魅せられて一人旅―バルト三国・中欧・トルコ・中国
2007年5月に日本の天皇・皇后両陛下の初のバルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)訪問が決まり、これまであまり知られていなかったこれらの国々に日本のマスコミのスポットライトが当り、注目される存在になることは間違いなさそうです。
旧ソ連社会主義の半世紀の及ぶ支配から独立し、EUにも加盟し、更なる発展が期待されるバルト三国にはいずれも世界文化遺産に指定されいる旧市街が存在し、古きメルヘンの世界へと訪れる人をいざなってくれる観光地としても魅力に溢れています。またリトアニアのカウナスには日本のシンドラー杉原千畝の偉大な足跡が残されています。
これを機会にバルト三国の少しでも興味を抱き、もっとよく知りたい、そしてゆくゆくは訪れて見たいと思っている人に是非お勧めしたのがこの本です。ツアーでは経験できない、現地の人々とのふれあいを通して見たまま感じたままを書き綴った旅のエッセイがそこにあり、きっと参考になると思います。
A30 地球の歩き方 バルトの国々 2009~2010
昔からエストニア、ラトヴィア、リトアニアというバルト三国には関心を持ち、それらの国々について書かれた書籍はできるだけ読んできましたが、記述が政治史や歴史に偏り、またそれらが専門書のため、もう一つ全体像をつかみきれませんでした。
そんなおり、地球の歩き方に本書がでているのを知りました。灯台もと暗しでした。ガイドブックには、その国の観光名所だけでなく、成り立ちや言語、民族などにも触れていますし、知られざる一面もコラムで紹介しています。当然将来訪れたい地域ですから、関心を持って読みとおしました。
バルト三国の歌と踊りの祭典については、22ページに記してあります。ユネスコの無形遺産にも登録された音楽祭で、4年や5年ごとに行われる感動的なイベントでこれを是非体験してみたいというのがこの国々に関心をもった最大の思いです。文化、社会事象、宗教、芸術、そして言語で比べれば、それぞれの国々は差異があり、複層的で多面的なバルト三国への理解が深まったように思います。
勿論、ガイドブックですから、中世が息づく町 エストニアのタリン、都会的なバルトの首都 ラトヴィアのリーガ、内陸に開かれたのどかな首都 リトアニアのヴィリニュスの建造物や歴史遺産は豊富な写真と共に掲載してあり、眺めているだけで行きたくなります。
タリンの中世芸術の素晴らしさにも触れており、現地を訪れる際の観光のテーマになるでしょう。ラトヴィアのリーガは三国のなかでは最大の都市ですが、それでも人口は70万人ですから、さほどではありません。
リーガから1時間半で着くバウスカのルンダーレ宮殿の見事な装飾は流石にバルトのヴェルサイユと言われるだけのことはあります。
1940年当時、リトアニアの在カウナス日本領事館領事代理だった杉原千畝氏が自分の身の危険もかえりみず、ポーランドからやってきた6000人ものユダヤ難民の国外脱出を助けるため、ビザを発給した「日本のシンドラー」についても詳しく記しています。現地に杉浦記念館があるわけで、212ページの十字架の丘と併せて是非訪れたいところでした。
バルト三国史
バルト三国の歴史についての概説書。
バルト三国について、第一次世界大戦後の独立以降からについて言及した文献は多いが、本書はそれよりもっと昔の段階からの通史を総覧している、貴重な文献の一つと言える。バルト三国それぞれがいかにして中央から分離して行ったか、また三国内のそれぞれの動きが互いの政策決定にどのような影響を与えたかの緻密な分析が見られる。
また、ソ連崩壊後の残留ロシア人に問題についての言及も詳細なものである。
旅のコラージュ バルト3国の雑貨と暮らし
バルト3国のリトアニア・エストニア・ラトビアの雑貨や街並みの写真がコラージュされてる本です。
布や木など手作りの雑貨や生活用品などがいっぱい!!
旅行雑誌では表現が難しい素朴なあたたかさ、ふんわりとした空気が伝わってきます。
本当の街の雰囲気があちこちに。
また、出かけて行きたくなっちゃった本。
ぜひ、バルト3国の雰囲気を味わってくださいね
リトアニア―小国はいかに生き抜いたか (NHKブックス)
バルト三国の一つ、リトアニア。ヨーロッパの小国であるこの国でも、ソ連の統治下時代には「森の兄弟」と呼ばれるパルチザンによる運動が存在した。KGBによる徹底的な弾圧を受け、陽の目を見ることなく沈静化させられたこの運動を、文化人類学者である筆者が、オーラル・ヒストリーの形式によって記録しようと試みている。主だった活動家はほとんど殺されるかシベリア送りにされ、生き残った者の多くも凄惨な拷問の経験者である。あとがきで筆者が断りを入れている通り、本書は学術研究の報告書ではない。しかし、闇に埋もれてしまった歴史に光をあてたという点で、本書の価値は疑うべくもなく重要だといえるだろう。