言葉力が人を動かす―結果を出すリーダーの見方・考え方・話し方
コマツ元社長が赤字を立て直してグローバルな優良企業にするために実践したコミュニケーション論。
短くて口にしやすく、意味が分かりやすい言葉が社内を動かすという主張、何度も粘り強く言い続けることの大切さ、など当然といえば当然の内容だが、氏の実績と言葉の具体例が伴っているので、非常に説得力があった。
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
優秀な日本人研究者による経営学の本である。
しかし、残念なことに筆者は「斬新な切り口」だと主張しているが、すでに米国では同じテーマについて10年以上前から研究が積み重ねられている(たとえば「語られる戦略:物語としての戦略談話」 Barry, D. and Elmes, M. 1997. Strategy Retold: Toward a Narrative View of Strategic Discourse, Academy of Management Review, 22(2): 429-452)。
筆者は日本を代表する研究者であることは誰も認める。それだけに、世界の研究者と互角に勝負できる独創的な視点や問題意識が欲しかった。そうでないと、経営学研究も「米国のモノマネ」と言われても反論できない。
尹東柱 詩集 (ユン・ドンジュ 詩集) [朗読CD]
CDよりも本(勿論、日本語訳ですが)の方がイメージが膨らみます。ハングル読みは、ハングルのできない私にとって仕方ないことですが、これも、ハングルができてこそ聞き取れる、ユン・ドンジュの世界だと思いました。2月16日が彼の命日で、韓国、そして彼の生まれ故郷の中国東北部朝鮮族、日本の彼に関係した所では、記念行事が開かれたことでしょう。
写真からみえるユン・ドンジュは優しく繊細な感じ、有名な『序詩』に確固たる信念を貫く人のイメージも見ているうちに理解できます。いい詩ばかりです。
米国製エリートは本当にすごいのか?
アメリカ西海岸の名門私立大学スタンフォードの大学院を2年で修了した若き経済雑誌編集者が体験した修学記録で、日米の高等教育比較を大学院生と雑誌編集者という知的職業歴から考察した好著。在学時に専攻したのは国際関係(政治)論であり、人文社会科学の横断的地域研究の特質を理解する上でも有効であり、大学院生のための研究指南書である。
アメリカの人文社会科学系大学院でも、専門職市場が確立しているMBAや法科大学院(Law School)など人気大学院は、授業料も高額で、学業も厳しいことはつとに知られている。著者もそうした大学院を選んだ訳である。その専攻を支えるディシプリン、1. 経済とビジネス、2. 歴史、3. 国際政治とインテリジェンスを基軸にして、大学院教育におけるエリート教育の構造的思想的背景の差異を詳細に論じており、日本の高等教育体制の再検討には格好の素材を与えている。特に日本の大学図書館にも大きな影響を与えつつある<グループワーク的課題>の意義を3ペイジに渡って詳述しており、ラーニング・コモンズの意義を理解させる。
他にも多くのアメリカの教育システムの長所を紹介しているが、最後の結論とも云える「知力とは、よき対話相手をもつこと」(p.238-240)は、著者が在籍したスタンフォードで人生を締めくくった哲学者リチャード・ローティの哲学をそのものである。ローティは、知識を完成は会話でなされると指摘しており、著者の明快な論理性を実証している。
文章は読みやすい丁寧文で、論文調ではないが、内容的には十二分にアカデミックであり、巻末の精緻な引用注は著者の研鑽ぶりを申し分なく語っている。刺激に富む1冊である。
学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)
いつも読みかけては、最後まで読んだ事がなかった本の1つが学問のすすめ。
言いたいことは、なんとなく分かるが、だからどうだという気になってきて、
最後まで読み通せない。
斉藤孝の本だと思って、我慢して読んだら、最後まで読み終わったが、
3度読まないと含蓄が理解できそうにないかもしれないと思い始めました。