生きる意味 (岩波新書)
高史明氏の名著、『生きることの意味』を思わせるタイトルで、実際、若い人たちを主に念頭においた、「人生って何だ?」をめぐる本である。著者が高氏に影響をうけていることは、「親鸞」をテーマとする共著で知ることができる。ただ、本書は、思想・文学的というよりも社会学的な話が中心で、「他人の目」や「効率・合理主義」でがんじがらめになり、グローバル資本主義が暴れまわる現代日本で、私たちは、どう生きたらよいのか、という問いかけと、それに対する一つの答えが示されている。
適度な「苦悩」を乗り越えて「生きる意味」の「内的成長」をめざそう、という提言は、何だか熱血漢すぎて、ちょっと自分の趣味にはあわないなあ、と思った。けれど、それを実現するための新しいコミュニティづくりへのアドバイスが具体的になされていて、それなりのリアルさはあるな、と感じた。あと、「宗教」だって役に立つよ、と正面から語っているのは、好感がもてた。けっきょく「勧誘」や「布教」かよ、というケチをつけられるのを恐れずに、わりとリベラルな感じではあるが、しかし、ちゃんと「宗教」の独自の大切さも指摘している誠実さが、正しいなあ、と私は思う。
活きる 特別版 [DVD]
人生には、善意の行動が思いもかけなかったような悲劇に終わることがある。例えば、この映画のお父さんのように。息子や娘のために良かれと思ってしたことが、運命のいたずらか、彼らを死にいたらしめることになってしまう。「あのときあんたがあんなことをしなければ」と妻に責められても、返す言葉も見つからない。時代が時代だったとは言え、地主の放蕩息子が越えるには、あまりにも山あり谷ありの人生だった。
これだけの人生模様を演じられるグォ・ヨウの俳優としての度量の幅が感じられる。
生きる技法
いろいろなレビューがこれから出てくる本だと思いますが、私は、将来不安ばかりで、希望が見えない(かのようにみえる)日本経済で、働くことやキャリア形成で悩んでいる人にこそ、読んでもらいたい本だと感じました。(それ以外の人にも効用がありますが。)要は、転職を考えている人や就職が決まらず困っている学生さんとかです。
私の個人的経験でしかないのですが、「命題6-9:どれかを選択した以上、別の選択はもう閉じられている、と感じるのは誤りである」との言葉を読み、衝撃を受けました。おそらく、働くことに関する悩みの多くは、日本経済の閉塞感に関係していると思います。不況下では、選択肢は多くはなく、数少ない選択肢にしがみつくしかないと感じている人は少なくないのではないでしょうか。しかし、そんな風に感じること自体が間違いであり、勝手に自分で自分を閉塞感に追い込んでいるだけであることに気づかされます。
とにかく、就職や転職など、働くことに不安を抱えている人は、本書をまずは立ち読みしてみてください。絶対にその価値はあります。そして、たぶん、購入してしまうと思います。
非常に下手なレビューになってしまいましたが、現在の日本で働くうえで、最高の希望学は本書です。
また、福岡伸一さんの『動的平衡』および『動的平衡2』に関心と共感をもった方であれば、本書は、動的平衡的な生命観を人文社会科学へ応用した世界観を表明したものということもでき、おすすめです。福岡氏ファンの方にも、おすすめな人生論・社会論でもあります。
裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)
はっきり言って文章が稚拙。いかにも素人臭い。表現にも工夫がない。同人誌の延長線上にあるような文章だ。
しかしそれらを上回って有り余る程の情熱に溢れてる。
小手先のテクニックなど蹴散らす位の勢いがある。濃縮された時間が熱い。
正直、惚れました。
なんて素晴らしい人なんだろう。魂を鷲掴みにされたような気分だ。
著者は小学校でイジメに遭い、中学校でグレて、高校で柔道に打ち込む。
スパルタ式のシゴキに耐え、努力の大切さを学んだ後に、慶応大学受験合格する。
ワシントンでインターンを経て、バングラデッシュの大学院へ。
この国でバックを製造、日本で販売販売会社を設立。今日に至る。
こう書くと順風満帆の歩みようだが、現実は苦難の連続であり、その詳細は本書に嫌という程書かれてる。
「もし自分が彼女の立場なら・・・」と想像しながら読むと、読んでるだけで辛くなる。
本書でも彼女は至る所で泣いている。泣き表現の多様さに感嘆する。
どうして彼女は挫けなかったんだろう?
過去の積み重ね、使命感、周囲の協力、ありきたりの言葉で表現するには言葉足らずかもしれない。
本書を読んで人間の無限の力を再認識した。
本気でやれば何だって出来る。
久しぶりに清々しい本に出逢った。
生きる漢字・語彙力
「生きる」と「漢字」、「生きる」と「語彙力」がナチュラルにいっしょになっている。
確かに、生きる気のある、言葉がつまっているなあと思う。花は植物の【セイショク】器官だ。とか。古傷が【ロテイ】しちゃったように見せるのがコツなのよ、とか。
予備校生の頃の、すぐに言葉にじいん、ときちゃっていた感じを思い出した。