折りたたみ式3段ケーキスタンド(ドルチェ フォールケーキスタンド ホワイト3段)
アフタヌーンティーはホテルでいただくものと思っていましたが、自宅で手軽にいただるようになりました。華やかで子どもたちも大喜びです。色も白で華やかです。普段折りたたんでしまっておけるのがいいですね。料理の腕がまた上がりそうです。
土を喰う日々―わが精進十二ヵ月 (新潮文庫)
作家の水上勉さんは軽井沢に住んで自分の家の回りに畑を作り、旬の作物を手に入れたり、山の中に入って栗を拾ったり、川辺で水芹を採って来て料理をして生活しているらしい。
それが月別に紹介してある。
1月は雪に覆われているため、秋の穀物を貯蔵しておき料理する。ジャガイモなど。
2月は味噌を使った田楽やこんにゃく
3月は高野豆腐湯葉
4月は山菜。タラの芽
5月が筍、うど
6月は梅干
7月は茄子と夏大根
8月は豆腐
9月は松茸、しめじ
10月は果実酒、唐辛子
11月は栗、くるみ
12月は焼き芋、根菜汁
という感じで、季節感があり、またその作物に関する作者の思い出、言い伝え、実際の著利の方法、その味などが本当に丁寧に書かれていて、もう臨場感たっぷり。本当にタラの芽などは、新聞紙に包んで焼いて味噌をつけて食べたくなる…。
今は、スーパーに行けば季節に関係なく何でも買える。ご馳走と言えば、スーパーに走るとか寿司を取るとかを考えがちだが、昔は家の中を探し回ったり、畑や山に行ってその時生っている物を探し出してきて料理して振舞ったわけである。
ご馳走の馳せる、走るという意味はここから来ているらしい。奥が深いし趣がある。
あと茗荷を食べると物忘れをするとか馬鹿になるという言い伝え。この由来なども書かれている。
何より精進料理の本当の意味。
この本は、今の中国問題に右往左往する事など全く関係ない、本当に「土を喰う」という本だ。
今の世の美食についても考えさせられる良書。
本当にご飯が食べられるだけでも感謝という事を忘れずに生活して行きたい。
マンボウ家族航海記 (実業之日本社文庫)
本書は、昭和61年から雑誌に継続連載されたエッセイの中から家族内の出来事を中心に編集されたものです。御存知のように北さんは、本年10/24にご逝去され、今後も何冊か遺作が出る可能性はありますが、現時点では、これが最終刊の本です。私も40年以上前、大学生でしたが北さんの文学にはまり、楡家の人々、白きたおやかな峰、どくとるマンボウ青春期等を読み漁りました。又、この当時、精神科医の作家が輩出し(北さん、なださん、加賀さん、そうそう茂多も)、憧れたものです。
内容は、北さん独特のユーモアで家族の事を記したエッセイですが、やはり一番興味深いのは、ページ数も一番多い株騒動の事でしょう。北さんは、良く御存知のように、ソウウツ病で、ソウのときには、株式の短波放送を聞くと、まるで進軍ラッパを聞いた馬のようになって、ついつい株を注文してしまうらしいです。それも現物ならまだしも信用取引をしだすと素人では手に負えません。上がっているときはいいですが、下がり始めると追証、追証で自転車操業、実際、借金、前借、返済の繰り返し。ご家族の方は、さぞかし大変だったでしょうね!そして、そんな父親の姿を見てきた由香さんの結婚です。北さんは、娘さんの結婚式で、一度も味わわなかったなんともいえぬ感情が私を捕え、私は一瞬、両眼に涙が溢れるのを感じたと書いておられます・・やはり父親ですね!
そして、解説をその由香さんが書いておられます。由香さんは、父親のそうのときに散々な目に遭っていますから、父親の本を殆ど読んだことがないそうです。家族旅行をしたことがないとか、母親は、あのそうの狂乱時代を良く乗り切ったとか、娘特有の厳しい見方が目立ちますが、最後に、どれも懐かしい昔の思い出である。明日も父を起こして散歩にゆくが、あと何年、続けられるのだろうか・・・と文を結んでおられます。最後に少しほろっとなりました。本文以上に、解説に心打たれました!!
ジャージの二人 [DVD]
独特の雰囲気が面白い作品。浮世ばなれした父親と息子にまつわる物語である。この浮世離れの具合が意地悪く言えばどことなく現実感ぎりぎりを感じさせもする。しかし、彼等二人の生き方が心根にある潔癖さ所以であることに気づけば、物語がまったくの虚構であると突き放してしまえる人は少ないだろう。都会から田舎へ、普通の服装からジャージへ、食事は毎日トマト漬けといった極端な世界に抗うことなく二人が生きる緩いペースが、がむしゃらに走ってきた現代人の心の隙間に沁みる。親子を演じた鮎川誠氏と堺雅人氏がうまくはまっていて、茫洋とした生き様をうかがわせる、会話の「間」もいい。天然という言葉がマイナスのイメージをもって捉えられる現代、あえて人誰しもが持つ天然さ、いわば人としての懐の広さに光をあて、その大切さを静かに訴えかけてくる。もっと言えばその心ばえをして彼等のような時間を自分も生きてみたいと思わせる作品だ。