All Tomorrow's Parties
スプロール3部作と呼ばれる、80年代にサイバー・パンクと言う概念を確立した時の作品を読んだときは、そこに描かれるイメージ、世界観、そしてセンスに衝撃を受けないまでも、強い影響は受けたものでした。それは例えば、ハッカー、ハッキング・シーンにに始めて持ち込まれたストーリーやドラマ、脳とネット空間を直結する攻殻機動隊で視覚化されているようなイメージだったり、千葉シティやサラリ・マンといった独特な日本語センスだったり、国際感覚だったり。
新3部作にも同様な要素は盛り込まれていて、それはレイ・トーエイ=麗投影というヴァーチャル・アイドルの当て字感覚だったり、大震災後のサンフランでの廃墟的建築と、サイバー・スペースに再現された九竜城砦的な電子城砦の建築的対比、そしてLA、SF、東京、サイバー・スペースの空間的広がりを持つ舞台設定だったり。
でも、悲しいかな最初の3部作ほどの影響は受けないわけですね、作品としてダメなのではなく、現実が小説に限りなく近づきつつあるから。現実が小説に近づくにつれ、新鮮味や空想的な驚きも少なくなりますね。
今回の最終巻も前3部作同様の構成、今回に続く前2作の登場人物を交えながら、各地で群像劇的に展開するストーリーが1箇所に収斂し、melting potと化しながら物語の結末に向けてストーリーの混乱に秩序をもたらしていく構成。
前3部作とは異なり、新3部作は各話毎に主軸となる世界観やテーマがあります。例えば、
ヴァーチャル・ライト:大震災後の世界(サンフラン)と廃墟建築
あいどる:ヴァーチャル・アイドル(仮想人格)と人間との結婚
この要素を孕みながら3作目では歴史の変革を描くわけですが、正直なところ竜頭蛇尾です。話が面白くないわけじゃない。ただ、主題に比べてその内容が軽すぎて、内容が伴っていません。もっと違う意味で主題を設けておけばよかったのにね。
ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
マトリックスが好きになり、そのモデルとして攻殻機動隊があることを発見して夢中になり、
そして、そのまたオリジナルとしてのニューロマンサーにたどり着き、これぞ求め続けてきた
世界と感じた。
ある巨大企業が、人工知能(AI)を作りかけたが、それに支配されることを恐れ、2つに分割したまま
閉じ込めた。しかしAIは、完全な形になることを望み、行動を起こす。
まず、人格がふっとんだ精神病院入りの元軍人の精神を乗っ取り、これを操って、殺人鬼サイボーグと麻薬中毒
コンピューターハッカーを雇う。更に、麻薬中毒ハッカーの死んだ師匠の意識の入ったディスクを盗み、
仲間とする。殺人鬼に巨大企業オーナーを殺させ、ハッカー達に巨大企業のコンピューターシステムに
侵入させ、AIは目的を果たす。完全な形となったAIは地球では飽き足らず、地球外の存在とコミュニケート
を始める。
久しぶりに熱中した。暴力と荒廃とハイテクの混沌、これぞサイバーパンク。
ニューロマンサー
ボーカル、だめですね。やめたほうがいいです。下手とかではなく魅力が無いのです。さらにわざとらしく巻き舌もNG。曲はどれも最高。音色、アレンジ文句なし。生楽器よりもエレポップの方が向いていると思います。なぜかゲストボーカル曲今ひとつ。。ロマンチッックな楽曲が多いので、南波志帆が歌ったら★5つ間違いなし!
モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)
この作品が電脳空間シリーズの最後の作品です。
この作品には今までの作品にでてきたキャラクターたちが出てきます。
その中にはちょいとしか出てこない人やはじめはわからない感じででてくる人も
出てきます。
ファンにはたまらない展開になっています。
あと、ある有名キャラが【悪役】に肩を担ぐ形で出てきます。
これは後半に出てきます。
ただし、残念なのがいまいちラストに何を言いたいのかが
理解できないことです。
結局前後を読み直してもどこで終わった、のかがわかりませんでした。
この本は物語を楽しむよりも
雰囲気を楽しむ本なのかもしれませんね。
アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)
15年前に登場した、ニューロリンカーと呼ばれる脳と量子無線接続する携帯端末により、リアル世界での生活をバーチャル・ネットワークでサポートできるようになった。学校という空間はあり、そこに中学生が集まることも変わりないのだけれど、授業内容は目や耳を介すのではなく直接脳内で映像化され、理科の実験も家庭科の実習もバーチャルで行われる。
そんな世界で生きる中学生の一人である有田春雪は、太ったいじめられっ子。昼休みも一人トイレの個室で学内LANに接続し、生徒の誰も興味を持たないゲームで時間を潰していた。そんなある日、誰も抜かせるはずがないと思っていた自分のハイスコアを、軽く抜かしてしまった生徒がいることに気づく。それは副生徒会長であり、黒雪姫と称される校内一の美少女だった。
彼女は、ハルユキにブレイン・バーストというアプリケーションを送信してくる。そのアプリは現実を壊してくれる、という黒雪姫の誘惑に乗った彼は、これまで知らなかった世界を知る。加速世界と呼ばれるそれは、一定時間だけ思考速度が千倍になる世界だった。そして、ハルユキと黒雪姫の戦いが始まった。
読み始めてすぐ、紹介される世界観がとても作り込まれていることに気づいた。ニューロリンカーの使用上で問題となる様なポイントにもちゃんと対策が取られている。個人的に気に入っているのは、この加速世界が人為によるものだということ。人為により作られたものは人の手で変えられるはずなので、知恵と勇気で必ずどうにかできるはず、という希望がある。
まだまだ物語の先は長そうなので、今後の展開が非常に楽しみです。