"から脳天に空手チョップ(古い表現でちょっとアレですが)いいよね。
中低音が聞いたアレンジもたのしい"Chinese Soup"もいいね。娘がこの曲大好きです。
でも、何度も聴いてく内に、"恋するしっぽ。"がじわじわ来ますね。
猫は別に好きじゃないし、飼ったこともないけど。けなげな歌詞とアレンジと葵さんの声がうまーくマッチしてる。
やはり葵さんは日本語の歌が一番しっくり来ると思うよ。日本人の中では英語も歌いこなす方だし、上手にハマってる曲("Alfie"とか)もあるけど、あくまで「日本人にしては」の世界からは抜け出せないと僕は思ってる。
まぁ、「日本人向け限定」という世界なら「あり」かなぁとは思うけど。
飢餓海峡 [DVD]
三時間を超える作品だが そんな長さを全く感じさせない邦画の白眉の一本。
だれもが言うだろうが 俳優がそれぞれ入神の演技である。左幸子が演じるイノセントな娼婦、三井弘二が表現する人の良い置屋の主人、主人公を追い詰める伴淳三郎の咳こむ姿など どれも忘れ難い。敢えて難をつけるとしたら 若き高倉健の その「若さ」程度だ。
そうして 何と言っても 主人公の三国連太郎である。彼が見せる人間の業の深さには 本当の深度が伴っており 見ていても厳粛な思いに駆られる。
こういうすごみのある映画を邦画が持っていた時代があった。これに比べると 最近の邦画は やはり「軽い」のかと思ってしまう。僕自身が 邦画ファンであるだけに 最近の邦画も決して嫌いではない。「軽さ」の中にはそれなりの良い作品も色々ある。そもそも「軽み」とは 松尾芭蕉が唱えた俳句の味わいの一つである。
但し たまには このような「重い」作品があっても良いのだ。ワインに例えることが正しいかどうかわからないが フルボディの赤ワイン一本を一人で飲んだかのような 酩酊感と疲労感を感じる。
日本人が描いた「罪と罰」の話だ。主人公の善悪は最後まで定かではない。というか善でもあり悪でもあるのが主人公だろう。人間だれしも 善悪の二面は持っているが その「幅」の広さにおいて 本作の主人公からは「人間であることの哀しみ」が伝わってくる程だ。それが人間の業なのだと再度考えたところだ。
「ドラえもん」全百科
まず特筆すべきは「うきうきタイムトラベル」「ぽけっとポッポッポー」。
これは「タイムボカン」シリーズでお馴染みの山本正之氏による作詩、作曲。
そして「ぞうさんの目は~」と「ドラえもん子守唄」はとても癒されます。
又、ドラマでは故人である高橋和枝さんの懐かしい声が!
新旧ドラ(カツオ?!)の決闘は聴きモノ。
今となってはドラの過去の設定が古くなってるけど…。
チャギントン「せっかちなココ」第1巻 [DVD]
トーマスが大好きな2歳の息子。
でも大人の私から見るとトーマスはなかなかテーマがブラック。。。
(特に初期の頃のトーマス)
年長者をからかったトーマスが死にそうになるほど仕返しされたり、、、
外見をけなしたトーマスがそのキャラクターに助けられたり、、、
それに言葉も「もたもたするな!」とか「ノロノロしすぎなんだよ!」と、
かなり激しい口調のものもありました。
教育上どんなものかと少し迷い、心配でもありました。
けれど、このチャギントンを見たら、息子も私も一回で夢中に。
まず軽快なテーマソングがムチャクチャ楽しい気分にさせてくれます。
そして話の内容も、3人の友情が中心なので、
思いやりの言葉や、楽しく遊ぶようすなどが生き生きと描かれています。
「ありがとう」や「ごめんね」の言葉も沢山でてきます。
安心して見せられる電車ものです。
日本でもゴールデンアワーに放送されるといいのになぁ。。。
老いと勝負と信仰と (ワニブックスPLUS新書)
加藤先生が「信仰と将棋」について断片的に語った事柄を編集者が纏めたもの。内容的には、あくまで「信仰」が主で「将棋」が従である。聖シルベストロ教皇騎士団勲章を授けられたパウロの立場で布教活動の一環として綴られたと言っても良い。「老い」の部分は、本書を読めば「老い」の概念など吹き飛ぶという程の意味であり、勿論、加藤先生自身「老い」など微塵も感じていない。「老い」の代わりに「音楽」としても良かったかと思う。
私が小学生の時、18才でA級八段となり、「神武以来の天才」と謳われた頃からの長い付き合いであるが、これ程纏まって「信仰」に対する思いが語られたものはないと思う。「信仰」に対するその真摯で敬虔な姿勢には、無宗教の私でも打たれるものがある。当然の事ではあるが、聖書や聖人及びキリスト教の儀式に詳しい事に改めて驚かされる。また、宗教と将棋共に真理を追究するものであるという信念が伝わって来る。柔軟性で知られる羽生と対極に位置するかの様な「剛毅」の加藤先生であるが、芯となる姿勢は意外に似ているのではとの印象を改めて受けた。方法論や発露の仕方が異なるだけで...。あるプロ棋士がTVで「二人の指し手の感覚が似ている」と発言していた事を思い出す。
従の将棋に関する部分はやはり面白い。これまでの2357(執筆時点)の全ての対局で全力を尽したとの言葉も、加藤先生なら首肯出来る。自ら名局と銘打った過去の自選譜が幾つか紹介されるが、本人の感知しない部分で随所に加藤先生ならではの愉快さが滲み出ている。また、「一二三の玉手箱」では冒頭に「ザ・加藤一二三伝説」コーナーが設けられていたが、本書でも「鰻重伝説」、「滝止め伝説」等に新解釈(?)が施されていて楽しい。愛すべき加藤先生、これからも生涯現役として頑張って下さい。