ジェリー・ゴールドスミス・フィルム・ワークス〈FRONTIERS〉
TVドラマ「スター・トレック/ヴォイジャー」のシーズン4〜7(1997〜2001)に登場し、そのセクシーなSFコスチュームと個性的なキャラで人気を得たセブン・オブ・ナイン(演じたのはジェリ・ライアン)のファンです。ジェリー・ゴールドスミスのサントラは「エイリアン」や「ランボー怒りの脱出」などを持っています。
セブンの事を考えながら聴けるCDはないかと探してみたのですが、「ヴォイジャー」単独サントラは第1話(セブンはまだ出ていない)のものだけだし、メインテーマ以外はジェリーの作曲ではない。本編用BGMは他の作曲家による各話書き下ろしでCD化には向いていない。「スター・トレック」シリーズ全体のコンピレーションベスト盤はいくつか出ていますが、「ヴォイジャー」セブン編以外にさほど興味はなく、できればジェリーの音楽だけを聴きたかった訳です。
その条件に当てはまるのがこの FRONTIERS〈フロンティアーズ〉 というCDでした。ジェリー自身の選曲・指揮による再演奏アルバムで、1997年の録音なのでおそらくセブンの登場に刺激されて企画したんだと思います。ジェリーの既成曲を使ったセブンのイメージアルバムとして捉えると、やや意味不明な選曲の意図も見えてくる。有名な「猿の惑星」が入ってないのに「2300年」から2曲も選ばれていたり、少なくともベスト盤の構成ではない。音楽で1時間SFドラマの雰囲気を再現しているようだ。
この事は試聴して初めて気付いたのですが、実際にCDを通して聴いてみて確信しました。これは“交響詩セブン・オブ・ナイン”で、セブンに対するジェリーのラブレターなんだと。素晴らしい作品をジェリーは遺してくれました。傑作アルバムです☆
カプリコン・1 [DVD]
「アポロは、月面着陸していない」と言う噂が、昔にありました。
その噂が本当だったら?
それがこの映画です。
東西冷戦下での、宇宙開発競争。
政府高官の、パワーバランスをリードする為の手段。
噂が本当だったら、ここまでやってもおかしくないっていうリアリティーが、更にこの映画を面白くしている。
最後はハリウッド的完結は、爽快で痛快です。
観た事がない人は、古い映画と敬遠しないで、一見の価値がありますよ。
日本フィル・プレイズ・シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー Part6~アクション・サスペンス篇~
1980年代以降、映像音楽の録音といえば、ジョン・ウィリアムズの指揮するボストン・ポップス・オーケストラとエリック・カンゼルの指揮するシンシナティ・ポップス・オーケストラによるものが、質的に突出したものとして存在してきた。
しかし、前者に関しては、オリジナル・サウンドトラックの演奏と比較すると、しばしば、演奏に生気を欠くことが多く、また、後者に関しては、近年になり、編曲に劣悪なものが増え、指揮者も精彩を欠くようになり、徐々にこのジャンル自体が魅力を失うようになった。
しかし、今世紀にはいり、日本フィルハーモニー交響楽団によってたてつづけに録音された6枚のCDは、上記の両横綱の録音と比較しても遜色のない、高水準の内容を誇るものである。
沼尻 竜典と竹本 泰蔵という有能な指揮者の的確な演出のもと、20世紀の古典ともいえるハリウッドの代表的な作曲家の傑作の数々が実に見事に奏でられている。
これらの演奏の特徴は、あえていえば、オリジナルの魅力を過剰な演出をくわえることなくありのままに表現していることにあるといえるだろう。
いずれの作品も、世界中に配給される映像作品の付随音楽として作曲されているために、もともと高度の娯楽性と表現性をそなえた作品である。
ここに収録された演奏は、それらの作品が堅実な職人性のうえに自然体に演奏されるだけで、視聴者に無上の歓びをあたえてくれることを明確に示していると思う。
いずれにしても、20世紀後半、正当な評価をあたえられることなく、ハリウッドの片隅において高水準の管弦楽曲を創造しつづけた数々の現代作曲家の労作をこうしてまとめて鑑賞してみると、あらためてそれらが実に良質な作品であることに驚嘆させられる。
そこには、紛れもなく、最高の職人性と大衆性が見事な結合を果たしているのである。
日本フィルハーモニー交響楽団による6枚のCDには、そうした身近なところに存在していた現代芸術のひとつの奇跡が封じ込められている。