Bella Donna
その可憐な容姿と少々ドスの利いた独特のハスキーな歌声(これが何とも魅力的。ロックっぽさと女性らしい繊細な情感、時に意地らしさといった要素が絶妙に同居する貴重な声質は唯一無比)、F. W. Macの看板として大活躍した彼女が'81年にSoloリリースしたのが本作です。
ここで特筆すべきは、個々の曲の良さはもちろん、ほぼ全曲にクレジットされているWaddy Wachtelの見事なバックアップでしょう。自在に変化する彼のギターが曲調によって、時にドライブし、時に繊細に歌いながらStevie魅力を一層鮮烈なものにしています。Waddy自身、一時期Stonesへの参加も噂された達人ですが、本作でもカッティングのセンス、トーンの引き方に抜群の冴えをみせてくれます(Stevieとのコンビネーションは他のソロ作でも多く聞けます)。
シングルヒットも多く含まれ、彼女の指南役Tom PettyやDon Henryとのデュエット("Stop dragging my..."および"Leather and Lace")がよく知られていますが、個人的にはドラマチックな"Belladonna"、ワイルドなドライブ感がカッコいい"Edge of seventeen"、繊細な情感が魅力的な"How still my love"が特にお気に入りです(ジャケットも大好きです)。
コンスタントに魅力的なsolo作をリリースしているStevieですが、曲、ヴォーカルとも彼女の魅力が凝縮されたこの"Belladonna"が最高傑作であろうことは、多くのファンの一致するところでしょう。
Trouble in Shangri-La
最初に言っておくが、このアルバムがニックスの最高傑作と評するからといって、何も他アルバムが悪いわけではなくMac期もセブンティーン、Stand Backも今でもよく聴くし素晴らしいのである。
過去のどの曲も独特の節があるし、ヒットチューンあり、声とメロラインも美しい。
だが、である…
このアルバムが見事なのは説得力というか、前見せでない背中の部分であり、それがサラ・マクラクランやシェリル・クロウの後ろ盾という意味では決してない、売る為に起用をしたのでなく、盾をも飲み砕いて自分のカラーにしてしまう恐ろしさ。正直、サラのサーフェシングPART2に下手したらなっていたのだろう。
Trouble In Shangri-LaやPlanets Of Univeseなどは一連のヒット曲をも普通のチャート曲にしてしまう力があると思うし断然好きだ。
数曲ある打ち込み曲もマイナスではあるが、ハマった色で描いた作品が文句無しである為帳消し、最高傑作、愛聴盤なり。
Wild Heart
スティービー・ニックスのソロ第2作。基本的に大ヒットした前作「麗しのベラドンナ」の作風を踏襲した、というより二番煎じな印象の強い作品。「Stand Back」(ビルボード最高位5位)「If Anyone Falls」(同14位)「Nightbird」(同33位)などの佳曲もあるものの、前作を凌ぐ内容とはいい難い(それもまあ仕方ない)。熱心なファン向け。
Crystal Visions: Very Best of Stevie Nicks (W/Dvd)
ボックスセットも出ているので、CDの方は、熱心なファンには、あまり目新しさがない。L.Z.のロックンロールを歌っているのが珍しいぐらい。DVDの方は、過去のクリップ集のような感じである。しかし、何よりも驚きなのは、おまけ映像の1stソロアルバム”ベラ・ドンナ”作成時のホームビデオである。経年のためか画質は、あまりよくなく、ノイズも入るが、スタジオ内の雰囲気がわかる。特にライブでも歌われることがなかった、”After the Glitter Fades”を歌っているスティービーを見ることができる。よく、こんなおまけをつけてくれたものだ! ちなみに、DVDはリージョンフリーのようなので日本製のプレーヤーでも問題なく見れました。
In Your Dreams
80年代のスティーヴ・ウィンウッド風の楽曲で幕を開けるスティーヴィ・ニクスの
日本では8枚目となるスタジオ・アルバム。
全曲彼女のオリジナル。 73年の『 バッキンガム・ニクス 』 時代から誰と
デュエットしようが、どんなプロデューサーを雇おうが、コード進行を複雑にしようが、
まったくブレないオリジナリティという名の個性を持つニクスならではのアルバムに仕上がっている。
南部アメリカン・ロックにお伽と煌くポップ・フレバーをブレンドし、独特の小悪魔ヴォイスで
歌い上げる。 そのまんまニクス。
バックはスティーヴィ・ニクス・バンドの面子を中心に50人近くクレジットされしっかり
創り上げたという感じ。
エドガー・アラン・ポーの詩に曲を付けた T-7, はスティーヴィらしいセンス。
全13曲、約64分 バラード系がなんとも味わい深い、じっくり聴きたいアルバム。