高田渡アンソロジー (初回限定生産)
世の評価がどうであれ、若い人たちに知られていなくとも、レコード売上が伸び悩んだとしても、そんなことに無関係で「高田渡」は輝くのです。北の大地で急逝した詩人の未発表音源がCD化されるのあれば、やはりこれは貴重盤であります。既発CDが再評価され、ルーツとしての高田渡が広く多くの人に知られる機会となる編集となることでしょう。新しい高田渡に出会えるというだけで、やはり文句なく五つ星です。
ちょっと昔の道具たち (らんぷの本)
ちゃぶ台、わん、皿・鉢、重箱、竈、囲炉裏、水屋・茶箪笥、鰹節削り、蒸篭、おろし具、炬燵、湯たんぽ、'燭、行燈、ランプ、箪笥・長持、蚊帳、など、確かにちょっと前までどこの家でもあった道具が今や懐かしい思い出の中にしか存在しなくなりました。もっとも戦災で焼けていないお家や田舎にはまだまだ顕在なのかもしれません。
そんな道具の数々を見事なイラストと解説で紹介している本で、当時を知らない人も実感できるようになっています。この頃の生活って今からみればとても懐かしい匂いが漂ってきます。
中林 啓治氏によるイラストが雰囲気をだしています。本文の解説は、岩井 宏實氏で、帝塚山大学長、大分県立歴史博物館長を歴任された方です。
本書には、そんなちょっと昔の時代に営まれた庶民の生活に関するモノの数々が掲載してありました。84ページの達磨ストーブも懐かしい道具の一つです。木造校舎と冬の達磨ストーブと石炭の匂い、小学校時代の思い出と直結しました。
本書の全般を読みとおし、眺めて感じたことは、いわば、昭和の時代というものを再現しているようでした。綴じ込みの広島市内の商家の台所は明治時代の情景を復元したものでしたが、昭和の時代を通して見られたものだと書かれています。
時は流れて平成の時代へと移り変わり、庶民の生活も格段に良くなりました。「なつかしい」という思いと同時に足元を見つめなおす機会を得たようです。
1971年全日本フォークジャンボリー2
できれば、このようなメンバーでまたフォークジャンボリーを開催してほしいものです。
今の若者は、加川良さんの「教訓1」を聴いて何をどう感じ取るのでしょうか。加川さんには、今この時代にこの曲を歌ってほしい気がします。六文銭の「雨が空から降れば」及川恒平さんが歌っています。はっぴぃえんども参加しています。高田渡さんの「自転車に乗って」曲の前後にある観衆?(拓郎さん)とのやり取りが楽しい。なぎらさんの「教訓2」も笑えます。齋藤哲夫さんの「俺たちの時代」も熱いですね。拓郎さんの「人間なんて」の熱唱も伝説的です。それぞれに個性がありよき時代だったなあ。つまり、みんないい(価格も2枚組なのに安い)。歴史的な名盤です。
71全日本フォークジャンボリーライブ第一集<中津川椛ノ湖 人間開放72時間>
中津川で行なわれた第3回全日本フォーク・ジャンボリーは、青春の大切な一片。
当時、僕は中学1年生。ラジオの深夜番組は、この話で持ちきりでした。
家にあったギターを引っぱりだし、コードなどをしらないままに、ボロンボロンとならしながら、彼らの妙(?)な歌をまねていました。
遠藤賢司の「カレーライス」は、覚えやすいタイトル。しかもカレーは好きでしたから、よく歌っていました。
「教訓'T」「生活の柄」は、名曲です。ギターをどのように弾くのか知らなかった時期。ギターが、オーケストラ以上の物に聴こえていました。
「人間なんて」の絶叫は、中学1年の僕には、余り意味がわかりませんでしたが、今でもこのCDを聴くと、当時の雰囲気が甦ってきます。
感動と躍動を与えてくれたこのCDは、フォークの歴史的財産といえそうです。
俺たちのフォーク! presents 関西ふぉーく&ぶるうす特選
1枚目が関西フォーク、2枚目にフォークとブルースが収められています。
初期の和製フォークを眺めますと、関西発信のフォーク・ソングが新しい音楽文化を作りました。ザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」には日本中の人がビックリしました。「オラ~は死んじまっただ~」という人をくったような歌詞とメロディでしたが、その特異性は過去に例がなく、見事に大ヒットしました。
高石友也の「受験生ブルース」は「国民歌謡」的なもてはやされ方をしたものです。
五つの赤い風船の「遠い世界に」は当時の若者の誰もが愛唱した曲で、集会でよく歌ったものです。音楽が時代の空気を作り、時代の象徴として歌が存在していました。
岡林信康の「友よ」のシンプルでストレートな歌唱を聴くたびにあの頃の若者の持つエネルギーがこの曲に集約されていると感じます。70年安保に端を発した学生運動の連帯感を支えた歌だったといえましょう。
赤い鳥の名曲「竹田の子守唄」も長らく放送禁止歌として扱われてきました。自主規制という言われ無き理由によって。
中川五郎「主婦のブルース」、赤い鳥「お父帰れや」、加川良「教訓1」、ザ・ディラン'U「プカプカ」、ウッディ・ウー「今はもうだれも」、ジローズ「戦争を知らない子供たち」、うめまつり「北山杉」等の懐かしいフォークと、憂歌団、上田正樹、BOROの歌うブルース、どれも最高でした。
解説は付いていませんが、歌詞カードにはコードとカポの位置が記されています。