マレーネ・ディートリッヒ
50才過ぎて本格的にコンサート歌手としてデビューしたディートリッヒが、歌のテクニックも声の質も一番良かった頃(多分60年代初め)にレコーディングした歌を収録しています。ドイツ語版では(最後の曲だけ何故か英語ですが)ベストでしょう。英語の歌に比べて、明るい歌はとてもリラックスして、バラードは、より感情をこめて、歌っています。なお、英語の歌を中心にしたものでは、Dietrich in Rio がお薦めです。
ピーター、ポール&マリー
高校時代に「天使のハンマー」や「レモン・トゥリー」を耳にして感動した記憶がある。社会人になって多くのLPやCDを聴いたが、スタジオ録音のCD盤としてはベストだろう。1stアルバムに向けたP.P&Mの熾烈な練習と製作スタッフの渾身の熱意が、絶妙のハーモニーと倍音の乗った素晴らしい演奏に反映して、聴く者が思わず体でリズムをとる「乗り」の良さは他の追随を許さないレベルだ。
「悲惨な戦争」や「花はどこへ行った」などに代表される1960年代の反戦・平和の歌は、9.11テロ、イラク戦争、国境問題に揺れる現代の日本の状況を見れば、時代を超えて訴えかけるものがある。
ブラザーズ・フォア ベスト・オブ・ベスト
1960年代の日本のフォーク・ブームは外国曲のコピーから始まりました。当時、我が国でもピーター・ポールアンドマリーと同様に人気があったのが、ブラザース・フォアでした。
ギター伴奏にのせて、男声4人によるコーラスは、比較的簡単なハーモニーで歌えることもあり、当時のフォークグループの雛型になったのも理解できます。
ブラザース・フォアのヒット曲は沢山ありますが、列挙しますと、このCDに収められている「グリーンフィールズ」「遥かなるアラモ」「七つの水仙」「さらばジャマイカ」「花はどこへ行った」「500マイル」などが上げられます。どれも日本のフォークグループにカバーされた曲ばかりですので、当時のフォークシーンを語る上ではずせない曲ばかりですね。
「トライ・トゥ・リメンバー」のハーモニーの美しさは、今でも十分鑑賞に値します。シンプルなコード進行で彩られた4人のハーモニーの中に、温かさや懐かしさが込められています。
「グリーンスリーヴズ」のように、昔から歌われてきた曲も美しい和声のお蔭でその良さが再認識されたと思っています。
ジュディ・コリンズやジョニ・ミッチエルの名唱が思い出される「青春の光と影」も男声4人のハーモニーで聴くとまた違った哀愁が感じられます。
確かにブラザース・フォアの演奏スタイルは古くなりましたが、味わいは今でも十分感じ取ることができます。
昔懐かしい曲を久しぶりに聴くとまた違った魅力を発見できます。
花はどこへいった 枯葉剤を浴びたグレッグの生と死
「ベトちゃんとドクちゃん」として広く知られたご兄弟のお一人、グエン・ドクさんがテュエンさんと結婚されたこと。その翌年にベトさんが植物状態のまま、とうとう帰らぬ人になってしまわれたこと。結合性双生児として生まれたお二人のことはしばしば大きなニュースになりました。また、それを通して猛毒のダイオキシンを含む枯葉剤がもたらした甚大で広範囲な環境破壊と、深刻な健康障害のことも知られています。
しかし、そのあまりにも大きすぎる影響のためでしょうか、本書を読むまで、全体像が私にはよく分かりませんでした。少なくとも私は、その被害から目をそらし、見ないふり、知らないふりをしてきました。
著者の亡き夫であり、報道写真家として世界的に活躍されたグレッグ・デイビスさんの次の言葉に心から納得しました。
「戦争のアクションは誰にだって撮れる。ほんとうに難しいのは、戦争に至るまでと戦争が終わってからの、人々の生活を撮ることだ。」
ベトナム戦争が終わって40年近くが経っても、今なお拡大し続ける健康被害の実態と、困難な人々の生活。それらを著者はていねいに記録し、映像と文章の二つの作品として私たちに届けることで、亡くなられたグレッグさんの遺志を生かし続けておられます。その真摯な姿勢と、突き動かされるような熱意に強く胸を打たれました。
本書が出版される前の年に、沖縄の北部訓練地域(ヤンバルの森)でも過去に枯葉剤の散布があったこと。作業を実施した米兵の健康被害を退役軍人省が認定していたことが米国の公文書から明らかになりました。しかし、散布した場所や量など詳しいことはいっさい隠されたままです。
「花はどこかにいってしまっても、希望の種までは無くなっていないことを信じて」という、著者坂田さんの祈りにも似た信念の言葉に心を重ね、多くの被害者の方々の救済に向けて、遅すぎた取組みでも、小さな力でも合わせたい、と心に刻みこまれました。
チーズはどこへ消えた?
読者がチーズを
人生で一番大切なものに喩えて
本書を読むと
単純な物語が奥の深いものとなる。
読者の想像力が試される本だといえる。
人生その時その時大事にするものは
変わるでしょうから
時間を置いて
何度か読んでみるのもいいでしょう。
私は物語の中から自分なりに何かを得るといった
この手の自己啓発本が大好きです。
しかし、本書における物語が
いまいちおもしろくなかったので
評価は星3つとさせて頂きました。