ザ・ベスト・オブ・ボブ・ジェームス~アーリー・イヤーズ・セレクション
もちろん現在も第一線で活躍中のボブ・ジェームスですが、特に70~80年代の作品は曲、アレンジ、演奏いずれも素晴らしく、当時のフュージョンを聴きたいならこれ、と断言できます。本アルバム中では「フィール・ライク・メイキング・ラヴ」のカバーが絶品、その他も彼の代表的作品ばかりなので、これから聴いてみようという人にも、昔好きで聴いていた人にもお薦めです。
テンダネス
ジャズ、R&B,ラテンの3部門でグラミー賞を受賞したアル・ジャロウにとっての集大成といえるアルバム。この偉大なシンガーの為に最高のスタッフが勢ぞろいし、一度だけのライブを一発録りした貴重なアルバムである。そしてプロデュースはマーカス・ミラーによるもので、誰もが知っている名曲を最高のアレンジで聴かせてくれる。ギターに今は亡きエリック・ゲイル、ドラムにスティーブ・ガッド、パーカッションにプリーヒョ・ダ・コスタ、ピアノにジョー・サンプル、そしてオペラ歌手のキャスリーン・バトルとのデュエットもある。アル・ジャロウとこの最高のメンバーとの組み合わせは、ジャズ、R&B、ラテン、ポップスといったジャンルを軽々と超えて、音楽の素晴らしさを教えてくれる。
ジャズ・フォー・ジャパン~東日本大震災被災者支援CD~
既にたくさんの方々がレビューに書いておられますが、素晴らしいアルバムです。全てのジャズファンに聴いていただきたいと思います。参加ミュージシャンの中には、必ずしも私の好みでないプレーヤーもいますが、この2枚組での演奏に関する限り、何の違和感もありません。
リストを見ただけでは、単なる名曲の再演のように感じるかも知れませんが、そのようなイージーな企画ではありません。参加した全ミュージシャンの魂が新しい命を加えたかのような名演になっています。2枚で全14曲、一気に聴かせるだけのパワーがみなぎっています。これからも繰り返し聴くアルバムになりました。星いくつでも差し上げたい!
Joker
初期メンバーにはボズ・スキャッグスがいたことがかなり意外。アルバムとしては FLY LIKE AN EAGLE 以降にヒット作を連発していてそちらの諸作も大好きなのですが、その前哨戦となるこのアルバムは過剰な派手さがないところが、かえって聴きやすいかも。醒めているかのようで、熱い演歌のコブシのような味を感じさせるスティーヴのヴォーカルは不変で、一度好きになると応えられない魅力があります。ちなみにこのアルバム、スティーヴの作品としては初めて全米チャート10位入りを果たし最高で2位まで上がった作品だとか。かなりのヒット作ですね。
Abracadabra
ベン・シドラン、ボズ・スキャツグズを排出した大元の大御所ブルースロックバンド。本作はあからさまなブルースの影響は無く、リリース当時は彼等のキャリアではベテランの域に達していたが、TOTO、STYXあたりを好きな人達にもすんなりと(?)受け入れられる80年代初期の作品。一言で言うと、とにかくコーラスが美しい。作風はLAサウンド(と言ってもノンディストーションのイーグルスあたりの)にカントリーの要素が混ざったスタイルに+キーボードといった感じ。このアルバムは聞き込むほどにその良さが実感できるようで、3、4度通して聞いたぐらいでは良さはわからない。一貫して彼等のスタイルという物はあるが、アラン・パーソンズ・プロジェクトが歌ってもおかしくない曲や、イーグルスのティモシーBシュミット風の曲、ジャクソン・ブラウン風等々、ウェストコーストのいいとこ取りサウンドだ。タイトル曲も当時の彼等からは前衛的とも取れるサウンドだが、ギターの音は実は前時代的な古臭い音だと気付く。ステレオで流せば(当たり前かな)左右にパンするフレーズが新しい流れを感じさせるが基本的な部分は古き良きアメリカのバンドサウンドそのものだ。アメリカのロードサイドのBarでいかにもアメリカといった、カントリーベースのロックバンドが演奏し、酔っ払った客がワイワイ騒いでいる。そんな光景が目に浮かぶようなサウンドだ。マイナーキーではとことん暗く(しかしそんな曲でもコーラスは美しいハーモニーだ)メジャーキーでは明るく陽気な乗りだ。とにかく歌のメロディーを暗記するまで聞いて、CDに合わせて歌い、伴奏を口ずさんで欲しい。そうすればこのアルバムがいかにかっこいいかわかるはずだ。