ジェノサイド
圧巻です。ずば抜けて凄い本です。今年のナンバー1の予感。
本書は日本、アメリカ、コンゴという3つの地域をまたぎ、創薬・アメリカ政治・傭兵の戦闘という3つの舞台がそれぞれ交差し物語を織りなす。
本書に出てくる要素を見ると、新薬開発、インテリジェンス、アメリカ政治、傭兵の戦闘、アフリカ問題(内紛)、ジェノサイド、少数部族、人類進化、カニバリズム、情報セキュリティ、言語といった幅広い要素が深く惜しげもなく出され、しかも周到にリアリティが確保されている。そこに父と子という人間模様・想いが織り交ぜられ、物語に厚みを与えている。
本書の内容をもってすれば、良質な長編小説が3冊はつくれたはずだ。
冒頭に抱いていた予想は途中で見事に覆され、僕の想像を超えた展開で物語は進んでいった。タイトルの「ジェノサイド」は読み進める途中で、なるほどこれしかない、と納得。
しかし・・・読んでいて辛い個所が何度かあった。
著者の圧倒的な筆力もあり、読者も登場人物と一緒に人間の極限状況に連れて行かれる。
残酷な描写もある。人間の一番醜悪な一面が描かれている。「子供がひどい目にあう場面なんて想像もしたくない」と強く感じる人や、そういった描写が本当に苦手な人は読まない方がいいかもしれない。
ただ、本書は単にインパクト重視で外道の描写をしているわけではなく、これは私たち人間に対する重大な問題提起であると感じた。なぜ、我々は戦争を止められないのか。なぜ、互いに殺し合うのか。私たちの安全は、実は非常に危ういところにかろうじて存在しているのではないか。かくいう自分自身の中にも、そういった負の片鱗は存在するかもしれない。
お手軽な博愛主義で簡単に“平和”を結論付けるのではなく、本書を読むことによって、読者はそういった問題に真剣に向き合うことになる。というか、突きつけられる。
本書は構想20数年、著者渾身の作品。約590ページあり、文字・行間・質・エンターテイメント性、いずれもギッチリつまっている。重たいテーマを取り扱っているが読後感は良く、未来には希望を感じることのできる本。こんなに凄い小説をつくってしまうなんて、この作者の頭の中(構成力)はどうなっているんでしょう??
おすすめします。
幽霊人命救助隊 (文春文庫)
先ず、みんな読んでね!
とにかく現代人の持つ心の底にある「病巣」を取り除く凄い内容ですよ!
孤独な人生の解決手段あり、離婚問題あり(しかも子供の立場にたって考える事の重要性を見てね!)、借金地獄の正体を暴いたり日本経済の矛盾を具体的に解決する手段すらある!
とにかく小説でありながらノウハウ満載、具体的な内容がぎっしり、人生を明るく元気に生きていく技術がある。
かと言ってつまらないのか!?って思わないで!!
無茶苦茶楽しめる内容です。まるで自分の事の様に当てはまる人も居るでしょう(斯く言う私自身かも)
読み進めながらラストを想像できない、予想も付かないほど面白いのです。結構分厚いのに一気に読めてしまう本です。
ラストは感動物です。もちろんそれ以外も中だるみすることなく楽しめました。
映画ではなく、テレビシリーズでやって欲しいですね。13話完結とかで。誰か作って〜!
13階段 (講談社文庫)
死刑制度を扱った重い内容であることは確か。死刑囚や刑務官の描写も(おそらく)リアルで迫力がある。ただし、冤罪事件を捜査する元刑務官と元犯罪服役者の青年の組合せにやや無理がある。さらに、真犯人が終盤に突如登場するのもついて行けない。なにか、最後はドタバタした感じで事件が解決する。
13階段 [DVD]
GTO反町が今までの殻を脱ぎ捨て、寡黙な男に挑戦した作品です。
彼にはそんな一面もあったのかと思い、正直驚かされました!!
製作発表の記者会見では、同昨主演の山崎努が、
「反町君の新たな一面を見ることになるだろう。
いや、本当はこれが彼の奥底にあるものなのかもしれない。」
というようなことを言っていましたが、確かにその通りでした。
彼が演じる役は、全篇を通して必要なこと以外はほとんど語ることなく、
しかし、ラストでの彼の告白に心を揺さぶられる人は少なくないでしょう。
脇を固める役者陣も素晴らしく、山崎努は、消すことが出来ない心の傷を抱えた看守役を
渾身の演技で表現しています。他にも、大杉連・笑福亭鶴瓶・大滝秀治などの出演者が
作品に厚みを持たせています。
6時間後に君は死ぬ [DVD]
作品は二部構成になっていて、前半がタイトルにもなっている「6時間後に君は死ぬ」で、後半が「3時間後に僕は死ぬ」である。リアル感の欠如を指摘する人もいるが、死の予知能力がストーリーを動かす原動力になっているのだから、上手にだまされて、エンターテイメントと割り切って楽しむ作品だと思う。
前半は視聴者に犯人はそいつだと引き付けておきながら最後にどんでん返し。後半は何が死を招くのか謎のままラストに突入する。最後はハッピーエンドで、めでたしめでたし。アンガールズの田中がストーカー役で出演しているが、はまりすぎて笑ってしまう。