左近の桜 (角川文庫)
ワンパターンだけど、長野まゆみ作品のなかではスッキリしてて
好みです。
でも、少年から好みが変わっただけで、
出て来るキャラクターがどれも似ていたり、
まあワンパターンなので
長野作品が駄目なかたには駄目でしょう。
天体議会
原作の透明なイメージを音にするのならば、きっとこういう形になるのだろう。
文章で読むものと、音で聞くもの。違いがあって当然なのだけれど、原作のイメージをきちんと伝えていると思う。
個人的には原作から受けたイメージと大きな違いはなく、遜色なかった。
ただ、各話冒頭のナレーションは、文で読んでこそのものであるかもしれない。少々早口気味に伝えられるそれは、イメージを掴みにくい。
原作世界に思い入れが深い人にはオススメしにくいが、各俳優さんたちの演技力は間違いなく最高のものだと思う。
少年アリス (河出文庫)
タイトル通り、装丁からしてアリスの世界に迷い込んだような美しさです。それは文章としても同じ事。私個人の意見としては、長野さんのお話は、是非、ハードカバーで読みたいのです。文庫にはない紙の質感の上で踊る一風変わった日本語の美しさに、酔いしれる事間違いなしだと思います。
何と言ってもアリスをはじめ、友人やその兄など、登場する人物がとても魅力的。ふんわりとした世界の中に、所々すごくリアルな感情の描写があるのも、この話の魅力の一つではないでしょうか。
たまたま [DVD]
良くも悪くもそんな作品。
蒼井優でなければ成立しない作品なのではないか、と思う。
イメージビデオのような、ドキュメントのような、ドラマのような。
独自の雰囲気を醸し出している不思議な作品で、それゆえ好き嫌いもはっきり出る作品ではないかと。
僕は好きです。
蒼井優は独自の空気を持っているひとで、ただ佇んでいる、一点を見つめている、歩いているだけで、映像として成立する圧倒的存在感がある。
退廃感というか、寂寥感というか、ストレートではない透明感が彼女にはあって、特にラストの、老人とのやりとりに、僕は釘付けになった。
それだけでも僕的には良い作品でしたよ。
猫道楽 (河出文庫)
帯の「猫シッター求む」に惹かれて読み始め一気に最後まで読んでしまいました。さすが長野さん。従来の少年たちだけでなくおとなの男の恋愛もこの上なく粋でイナセにそして色っぽく描かれております。少年愛や男性同性愛が好きな女性にオススメ。猫飼亭のレトロ家具や美しい骨董品とイケメンな兄弟たちの妖しい雰囲気がマッチし、この上なく退廃的で耽美な世界を現出させます。日本文化の美を再認識させてくれる一冊。長野作品のなかでも一番の気に入りです。